〔story〕僕と私
『痛い…痛い…
う、うぅ、、うわぁまたやったよ、』
〔朝の夕焼け〕
彼女が言った言葉を僕は忘れてない
薄暗い夏の朝
少しまだ肌寒く時々寂しさがこみ上げて泣いてしまうくらいの夏だ。
僕が恋していた彼女が言った言葉は大体覚えている。過去には恋人が沢山いたがその中で、いや、その中なんて一括りにできない。
恋をしていたのかなんなのかまだ分かっていないが明らかに今までと違うほど大切だったり。
いつもどこか寂しそうでいつも泣きそうな顔をしている、それなのに笑う彼女。
上司と付き合わされた飲み会の帰りの薄暗い明け方の小道で思わず抱擁してしまった朝。
「朝の夕焼け」
と言った。
ただその一言、彼女はなんとも言えない表情で僕を突き放したように。
それからは僕たちは何も言わずに僕の家に帰ったし、部屋着とシャワーを貸して何もせずにいた。同じベッドの上、おやすみと言ったものの寝れないで2人とも起きていた。
多分、彼女は寝るのを諦めた。まるで僕の家に住んでいたかのような感じでコップを取り水を2つ持ってきた。
「私、猫になりたいんだ。」
彼女の頬は濡れていた。
「僕は、星の王子様になりたい。」
理由はお互い聞かなかった。
急に眠気が襲ってきた。
「僕、寝るからなんでも自由に使っていいよ。」
「うん。ありがとう」
それから朝起きた、
『痛い…痛い…
う、うぅ、、うわぁまたやったよ、え?なんで僕床で寝てるの?こんなにベットから離れてるし…』
テーブルには置き手紙が
〔猫になりました。ありがとう。〕
彼女からの手紙かあ、
にしてもこんなにも寝てる間に暴れた事あったかなあ、と思う。
そして次起きた時、僕は病室で寝ていた。
記憶は無い。
お医者様が言うに、夜中病院に死にたいですと言って鞄の中から包丁を出して自分でお腹を刺したらしい。それも結構危ないところに。
僕が目が覚めたからお医者様は昨日あったことを聞いて行った。
「昨日は、会社の上司と夜12時過ぎまで飲んでました。それで家に帰って。猫になりたい、、、あれ。朝の夕焼け、、」
「どうしたの?」
「いや、僕、別に死にたかったとか思った事ないんですよ。それに昨日、彼女と一緒に居たし、、でも、彼女の名前が思い出せない。」
「ああそうか、君は夢を見ていたんだよ。走馬灯のようなものかな。ははっ」
『笑われた私は許さない。』
次、目が覚めた時、僕はなんか拘束されていた。そしてお医者様から説明された。
「いいですか、あなたの中に2つの人格があります。あなたとあなたが言う彼女。わかりやすく言うと多重人格のようもの。」
「はい。」
僕はすぐに理解した。なぜなら僕と私はもう中学生ごろからいた気がした。
気がついたら違うところにいた。気がついたら友達と喧嘩になっていた。気がついたら自撮りをしてたり料理をしてたりした。授業中だってそうゆうことが起きるから僕のこと多重人格だぁとかいって幸いにもいじめられてはいなかったけど、つらかった。
かなり辛い。僕は猫になりたい。
『私が僕になるね、君は休んでて助けてあげる。』
そんな声が聞こえると完全に閉ざされた部屋みたいな僕のユートピアが広がっていた。
僕は猫になったんだ
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