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SIX来日公演に向けて知っておくと良いかもしれないこと(作品紹介)

英国発ミュージカル『SIX』来日版が、2025年1月に EX THEATER ROPPONGIで上演されます。

トニー賞8部門でノミネート、オリジナル楽曲賞とミュージカル衣装デザイン賞の2部門で受賞を果たしたヒット作。

大好きな作品だけど、「どんなミュージカルか」を一言で説明しようとするとやや難しい。

英国史上最も有名な暴君として知られている英国王ヘンリー8世の、6人の妻たちが各々の劇的な人生をポップ&ロック調のキャッチ―な楽曲で歌い上げる、80分間のノンストップライブパフォーマンス仕立てのミュージカル『SIX』。

https://spice.eplus.jp/articles/327766

この説明文の通りなのだけど、一文に詰まった情報量の多さよ!
英国史に馴染みが薄いとなおさらイメージしづらいかも…ということで、この記事では、SIXの前知識として知っておくと良さそうなことを纏めてみます。
ネタバレなしで楽しむ土壌を整えるための記事です!


こんな人におすすめ!

  • カッコいい女性が活躍する作品が好き

  • 爽快で楽しいミュージカルが好き

  • ビヨンセ、ブリトニー・スピアーズ、アデルなどの洋楽ポップが好き

  • ライブ感の強い作品が好き

  • 歴史を語り直す作品が好き

題材について

この作品の主人公は英国王ヘンリー8世の6人の妻たち。
全員実在の人物なので、情報は調べればたくさん出てくるのですが、ここでは「観客が既に知っている前提でSIXに含まれていること」に絞って紹介していきます。

ヘンリー8世

16世紀前半のイングランド国王。
世継ぎを得るために妻を取っ替え引っ替えした結果、生涯で6度の結婚をしたことで知られています。
英国史上、最も悪名高い国王と言っても過言ではないでしょう。
日本で例えるなら、日本史に詳しくない人でも「織田信長といえばホトトギスを殺すタイプの暴君」というふんわりしたイメージを持っているのに似ているかも。
ヘンリー8世といえば、6人の妻がいた暴君。そんなふんわりしたイメージがあればOKです。

6人の妻たち

イギリスでは必ず歴史の授業で習うであろうフレーズがあります。

“Divorced, beheaded, died, divorced, beheaded, survived.”
「離婚、処刑、死別、離婚、処刑、生存」

6人の妻がそれぞれどのようにしてヘンリーと別れたかを覚えるための語呂の良いフレーズです。
このフレーズのおかげで、「6人の名前や人物像は覚えてないけど、どんな結末を迎えたかは覚えている」という人も多いと思います。

1人目の妻、キャサリン・オブ・アラゴン

元々はヘンリーのお兄さんの許嫁としてスペインから嫁いできたキャサリン。お兄さんが早くに亡くなったため、代わりに弟のヘンリーと結婚することになります。
赤子が産まれてもすぐに死んでしまうことが多かった時代。ヘンリーは世継ぎとなる息子を切望していましたが、二人の間で育ったのは娘メアリーだけでした。

2人目の妻、アン・ブーリン

6人の中でも圧倒的な知名度を誇るのが2人目の妻、アン・ブーリン。
ヘンリーはアンと結婚するため、最初の妻キャサリンとの離婚を画策しましたが、離婚を認めないローマ教皇と決裂し、イングランド国教会の独立を成立させます。すべてはアンと結婚するために。
しかし、そのわずか3年後、アンは王の命令により処刑されます。

映画などでは、国家を巻き込む略奪婚を果たした魔性の女として描かれがちです。
電話の保留音でお馴染みのメロディ「グリーンスリーブス」は、ヘンリーがアンのために作曲したという伝説(not史実)もあります。

3人目の妻、ジェーン・シーモア

唯一ヘンリーと「死別」した妻。ヘンリーにとって待望の世継ぎとなる息子を産んだ女性でもあります。出産時の負担が大きく、息子を産んですぐに亡くなりました。

4人目の妻、アン・オブ・クレーヴス

ドイツから嫁いできたアン。この人に関しては前情報は不要かもしれません。SIXを楽しみましょう。

5人目の妻、キャサリン・ハワード

10代という若さで当時49歳のヘンリーに嫁いだキャサリン。その後、姦通の罪で処刑されました。

6人目の妻、キャサリン・パー

ヘンリーが先に寿命を迎えたため、唯一のサバイバーとなった王妃。実はキャサリンにとってもヘンリーは3人目の夫でした。

おまけ: ハンス・ホルバイン

ヘンリー8世を含む多くの人の肖像画を残したドイツ出身の画家。


上記を抑えておけばSIXを楽しむ準備はバッチリです!
あとは六者六様のクイーンたちがセンターを競い合う様子を楽しみましょう👑


おまけのおまけ
ネタバレをしない範囲でSIXの好きなところを上げると、まず楽曲。世代ど真ん中の洋楽ポップスを踏襲していてツボが刺激される。
そして衣装。絶妙に時代感がミックスされた実用的なアイドル衣装という感じでとても可愛い。同じ役でも複数のデザインがあって、キャストによってスカートだったりパンツだったりするのも良い。
作品の背景。制作者のトビー・マーロウとルーシー・モスはケンブリッジ大学在学時にSIXを書き上げたらしい。それがここまで世界的なヒット作になるなんて、なんだかとても良い。
何より多様なキャスティング!どんな舞台作品でもそうだけど、SIXは特にキャストの色が濃く出ると思う。誰が演じるかによってガラッと役柄の印象が変わる。人種も体型もバックグラウンドも本当に様々で、全員もれなくカッコ良くて、最高。楽しみだなあ。


ハンス・ホルバイン作 ヘンリー8世の肖像画
https://www.liverpoolmuseums.org.uk/artifact/henry-viii

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