N型と理想主義について考える

先日、intp同期とこんな話をした。

仕事には、必要とされて生まれたものと、生まれてしまったが故にそれっぽい必要性を捻り出している物がある。(実際には、もう少し軽い言い回しだったのだが、より小難しく要約するとこんな感じだろう。)

最近intpは、自分が後者の仕事をやっていると考え、それに違和感とストレスを感じていたようだ。

私はここに、まさにSとNの違いを大きく感じた。

というのも、自分がやっているのが後者の仕事だと認識したとしても私は多分それをストレスに感じない。
仕事とは、誰かに必要とされているからやるものではなく、あくまで自分の生活の一部である。
自分の目的がお金を稼ぐ手段であるため、仕事自体の目的はさほど重要ではない。
そしてそれは自分だけでなく社会全体に適用されると考える。確かに、intpの言うように需要と供給が逆になってしまった仕事はいくつもあるだろう。だが、それは社会という仕組み上存在してしまうものだし、それに違和感を感じない。
実に現実的な、ドライな考えだ。

一方で、intpは社会という構造上仕方のないことだと理解はしているが、それを特に自分が行うことが受け入れられないという。
根底に、需要があって供給がなされるべきだという社会全体への理想がしっかり存在しているのだ。

これに似た話を、別の知人entpと話している時もした覚えがある。
その時のentp曰く、世界中の人の全ての基準(生活水準や知識レベル)が自分より上になればいい。自分が最底辺の状態になるのが理想だと言っていた。
その感覚も、自分にはないものだった。

むしろ、正直言うと自分は全世界の平均以上でありたいと考えてしまう。きっとそういった優越感が私には常に必要なのだ。(前、どこかでistpは能力主義で自分も有能であると感じることが自己肯定感に繋がると見たが、それも関係あるかもしれない)
前述したintpの件もそうだ。
需要と供給が正しく回っていなかったとして、私と私の周りに影響はない。
しばしば、視点が違うということを思い知らされる。

そして、彼らの理想は実に博愛的だと感じる。
S型である自分はどうしても自分の見える範囲のことしか考えない。言ってしまえば興味がないのである。
でも、N型の人達は自分の見えないところへの想像と興味を欠かさない。
興味関心を持つということは、その物事を、人を大切にする第一歩だと思う。
少し飛躍してしまうが、理想主義とは愛情の器が広いと感じるのだ。

では興味関心を広く持たない我々S型は愛が薄くドライなのか。
私はこういったN型の会話に触れる度、こんなことを考えてしまうのだが、実際は違うと思う。
S型はN型と比べて身近なものへの関心がより強いだけだ。むしろ自分の周りへの愛情はN型より大きいと言えるだろう。さらに言ってしまえば、S型の方が限定的な分わかりやすい。
だが、S型と博愛はやはりあまり結びつかない。

関心の向ける先が少しズレるだけで、こうも印象が変わるのは不思議だ。

少し話がズレたので戻す。
私の思う「N型の理想主義」とは、この関心の向き先がより自分自身から離れていることだと思う。
なぜなら、理想を「自分のなりたい姿」に定義すると、TeやFiが発達度合いに関わると思っている。
こうあるべき、こうやりたいという自分の判断機能をより研ぎ澄ませれば自分がどうありたいかが明確になる。
更に実際になれるかどうかという具体的なイメージは実現可能性に準ずるためむしろS型の方が得意そうだ。
でも、SとNを現実主義、理想主義と分けられることが多いという事は、その焦点を当てる所が重要になってくるだろう。

そして博愛的な理想はやはり、N型の理想主義的観点なのである。

私は、このN的理想主義が自分にない感覚なので面白いし少し羨ましいとさえ感じる。
常に現実を見ず理想を追い求めた行動しかしない人はさすがに理解の範疇を超えてしまうため敬遠してしまうが、私生活の基本は地に足付いているのに心の奥底では自分からは遠く離れた理想を持っている人にはやはり興味が湧いてしまう。
そういう人って行動はちゃんと堅実な感じがするのに思想は飛躍しまくってたりする。
そのアンバランスさが面白い。
話は理解できるし、通じるのに、自分にはない視点を待つことができるN型を素直に尊敬する。

ただし、じゃあ自分もそうなればいいとはならない。
そもそもN型の持つ視点は訓練して身につけるというよりはもともと備わっていたものだろうし、私自身自分の常に現実に即した物の考え方が嫌いではない。
S(特にST)の考え方は視点がより自分に近い分、目的が分かりやすいし達成までが早いのだ。
所謂、ストレスを抱えにくい考え方とも言える。
N型の理想主義を面白く羨ましいと思う反面、実際に自分の主軸に取り入れるつもりはなく他人事として考えている。
あくまで一つの娯楽のような感覚で、そういう話をするのは大歓迎だが、その思想を心の底から理解して実行に移して欲しいと言われても多分できないだろう。(なんなら、元カレとの時にまさにそれをやろうとして無意識にかなりのストレスを溜めてしまった)
やっぱり私は紛れもないS型だ。

結論、N型(特にNT)と話すのってやっぱ好き。