見出し画像

とにかく混んでる山が嫌いな私が、花盛りの平標山にようやく登ってきた

温泉→登山→温泉のコンボで花盛りの山と越後湯沢の極上温泉を楽しんだ2024年6月のひとり温泉登山 その1

山はどの季節に登っても楽しいものだが、中には、紅葉や高山植物がとびきり美しいなどの理由で「この季節に登るのが良い」と言われる山がある。
パッと思いつくところでは、紅葉期の雨飾山や栗駒山。ハヤチネウスユキソウの咲く初夏の早池峰、そして山小屋の営業期間が7~8月に限定される富士山など。

そういった山は、ベストシーズンに登ろうとすると、とにかく混む。週末なら尚更だ。できる限り平日に登りたいところだけれど、土日休みの勤め人だし、さらに公共交通機関利用で登山をしているのでそんなにうまくいかないことも多い。空いている平日に登ろうと休暇を取っても「登山口までのバスは土日祝日のみ運行」ということも多いのだ。

私は混んでいる山がとにかく嫌いで、最近はあえて「ベストシーズン」をはずして計画するようにしている。
たとえば、雨飾山には登山を始めてまだ間もない頃に登ったのだが、当時の私は、雨飾山が紅葉の美しい山として有名だということを知らなかった。知らなかったのでそんなに混んでいると思わず何の気なしに秋の週末に雨飾山登山を計画してしまい、登山中、前にも後ろにもずっと人がいることにうんざりして帰ってきたものである。

真夏の雨飾山

紅葉期に懲りて真夏に登った2度目の雨飾山は、人が少なくて天国のようだったけれど、地獄のように暑かった。ベストシーズンがベストと言われるには理由があるんだなと思ったものだ。

開山期間中はいつ登っても混んでいる富士山は、登る順番をかなり後回しにしてしまった。富士山に登頂したときには既に、日本の高山ランキング2位から5位までの山すべて(北岳、奥穂高岳、間ノ岳、槍ヶ岳)に登頂し終えていた。

新潟県と群馬県の県境の位置する平標山も「混んでいるときに登りたくない!」という理由で後回しになっていた山だった。
花の百名山にも選ばれている平標山のベストシーズンは初夏、あるいは紅葉期だろう。2000メートル足らずの標高なので真夏に登るにはちょっと暑い。

できれば初夏の晴れた日に登りたいけれど、もう絶対に混んでいるよね……。

平標山は越後湯沢駅から登山口までバスが出ており、土日のみでなく平日も運行している。できれば平日に休みを取って空いているときに登りたい。
だけど高山植物の盛りの時期は梅雨の時期と被り、平標山に登るつもりで平日休みを取っておいても、当日晴れるとは限らない。
そんなこんなでなかなか登れずにいたのだけれど2024年6月中旬の金曜日、ようやくすべてのタイミングがあって平標山に登ることができた。

6月13日木曜日の夜、仕事を終えた後に東京駅へ向かう。
平標登山口行きの始発バスは越後湯沢駅を5時35分に出発する。2本目の8時20分発のバスに乗るのであれば当日早朝に東京を出ても間に合うし、そのバスでもまあ登れるのだが、今回は時間に余裕を持たせたい事情があった。そのため、越後湯沢駅前で素泊まりの宿に泊まり、早朝に出発する計画にしたのだ。

駅構内の「駅弁屋 祭」で弁当を買う。いつもは海鮮系の弁当を選ぶことが多いのだが、良さそうな海鮮系弁当は売り切れていたので今回は肉系で。

「黒毛和牛カルビ」と「豚ロースしょうが焼き」「鶏もも江戸甘味噌焼き」の3種の肉のおかずがのった弁当。ビールにも日本酒にも合いそうだけど、今回は乗車時間も短いので酒はなしで。

1時間ほどで越後湯沢駅に到着。

前泊の宿はバスロータリーと同じ東口にあるのだが、東口に出ると最寄りのコンビニまで10分ぐらい歩かなければならない。明日の朝食や行動食を買いたかったのでいったん西口に出て駅目の前のセブンイレブンに寄って買い物をしてから東口に向かう。


前泊のかけ流し温泉付きホテルにチェックイン……?

予約していた宿は越後湯沢駅東口から徒歩3分
かけ流しの温泉浴室に夜通し浸かれて、素泊まりで7500円。24時までチェックイン可能ということで登山の前泊に持ってこいの宿だ。

宿泊当日に空室を見つけて「22時チェックイン予定」でネット予約したのだが、恐らく家族経営の小規模な宿だと思ったので、間違いのないよう予約後に電話を入れておいた。
22時にチェックインすること、翌朝早朝のバスに乗って登山をするので5時30分ごろにチェックアウトすること。できればチェックアウト~15時ごろまで荷物を預かってもらいたいことなどを電話で伝え、快諾いただいていた。

22時5分、概ね予定どおり宿に着く。フロントは無人だったのでボタン式のインターホンを鳴らすが、誰も出てこない。

「すみませーん!」と声をかけるが誰も現れない。
フロントは見ての通り明るいし、バックヤードを覗いても灯りは点いているようだ。トイレにでも行っているのかもしれないと思い、5分ぐらい待ってから再度インターホンを鳴らすが、誰も出てこない。
さらに5分待ってインターホンを鳴らし、大きめの声で呼びかけてみたが、返事はない。
もしかしてインターホンが壊れているのかも……と思い、電話をかけてみる。もし、宿の方が別棟にいたとしても、別棟にも電話がつながっていれば気がついてくれるのではないか?と思ったのだが、フロントに置いてある電話機がなっただけで、誰も出なかった。

仕方なく、フロント前で待つとする。
今日の昼に電話で確認までしたのに、まさか忘れられているということはないと思うのだけど……もし、このまま誰も来なかったらどうしたらいいのだろう。

ここから先は

3,093字 / 36画像
この記事のみ ¥ 600
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が参加している募集

#泊まってよかった宿

2,737件

#山であそぶ

1,925件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?