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思い出深い鶴岡駅前のイタリアンレストラン、ファリナモーレよさようなら

「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」の最終章、最後の最後に立ち寄った奥田シェフの店が今月末で閉店する

帰省は私にとって楽しみとは言い難い恒例行事なのだが、しかし帰省の帰りにひとり、気に入った店で1杯いただく時間はかけがえのないものだ。この1杯があるからなんとかかろうじて、実家詣を続けていられるのだと思う。

実家の話を長々するのも何なので、興味があるという奇特な方はマンション購入記の1話をお読みいただければ。無料部分でも何となくわかっていただけるかと。

お盆周辺での帰省計画を立てる際は、帰省帰りの1杯をどこで楽しむかも考えて電車の予約をする。
鶴岡駅前でファリナモーレに寄るか、新幹線に乗り継ぐ新潟駅でどこか入るか。いっそ酒田駅に向かって、久々にこい勢かルポットフーでランチするか。
ファリナモーレが営業していれば行きたいけれど、イベント出店などで休業していることもあるので念のためお店の公式Instagramで確認してみた。そうしたら最新投稿が、8月末での閉店を知らせる告知だったのである。

公式Instagramより

ああ、ついにこのときが来てしまったか。
ファリナモーレは、鶴岡市の郊外にある有名イタリアンレストラン「アルケッチャーノ」の姉妹店で、鶴岡駅前にあるFOODEVERという施設に入店している。開業は2017年の7月だったから、丸7年か。
アルケッチャーノは公共交通機関では行きにくい場所にあるので未だに行ったことがないのだが、ファリナモーレはパスタ中心の店なので1人で入るにも敷居が低く、帰省の折や登山や温泉旅で近くに訪れた際に何度も立ち寄っていた。

コロナ禍前はディナータイムも営業しており、月山に登った後にファリナモーレでディナーコースをいただいた話を拙著「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」の最終章にも書いている。

最終章の最後のエピソードがこの話なので、本当に、この本のラストを飾るお店がファリナモーレなのだ。
ファリナモーレについて書いた箇所のさわりを画像でご紹介する。

拙著「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」より
拙著「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」より

本に書いたエピソードは2019年の8月のものだが、この当時はランチ営業だけでなくディナータイムも営業していたのだ。
しかし、2020年春から緊急事態宣言を受けて長期間休業。そののち他の飲食店が営業を再開するタイミングになってもファリナモーレのレストラン営業は休業したままだった。ケーキやジェラートの販売とカフェ営業の「ファリナモーレドルチェ」のみの営業期間が続き、もうレストラン営業はしてくれないのだろうか……と諦めかけたところで「ランチタイム限定・季節限定」でレストラン営業が復活した。たしか2022年ごろから、冬の間は休業してGW前から11月ごろまでランチのみ提供するというスタイルで営業を続けていたと思う。

しかし、今年の6月にはシェフパティシエの方が海外進出されるとのことでケーキの販売も終了してしまったし、そう遠くない未来に閉店してしまうのだろうな……と思っていたのだけれど。そうか、8月末までか。これはもう、今回はファリナモーレに寄るので決まりだね。8月下旬に鶴岡に行く予定はないから、これがファリナモーレでの最後の食事になるだろう。

8月14日、4泊5日の帰省を終えてお店の開店時刻である11時ちょうどにお店の前に向かうと、店頭の黒板にこんな告知が。

なんとなくやる気がなさそうでかわいい告知

あ……今日、奥田シェフいるんだ。
というか、1年前のお盆休みにもいなかった?

いました。日記を書いておくとこういうときに便利ね。日付も同じ8月14日。
奥田シェフも、お盆はお墓参りとかで鶴岡に帰ってきているのかもしれないね。

1年前は12時過ぎに来たので席に着くまで少し待ったけれど、開店と同時のタイミングなので今回はすんなり案内してもらえた。
ちょうど5年前、2019年の8月にディナーコースをいただいたのと同じ席に案内され、ランチメニューを眺める。

ファリナモーレのランチは「前菜+パスタ+ジェラート」のセットメニューが基本なのだが、今日は奥田シェフがいるからだろうか。なんと、コースメニューがあるじゃない!

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