無為徒食
寝たい時に寝て、起きたい時に起きる。それは人類の夢の一つだが、僕は十年以上、そんな生活をしている。食事は親が用意してくれるし、洗濯物もやってくれる。僕が一日の生活でやるべきことは何もない。
僕は今、宇宙で最も恵まれた環境にいる。管弦で遊ぶ天人よりもいい暮らしをしている。
ありがたいことだと思う。人類の歴史のなかでもこんな生活をしている人はほとんどいないと思う。
だが、時折感じるこの空虚さはなんだ。無力感が襲ってくる。僕が生まれた意味ってなんだ。
だんだん自分が人間ではないような気がしてくる。生きているのか死んでいるのかの感覚さえあいまいになっていく。夢の方が現実よりも充実してくる。
しかしそうした感覚よりも、ぐうたらしたいという欲求の方が強い。だから変わらない。
ああ、眠くなってきた。そろそろ寝ようか。
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