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「SNSで流れてきた公演を検索したら終わってた」は、なぜ起こるのか?

フェイスブックやツイッターのタイムラインで、演劇や音楽の公演情報を見かけて「面白そうだな」「観に行こうかな・・」と思って検索すると、『まさに今日、千秋楽だった』みたいなことがしばしばあります。

今回は、この現象はなぜ起こるのか?を、SNSのアルゴリズムから検証してみようと思います。

◆ 友達やフォロワーに告知は届いてない

演劇公演や音楽ライブをする方は、日々、一生懸命、告知投稿をされていることと思います。

友達やフォロワーが〇百人いるから、きっと投稿を見てくれてるはず・・なのに、来てくれない。「次は絶対行くからねー」とか言ってたクセに、友達甲斐のない奴だ!

なんて、憤りを感じることも多いのではないでしょうか? その投稿、恐らく届いていません。

日頃からコメントやいいねをし合っていて、SNSに「親しい間柄」だと認識されている数人には、確実に届いていると思いますが、繋がっているだけの「友達?」のタイムラインに上位表示はされないのです。

◆ SNSは「上昇気流」に乗るメディア

でも、フェイスブックで、そんなに親しいわけでもない友達の投稿が急浮上してくることってありますよね? ちょっと思い返してみて下さい、その内容はなんでしょう?

「誕生日」ですね。

特定の日に、本人または誰かの投稿に対して、みんなが一斉にリアクションや、おめでとうコメント、ありがとうコメントをすることで、その人のタイムラインに「上昇気流」が発生し、それをSNSのアルゴリズムが「トレンド」と認識して、他の友達にも薦める。

キーワードは、「特定の日に」「一斉に」です。これと同じことが、舞台公演の千秋楽後にも起こります。

◆ SNSの「瞬間最大風速」は<終了後>

そもそも、舞台の特性として、公演終盤にお客さんが増えてきますよね (笑) 平日はガラガラなのに、最終日だけキャンセル待ちになったり・・

そして、超満員になった千秋楽の幕が下り、撤収も終わって、後は朝まで気分よく飲むだけになった時、キャストやスタッフが一斉に「終わりました、ありがとうございました!」投稿をします。

自発的には投稿してくれないお客さんたちも、関係者の投稿には「お疲れさまでした」「面白かった!」コメントやリアクションをしてくれます。

その時、SNS上でその公演の「瞬間最大風速」が発生し、それまで上位表示されなかった他の人のタイムラインにも急浮上・・するも、時すでに遅し。公演は終わっている。

これが、表題の現象が起こるメカニズムです。

◆ 情報解禁日時は、なぜ必要なのか?

では、「瞬間最大風速」をコントロールするにはどうしたら良いのか?ここで1回、定石をおさらいしておきましょう。

商業作品が当たり前にやっているのは「情報解禁日時」の設定ですね。それは、なぜ必要なのでしょう?

ある時間に、マスコミやWEB媒体から一斉に情報が出て、不特定多数の人々が同時間帯にリアクションすることによって、計画的に「瞬間最大風速」を発生させるためです。

つまり、関係者が告知する際に、バラバラ、五月雨式にやっていたら、SNSのアルゴリズムからは「今日の昼飯」投稿と同じ扱いしかされない。

でも、あるタイミングを決めて同時にやることで、SNSに少しでも「気流」を検知させ、不特定多数のタイムラインに表示させることが出来る可能性があります。

ただし、これも多くて1~2回しか通用しません。同じ人が同じ内容を繰り返し投稿すると、表示順位は落とされます

そのために、商業映画なんかは、ビジュアル解禁、予告編公開、キャストインタビュー、メイキング公開 etc... など、封切りに向けて複数の「新ネタ」を用意しますよね。

小劇場でそこまでやってられない、と思うかもしれませんが、そんなにちゃんとしなくて良いと僕は思います。

例えば、公式ページやメインキャストのSNSで「今日の稽古場」写真を上げて、みんなで一斉にシェア&リアクションする。小屋入り、ゲネ終わり、初日マチネ終了後あたりに数回、全体行事として 一斉SNS投稿・リアクション の時間を作る。

ぐらいでも、効果はかなり違ってくると思います。(内輪の自己満足ではなく、お客さんの興味を引く内容であれば・・ですが)

◆ イベント前に「終了後」を作るには?

とは言え、イベントでも番組でも、SNS上の最大の盛り上がりは絶対に「終了後」です。どれだけ仕掛けても、不特定多数の人々 に「観ないうちに盛り上がってくれ」というのは、土台無理な話。

なので本当は、メインイベントの前に、プレ・イベントを行うのがお薦めです。例えば、簡単にできるのは「稽古場公開&トークショー」とか?

特別感のあるプレ・イベント「終了後」に、リアクション誘発投稿&関係者一斉シェアをすれば、千秋楽ほどではないにしても、SNSに「上昇気流」を検知させ、その後に控えている メインイベント情報を届けてもらう きっかけにはなります。

SNSが盛り上がる「終了後」をイベント前に作る。これが出来ると、その後の告知がかなりスムーズになる可能性は高いです。

SNSにあんまり振り回されたくないなぁ・・とは思いますが、SNS告知を頑張らなくてもチケット即日完売になる日を夢見て、まずは地道に、戦略的に頑張りましょう 。。。


※ なんか、なりゆきでデジタル・プロデューサーなんてお仕事もしてるので、ご興味ある方はお読みください ↓ ↓ ↓


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