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帰ってきたビルマのゼロ・ファイター ­­-- ミャンマー全土停戦と日本兵遺骨収集の記録【61】


この人、マジでスゴすぎる‼️

井本さんのことを知ったのは、DHCテレビの『虎ノ門ニュース』です。お酒が大好きで、語り口は飄々とした《オモロいおっちゃん》という印象でした。でも、やっていることはものすごくて… 以下、帯書きより

一人でミャンマーの紛争地へ乗り込み、少数民族のゲリラ達と酒を酌み交わし、全土停戦へ導いた。その功績により、旧日本兵の遺骨の在処を知らされる。の地には今尚、四万五千柱の英霊が祖国・日本への帰還を待っていたのだ。
(後略)
『帰ってきたビルマのゼロ・ファイター』

「ゼロ・ファイター」のゼロは、「資金ゼロ」ということらしいです。
活動も無償ボランティアだし。何にしても、ゼロから始められる人って、凄いですよね!

そして、お酒好きが功を奏してます!一晩酒を酌み交わせば民族を超えて分かり合える…というのは、理解できます。やっぱり食事だけじゃなくて、お酒だよね… 私は下戸なので、お酒飲める人が羨ましいです…

やっぱりお天道様は見ている

そう思うのは、井本さんが動くと決めた時から、周囲が動き出し、意外な縁(マンゴー)が日本兵の遺骨調査事業を結んでくれるという、ドラマティックな展開があったからです。彼の地に眠る英霊が導いた…とも考えられませんか?

圧倒的な能力を持つ人には余裕がある

この本は、井本さんの手記と、九州朝日放送のディレクター(荒木愛子さん)が記した、井本さん密着ドキュメント番組(「ミャンマーのゼロファイター」「続ミャンマーのゼロファイター」「果てなき家路」)制作記の2本立てで構成されています。

井本さんの手記の部分は、とにかく面白くて、井本さんの人間としての大きさを感じました。余裕がないと、こんな過酷な状況をユーモア溢れる手記にはできない!

『英霊の目線で』のひと言が刺さる

番組制作記の部分に、インパール作戦で生き残った元兵士(今泉清詞さん)との対談がありました。その中で語られた井本さんの活動に対する今泉さんの「…もう遅すぎる」「顔も見たことがない、遺骨が帰ってきて喜ぶ人はいないんですよ」という考えに、井本さんはこう応えます。

「私は英霊の目線でやらなきゃだめだと思います。七十年眠ったままですから、帰りたいと思う。(中略)でもそれでも僕はみんな日本に帰りたいと思っていると思う。もうすぐミャンマーに戻りますが、引き続きこの遺骨の調査だけは英霊の目線でやらせていただきたい。一日も早くみなさんが帰国できるように頑張りたいと思います」

今泉さんは、せっかく70年振りに帰ってきた仲間が、親族に歓迎されないのは悲しすぎると思っておられたのかもしれません。でも、日本に帰りたいと思いながら亡くなった方たちが、帰って来ることができないのはもっと悲しいと、井本さんの言葉が突き刺さりました。

やっぱり動かない日本政府

井本さんの働きかけによって、一度は動いた日本政府は、予算はつけるものの、肝心な動きは見せない。法律は作っても、運用されない。現地の人たちは協力すると言っているのに、政府が公に働きかけないので、遺骨調査は遅々として進まない…国の本気度が見えない
2017年3月、井本さんは「国には見切りをつけました。国の事業から撤退します」と告げた。
やっぱり…と、思いました。未だに北朝鮮拉致被害者が帰国出来ないのも、こういうことなんだな…と、残念な思いです。

日本政府とは対照的なアメリカ軍

2018年春には、アメリカ軍のDPAAから「共に協力して、遺骨を祖国の家族や愛する人たちの元に返そう」という申し出が、日本政府を介さず、直接井本さんにもたらされたそうです。

一日も早く、一柱でも多く帰国されることを祈ります。

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ミャンマー危機の中

現在、井本さんはミャンマーで人道支援にあたっておられるそうです。
早く国内が落ち着いて、また遺骨調査が再開されますように…

#読書記録  #自分軸読書 #井本勝幸 #ミャンマー