記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

今この時期だからこそ「1987、ある闘いの真実」

 韓国ドラマ・韓国映画を観る上で「光州事件」や「民主化運動」についての知見を得ておくことは欠かせないことの一つだと考えている。

 私はこれまで「タクシー運転手」や「ペパーミント・キャンディー」「光州5・18」などの、当時の時代を背景にした映画は数本観ていたが、先日、ライターの桑畑優香氏のツイッターで JAIHO という映画配信サイトで、「激動の韓国現代史~光州事件と民主化運動を描いた4つの作品~」という特集のあることを知った。

 4つのうち2つは視聴済みで、まず未視聴のうちの1つ、「キム君」を観た。淡々とインタビューだけを追っていく製作手法には印象深いものがあったが、観終わった後にたまたま見つけた後日談の記事を読んで、一旦私の頭の中では収束しかかっていたストーリーが再び混沌とし始めてしまった。

 そして、遅ればせながら「1987、ある闘いの真実」を観る。


 遅ればせながら、と書いたのは、本映画が百想芸術大賞の映画大賞をはじめ、数々の賞を受賞している作品ということを知らなかったからだ。

 内容については、多くの受賞が示すとおりとても素晴らしいもので、各自ご覧になって頂きたく、ここに詳しくは書かないが、私に強く印象を残したのは、この映画のビハインドストーリーである。

  • 当時は政権の意に沿わない作品には弾圧が加えられる時期で、出演する俳優たちもブラックリスト入りしないか不安だった

  • それでも錚々たる俳優陣が自主的に出演を申し出た

  • 実話をもとにしているが、生存者にインタビュー等をすると作品の存在が漏れてしまうので、脚本は文献資料のみで秘密裏に作り上げた

  • キム・テリ演じる女子大生の役以外は、すべて実在の人物

  • 二人の大学生は国民にとってとても尊い存在だったため、誰が演じるかは公開まで秘密にされた

等々・・・

いくつかの情報は上記桑畑優香氏のコラムを参照した他、ゆなさんききさんにご提供頂きました。感謝申し上げます。

 また、ここに描かれる新聞記者・新聞社こそが、ジャーナリズム、マスメディアのあるべき姿ではないか、という思いを強くした。
 悲しいことに映画&ドラマ「新聞記者」が今のところの限界である我が国では、このような作品は絶対にできないだろう。


 「今この時期だからこそ」とタイトルに付けたのは、なにも「二十五、二十一」でブレイクしたキム・テリや、「ベイビー・ブローカー」の公開間近のカン・ドンウォンが出演しているからではない。
 時の権力の意のままに事実が歪められ、隠蔽され、マスメディアが真実を暴くことの使命感を放棄している今この時期だからこそ、皆に観てほしいと感じたのだ。

 最近「お気に入りの珈琲屋さんが政治的な呟きをしてガッカリした」というツイートが物議を醸しだしたが、この note を読んで頂いている方の中にも同様の意見をお持ちの方もいらっしゃるかもしれない。
 それでも大切なことだと考えているので、最後に、この現在の我が国に蔓延る政治への忌避感に対してのツイートを紹介しておく。

#ネタバレ #1987 #ある闘いの真実 #韓国映画 #カン・ドンウォン #キム・テリ #百想芸術大賞 #二十五二十一 #ベイビーブローカー #光州事件 #民主化運動