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『つながるための言葉』勝浦雅彦著/読書感想文

愛がなければ、いい文章は書けないー

著書を読んで、そう受け取った。

情報発信をするようになってから、感謝、応援、励ましのメッセージをいただくようになった。
私は、過去の記憶をたどるように、それらを読み返す。

誤解のないように、ひとことひとこと、丁寧に紡がれた文章が並ぶ。

伝えようと思って、書いてくれていたんだなって。
私、ちゃんと返せていたかな。
そこに、思いやりを忘れていなかっただろうかと、後悔の気持ちが込み上げ、言葉を詰まらせた。

今までも、誰かの役に立つようにって、記事を書いてきたつもり。
でも、なんか違う。
愛を持って、書けていたかというと、そうでもなかった。
ただ、沸き上がる言葉を羅列していた。
それがいいと、称賛してくれる人もいた。
だから、満足していたかもしれない。

著書を読んで、愛に触れた気がした。
それは恋とは違うことも、しっかりと説明されている。

「他者を思いやること」「誰かとわかり合いたいと思うこと」。その時、あなたはもう愛に触れている。

『つながるための言葉』P.108 

文章における愛とは、こういうことなのだろう。
私には、その思いが、足りなかった。

著書を読み終えてから、いくつか記事を書いた。
子育ての苦悩や葛藤を抱えるお母さんに
いつも支えてくれるサークルの仲間に
講座を開いてくれた友人に

辞書や類語辞典を使って、相手を思いやる言葉を、探し出す。
すごく時間がかかる。
うまく書けているのか、全然わからない。
喜んでくれるかな、重くならないかな、そんな不安でいっぱい。

でも、著者は優しく背中を押してくれる。
「誰かと強くつながりたいと願う、あなたの思いや言葉こそ尊い」のだと。

伝わるかはわからない。
でも、「いつもありがとう」「自分を大切にしてね」「いつでも、頼ってね」その思いだけ、届いてほしいと、書き続けた。

今、子育て中のお母さんに向けた、フリーマガジンを執筆している。
「子育てって、授業で習わないよね。カエルの成長は習うけど、ヒトがどうやって育っていくか、誰も教えてくれない」と話していた友人。

子どもが産まれてから、どれだけ戸惑ったことだろう。
どれだけ、必死で子育てを勉強してきたことだろう。

友人の気持ちを少しでもわかってあげたくて、これからもそばで応援してあげたくて、そんな思いで執筆した。

途中まで書き上げた原稿を友人に見てもらうと、「さらっと読むつもりだったけど、完成したときに、ちゃんと読みたい」と目を真っ赤にさせて、微笑んだ。

「みんな、それほどまでに追い詰められていたんだね。わかってほしいと思っていたんだね」
共に編集を担当する先輩が、こう言った。

愛を持って、言葉にするって、こういうことなのかな。
記事を読んで喜んでくれる。
それもすごくすごくうれしい。
でも、それ以上に、自分の心が、穏やかなんです。

この心の状態を保てれば、いつまでも愛のある文章を書ける気がしてなりません。
だから、寝る前には、著書を開きます。

谷川俊太郎さんの詩が読みたくなる。
そういえば、また、小説を読み始めようかな。
昔、小説を書くのが好きだったから、小説までいかなくても、エッセイっぽいこと、どんどん書きたいな。
娘の付き添いでしんどなと思いながら通っていた公園も、緑の中、少し涼しくなった風を肌に感じると、それだけで心が安らぐ。

色んな所に行きたい。
大切な人と、もっと話したい。
良い作品に、もっともっと出会いたい。

そうやって、目の前にいる、大切な人のために、文章を書き続けていきたい。
それが、私にできることだと思うから。

この一冊で、一生文章が書ける。


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