建築士の旧姓併記についてのまとめ
《 今この瞬間から、自分の名前が変わる。 》
あまり深く考えていなかった、姓が変わるということにいきなり直面して、各所手続きを含めてなかなか忙しい日々を過ごしました。そんな手続きを経て、姓が変わることで少しずつ実感が湧いてきた、そんな感覚もあります。
その中で、一級建築士の旧姓併記について、備忘録も兼ねつつ、まとめたいと思います。
旧姓併記とは
▼総務省HPより
旧姓(旧氏)を身分証に入れることで、姓が変わった後も女性が変わらず旧姓でも働けるように配慮したもののようです。日本では何十年も前から夫婦別姓の議論がされており、その影響もあるのではないかと思われます。
旧姓併記できる身分証は、
1.マイナンバーカード・住民票
※マイナンバーカードと住民票は同じ内容が登録されるため、どちらか一方のみに併記するということは出来ないようです。
2.パスポート
3.運転免許証
4.各種資格で旧姓併記が認められるもの
上記のようなものが該当します。
建築士の免許に旧姓併記をしたい場合
建築士の免許は旧姓を併記することが認められています。国交省のHPにも記載があります。
建築:資格者証の申請等の手続きについて - 国土交通省 (mlit.go.jp)
また下記の日本建築士会連合のHPには、必要書類などまとめられています。
下記HPは一級建築士の内容となっていますが、二級建築士でも旧姓併記が可能なようです。
登録事項変更届・書換え交付申請「中央指定登録機関 (公社)日本建築士会連合会」 (kenchikushikai.or.jp)
一級建築士の免許に旧姓併記するために必要なもの
1.一級建築士登録事項変更届・書換え交付申請書(HPよりダウンロード可)
旧姓と新姓でそれぞれフルネームを記入します。
登録番号や登録年月日は一級建築士免許証を見ながら記入します。
縦45㎜×横35㎜の写真の貼り付けも必要ですので、あらかじめ準備します。
2.一級建築士住所等の届出(HPよりダウンロード可)
婚姻にともない、姓と住所が変更になる場合は、新しい本籍・住所を記入します。
勤務先が建築士事務所登録をしている場合は、勤務先も記入します。こちらの開設者は管理建築士ではなく、会社の社長など、代表者を記入します。
旧姓併記を希望する場合は、下欄に旧姓併記をする・しないを選ぶ箇所があるので、する のほうの番号を〇で囲い、旧姓を記入します。
こちらにも縦45㎜×横35㎜の写真の貼り付けも必要ですので、あらかじめ準備します。(申請書で写真を貼るのは1と2の書類で計2か所)
3.住民票の写し(役所で旧姓併記の手続きを経て、旧氏欄に旧姓が入ったもの)
これが一番厄介でした。
婚姻届けを提出するタイミングでは、旧姓併記の手続きは出来ません。
新しく戸籍が作成されたのち、役所で旧姓併記の手続きをすることで、住民票とマイナンバーカードに旧姓併記がされます。
新しく戸籍が出来るまで長くて約1ヶ月かかるようです。
建築士法では、『変更があつたときは、その日から三十日以内に、その旨を、一級建築士にあつては国土交通大臣に、二級建築士又は木造建築士にあつては免許を受けた都道府県知事及び住所地の都道府県知事(都道府県の区域を異にして住所を変更したときは、変更前の住所地の都道府県知事)に届け出なければならない。』
と書かれているため、罰則はないようですが、役所に事情を伝え、なるべく早く戸籍を作成してもらえるようにお願いすると良いと思います。
裏側に仮で旧姓が追加されている運転免許証や、備考欄に旧姓が記載されているマイナンバーカードでは受付不可のため、役所での手続きをした後に、新しい住民票の写しを印刷して持っていく必要があります。
4.申請手数料払込受付証明書(1に添付)
所管の建築士会でも手に入ると思いますが、わざわざ行くのも煩わしいため、郵便局で入手したものを使い、郵便局で振り込みをしました。ATMで振り込みをしましたが、ご利用明細書でも問題ないと電話で確認できたので、ご利用明細書を添付しました。
5,900円の申請手数料…高い…
5.旧姓併記の確認書類
旧姓が確認できる書類が必要とのことでしたが、3の住民票で問題ありませんでした。
6.本人確認できる身分証明書のコピー
運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどのコピーの提出が必要でした。本人確認が目的なので、こちらは旧姓が記載されていなくても問題ありませんでした。
7.法定講習受講修了証のコピー
法定講習受講履歴の記載を希望する方のみこちらが必要となりますが、私は記載しなくてもよいと判断し、提出しませんでした。
8.レターパックプラス(赤) ※見落としがち!
