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奥日光逍遥2023

子どものころの家族旅行や修学旅行、のんびりした観光旅行から、厳冬期の森の中でのテント泊・スノーシューハイキング、湯ノ湖から日光白根周回、湯ノ湖からアスナロ、コメツガ、シラビソの暗い原生的な針葉樹林を抜けて歩く小峠、刈込湖、切込湖、光徳沼、湯滝を経ての周回コースなど、これまでさまざまなルートを春夏秋冬歩いてきたが、男体山には登ったことがなかった。

日光火山群の中では新しい成層火山である男体山は、中禅寺湖南岸、戦場ヶ原など様々なところから特徴のある山体を眺めることができる。
今年の夏こそと思って奥日光を訪ねたのだが、あいにくの雨。かなり激しく降っている。観光旅行に切り替えることも考えたが、森林限界から上に出ない、森の中を歩くハイキングなら直接、雨風にたたかれることはないだろうと思い、地図を眺める。

奥日光で訪ねたことがない湖と言えば、西ノ湖である。折りたたみ傘とザックカバーを出して、江戸時代の名所案内にも出ている竜頭ノ滝から、中禅寺湖岸の深い森を千手ケ浜まで歩き、そこから西ノ湖へ。かつては中禅寺湖の西の湖尻だったが、北から流れ込む柳沢川、外山沢川が運ぶ土砂で千手ケ原デルタができて、西の端に取り残された部分が西ノ湖になった。

中禅寺湖の西の端に当たる千手ケ浜から西ノ湖へは、湿地独特のハルニレ、サワグルミ、ドロノキの森。少し乾いたところはミズナラ、ダケカンバの巨木林が続く。日光の山奥に、平らな地形の大きな森が続くのが少し意外だった。西ノ湖岸には珍しいヤチダモ林があった。

帰路は、中禅寺湖岸から、戦場ヶ原・小田代原と中禅寺湖を隔てる1667メートルの高山に登ってから竜頭の滝上に出た。ハイシーズンの奥日光にもかかわらず、急斜面を駆けのぼってきた下半身が筋肉隆々の鹿、子づれの猿の群れにしか出会わない雨の中の静かな森歩きを楽しんだ。

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