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映画『メイキング・オブ・モータウン』

UPLINKにて鑑賞しました。監督ベンジャミン・ターナー、ゲイブ・ターナー。2019年製作。アメリカ・イギリス合作。

2019年に創設60周年を迎えた音楽レーベル「モータウン」の歴史を描いたドキュメンタリー映画。

創設者ベリー・ゴーディと親友でもあるスモーキー・ロビンソンがとっても楽しそうに「モータウン」の歴史を語ります。

坊主頭のスティービー・ワンダーがアポロシアターで歌う映像や、まだ小さいマイケル・ジャクソンが「モータウン」のオーディションで歌う映像を観て、それだけで感激。

ダイアナ・ロス&スプリームス、スティービー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、ジャクソン5、「モータウン」は信じられないほどの才能あるアーティストを世に出しました。


1960年代当時、アメリカ南部州では人種隔離政策がとられており、「モータウン」の面々もツアー途中で、頭に銃を突きつけられるなどの差別行為をうけています。

ベリー・ゴーディはダンスやマナーを含め徹底した管理体制を敷きますが、マナーとはナイフとフォークの使い方ではなく、「人間として堂々とふるまえるように自信を付けること」でした。

成功してどんな人と会っても、堂々としていられる。

才能にはあふれていても、貧困層の若者も多く、マナーのレッスンは大切なものであったと思われます。マナーレッスンは会社の戦略の一つではありましたが、ベリー・ゴーディの社会に対する「やる気」が感じられます。

「モータウン」は創設者ベリー・ゴーディのワンマン会社ではなく、人種や性別にわけ隔てのない自由な社風でした。「品質管理会議」を開き、才能ある皆が本音で意見をぶつけあい、「モータウン」のブランドクオリティを高めていました。

白人だから雇わないとか、女性だから幹部になれない、などは全く無くて「とにかく成功したいから、能力のある人間と仕事をする」この一点がベリー・ゴーディの基準です。


1971年、マーヴィン・ゲイが「What’s Going On」を発表しました。

ベトナム戦争から帰還した弟に話を聞いて、戦争に反対する思いを歌ったものです。社会性のあるメッセージを含む曲は今まで「モータウン」レーベルでは出していなかったのですが、これは、マーヴィン・ゲイの強い意志で作られました。

この曲を今聴いて泣いてしまいました。そこ泣くとこちゃうやろ、と思いながら。

ほぼ50年前の曲が今の時代にピッタリだなんて、いつまで分断しているのか。人間は全く進歩していないのか。でもあきらめずに、良い音楽は社会をひとつにする力があると、しぶとく思っていたいです。










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