新しく書換えが完了した免許証を郵送で受け取る場合にはこちらをあらかじめ持っていく必要があります。
※私は買っておいたのに持ってくるのを忘れました、、
旧姓のみの免許証も返却しないといけないため、新しい免許証が出来上がったタイミングでレターパックプラスと旧免許証を返送し、新しい免許証を郵送で受け取ることにしました。
新しい免許証が出来上がったら、はがきで案内があるとのことです。(提出から案内までは約2~3か月かかると言われました)
旧姓のみが書かれた免許証はどうなるのか
建築士事務所で建築士業務に従事している方はこの疑問があるかと思いますが、新しい免許証が届く前も使うことが可能とのことでした。
その際は、現在書換え交付申請書を出しているということを伝えたうえで、重要事項説明などでも提示できるということでした。
先ほども書きましたが、いずれは必ず返却しないといけないものですので、もし建築士業務に従事していない場合は、書換え交付申請書提出の際に返却することも可能です。
新しい免許証が出来上がるまで約2~3か月とかなり期間を要するので、私はその場で返却せずに、ギリギリまで手元に置いておくことにしました。
そもそも旧姓併記したらどんなメリットがあるのか
一級建築士の免許証に旧姓併記をすることだけを考えて手続きを進めてきましたが、旧姓併記をすることで、業務にどんな影響があるんだっけ?と立ち戻ります。
色々調べたのですが、建築士法や施行細則にもどこにも記載がありませんでした。
まずは所管の建築士会に電話してみました。
『旧姓を使ってどこまでの建築士業務が行えるかは記載がない。今までは戸籍に従って新姓でしか業務ができなかったが、旧姓も使えるようなった。詳細は日本建築士会連合に聞いたほうがわかるかもしれない。』
ということで、今度は日本建築士会連合に電話をしてみました。
『旧姓併記ができることは記載があるものの、どこまでの業務が旧姓で行えるかの詳細な記載は見当たらない。新姓と同じ業務を旧姓でも行える、という認識で問題ない。建築士事務所登録の所属建築士名簿にも旧姓と新姓を書く必要はあると思うが、そちらについては建築士事務所協会にお尋ねください。』
ということでした。業務範囲がわかったので、それ以上のことは問い合わせしていませんが、旧姓併記をすることで、新姓と同じ業務がこれまで通りできる、ということのようです。
詳細な記載はないものの、内閣府男女共同参画局が出しているこちらの資料には、
【旧姓の使用が制度上担保されている。】と記載があり、こちらがすべてということでした。
資料1-1 各種国家資格における旧姓使用の状況について (gender.go.jp)
こちらも内閣府が出している正式な資料ということなので、間違いはないということのようです。
ちなみに関連規定にある、国土交通省住宅局建築指導課事務連絡、をネットで検索してみましたが、ヒットはしませんでした。
まとめ
姓が変わることで、銀行やクレジットカードや証券会社などなど、、本当にありとあらゆるものの名義変更が必要になりました。1日ではとても終わらない事務作業でした。
日本ではまだ夫婦別姓が認められるには、時間がかかりそうです。
ただ、こうやって旧姓併記ができるようになったことで、仕事に使う資格は旧姓のままでも問題ないということはかなり大きいと思います。
私は姓が変わっても、職場では変わらず旧姓で仕事がしたいと思い、そうしています。
これまで職場で築いた人間関係を、では今日から違う名前で、とはすんなりいかないと思いましたし、今まで自分のこの名前で培ったものをそのまま継続したい、そういう想いもありました。
もっともっと、姓が変わっても今まで通りで過ごせるようになる未来が来るといいなあと、改めて思いました。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。