映画|空白
この物語は、
一人の少女が凄惨な交通事故に遭うことから始まります。
古田新太氏 扮する少女の父の怒りは想像に難くありません。
事故に関わった人たちが、これをきっかけに精神的に追い込まれていく。
誰かが悪いわけではないこの映画。
なぜ少女は死ななければならなかったのか。
少女を取り巻く人々の心情を丁寧に描いた物語だと感じました。
+++ 感想 +++
少女の死。
深く落ちていく悲しみ、際限のない怒り、苦しみに耐え、葛藤する日々。
そんなことに向きあう人々。
彼らの気持ちが痛いほど伝わる映画です。
物語の中で娘を失った父の言葉が印象的でした。
「みんな、どこで折り合いつけるんだろうな」
そうだね…
どこで折り合いつければいいんだろう…
観ながら頭の中で頷いていました。
時間の経過は嫌な気持ちを洗い流す力を持っていると信じてやみません。
この物語も時の流れの力をほんの少し借りてるようにも感じました。
この映画のタイトル「空白」
これ以上のタイトルは付けようがないと思わせるくらいに合っていたと思いました。
心の中にぽっかり空いた「空白」をどのように埋めようとしたのか。
埋められらないまま時の流れに身を任せるのか。
埋めるために忘れようとするのか。
それでも生き抜こうと決めたのか。
彼らは空白を埋めることはできたのか。
人の心は動きやすいものです。
些細な言葉が心を動かすことがあります。
目に映るものが心を動かすことがあります。
記憶が心を動かすことがあります。
想像が心を動かすことがあります。
あの日、あなたの観た景色がわたしの目に映ることがあります。
穏やかな時間が訪れて欲しいと願ってやまない、そんな映画でした。
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