月波子

お疲れ様です、月波子です。 拙い小説を書いています。 人生、崖っぷちです。

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最近の記事

死体蹴り #4

家に着いても脳が何も追いついておらず、 ドキドキが続いていた。 あの写真の女性たちは一体何だったんだ。 それに加奈はどうしてあんなこと… 「晩御飯…」 どうにかカレーの材料は買ってきたものの何も手につかない。早く作らないと夫が帰ってくる。 早く、でないと、また… 以前パートをしていた時、帰りが遅くなり晩御飯が間に合わなかったことがあった。 夫は大きなため息をつきながら怒鳴った。 「家のことできないならパートなんかやるな。どうせ稼ぎも少ないんだから。」 私は何も言

    • 死体蹴り #3

      「みんなトドみたいじゃない?」 そう言いながら笑う加奈に私は戸惑いを隠せなかった。 32歳。 20代の頃とは違い、体はだらしなくなったし肌だって悩みも増えた。 ああ、歳をとった。最近は人様の目に触れるのでさえ億劫になる。 そんな私とってこの写真はあまりにも衝撃的なものだった。 「5人いるんだけどみんな年齢もバラバラなの。 この人は私の10個上でしょ。この子はまだ20代。そうそう、この人は52歳だよ。あと1人は私と同世代ぐらいだっけ。ラブホテルで撮ってもらったんだけど、

      • 死体蹴り #2

        指定されたカフェに行くと見慣れない女性がテラスに座って手を振っている。 髪の毛をバッサリ切った彼女はまるで別人のようだった。 「久しぶり、元気してた?」 加奈とは大学時代からの友だちだ。 いつも化粧をせず長い髪の毛を無造作におろし服にも無頓着だった加奈が今ではしっかりメイクをして全身ブランドで身を固めていた。 「美香?」 不思議そうに見つめる彼女はもう私の知らない人だった。 加奈は私と同じだった。 同じ時期に結婚したが子どもがいない。 昔はよく遊んでいたが2年前、

        • 死体蹴り #1

          雨が降ったから泣いてしまった。 たったそれだけの事で私はすぐに泣いてしまう。 午後2時というのは私にとって魔の時間帯なのだ。 朝ごはんを作り夫を送り出した後、洗濯物を干し、掃除や買い物を済ませると必ずソレはやってくる。 いつか夫が言った 「主婦って普段何してんの?真昼間からテレビ見たりごろごろしたり、あげくには友達とランチになんか行ったりして。」 と言ういかにもなテンプレートの言葉と一緒に、社会から孤立し、お前はもうここにしか居場所がないと後ろ指を差されながらお昼ご飯

        死体蹴り #4

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        • きょうのこと
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