マイナンバー制度 ◯◯Payでキャッシュレスの時代に今さらプラスチックカードかよ

マイナンバー

▶︎何度も同じような記事で恐縮――とはいえ忘れてはいけないことなので書くのだが、総務省によると今年8月1日現在のマイナンバーカード交付枚数は2,346万6,822枚で、全人口(1億2,744万3,563人)に占める割合(普及率)は18.2%となっている。1人10万円の特別定額給付金がスタートする直前、4月1日現在の交付枚数は2033万2415枚(普及率16.0%)だったので、4か月で313万4,407枚、交付率にして2.2%増加した。単純に計算すると1か月当たり78万3,601枚増えている勘定だ。

▶9月1日から最大5千円相当のポイントが還元されるマイナポイントがスタートしたので、新たにマイナンバーカードを申請する人が増えると見込まれている。仮に1か月当たり100万枚の大台に乗るとすれば、来年3月末までにあと700万枚、総数にして3千万枚を突破することになる。普及率は26.2%を超える。「4人に1人以上が持っている」となると状況は少し変わるかもしれないにしても、税金を投入するカード作成促進策は「税負担・優遇享受の公平」という原則の観点から許されないだろう。

▶総務省が今年6月5日に公表した資料「マイナンバーカード及びマイナンバーの利活用の促進について」では、令和4年度末(2023年3月末)の交付枚数を1億984万枚と設定している。30か月で8,538万枚を発行する計画なのだが、単純計算だと毎月288万枚を交付しないと追いつかない。現状の3.67倍なので、仮にそうなったとしたら申請はスマホやパソコンからオンラインでできるからいいとして、また顔写真付きのICカードは機械が流れ作業で作れるとして、ちゃんと動作確認をする時間的余裕があるのか、4種の暗証番号(パスワード)を設定する市区町村の担当窓口は大丈夫なのか、かなり不安になってくる。

▶プラスチックカードと暗証番号で本人確認をするのは、1960年代に実用化された金融機関のCD(キャッシュディスペンサー)にさかのぼる。認証要素はエンボスコードと磁気データ、内蔵ICチップ、セキュリティコードなどで多重化され、安全性は強化されてはいるものの、ガードを固めれば固めるほど柔軟性に欠けてくる。一方、使いやすさ、利便性と安全性のトレードオフでスマホアプリによる預貯金の管理や◯◯Payに代表される代金精算方式が普及している。今さらカードでもあるまい、と思うのだが。


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