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母胎ソロ(MOTESOLO)は真摯なゲームだった

本当は去年、綺麗なnoteの方にこの記事を書こうと思ってイラストも描いて保存してあったんだけどいつも気張りすぎて結局手つかずになっちゃうのでこっちに書きます。

韓国製のゲーム『母胎ソロ(コンシューマー向け日本語タイトル訳は「MOTESOLO」)』は思った以上に真摯なゲームだった。
内容はモテない主人公が30歳になる前にどうにかして彼女を作ろうとしてもがく話。母胎ソロというのは生まれてから一度も恋人がいない人を指す韓国の言葉だそうです。
実写作品で、選択肢を選ぶことで展開が変わっていく形式のゲーム性。ドラマを見るように楽しめるし1プレイも長くないのでおススメ。

全体的にコミカルな印象なのでにモテない人を面白がるゲームのように見えますが、真摯に描いているところに好感が持てる。
主人公が食事代を払わないと好感度が下がったりいかにもなテンプレートはあれど、基本的にそういうプライドを捨て去った選択をしていかないとハッピーエンドにたどり着かない。
例えば主人公が男らしさの象徴として「車持ち」であることをアピールしようとするシーンではわざとらしく車のキーをテーブルの上に置いて自慢をするも


ここノリノリで好き

↑こんな感じで女性をドン引きさせるだけでまったくプラスに働かない。
このシーン、主人公の空回り方が面白くて好きなので描きました。

男性の分類として「α」というものがあります。
(え?オメガバースの話?と思ったそこのあなたはオタク文化に毒されています)
alpha maleとは海外でできた定義で、筋骨隆々で学歴もあって収入も良く、高校時代はアメフトでクォーターバックをしているような、古くから「男らしい」とされてきた要素を兼ね備えた男性のことを指します。
一般的にこういう人が恋愛市場などでは需要が高いものとされるし、漫画や小説や映画でもこういった男性像が良しとされがちです。だからといって別に、弱いこと、優しいことが悪いわけでは無い。
そこを評価していこうよっていうメッセージがコミカルに描かれています。
ちなみに私の大好きな映画「Everything Everywhere All At Once」も同じようなことがテーマの一つです!超おすすめ。みんな観よう。

あとは何が素敵かって、この主人公、出会いが上手くいかなくても他人のせいにしない。去る相手にしつこく絡まない。そしてめげない。落ち込んでも諦めずまた次に挑もうとする。
この精神性は何事においても大事だ。
結局のところこのゲームはそれが言いたいんじゃないでしょうか。少なくとも私はそう受け取りました。

そして文化の違いが面白かった。
韓国産のゲームなのでこの主人公は兵役を終えてるんですが、その経験も彼の中では一種の「男らしさ」のステータスになってて別に望まれてないのに徴兵されている時の写真を見せつけたりとか……
あと韓国では「家でラーメン食べる?」が英語で言う「Netflix and chill」だそうですね。日本語だと何だろう。
ソゲティン(友達の友達を紹介してもらって会うこと)って単語も知らなかったので面白かったです。気になって英語でそういう言葉はあるのかなと思ったら「blind date」だそうで……(相手のことを全く知らない状態で会うからこの言葉らしいです)。おもしろいなー

面白さと話題性があまり比例していない気がするのでもっといろんな人に遊んでほしいなと思うゲームです。
演者さんたちの演技も良いし、それぞれキャラが立っていて全員憎めない。
ちなみに私はソナちゃんエンドが一番すきです。


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