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聾《デフ》8巻【91】

『Silent』を観て手話に興味を持った人必読!

 『Silent』の大ヒットで、手話に興味を持った人が増えたことと思います。そんなあなた、もう1歩進んで《ろう文化》も学んでみましょう! きっと、もっと手話が好きになりますよ! 
 ろう漫画家・松谷琢也さんの最新刊です。巻を重ねて、もう8巻になりました。竜一君とようこちゃんも2児のパパとママです。
 5巻あたりから内容が深くなったと感じていましたが、8巻はさらに深く濃い内容です。特に、聴覚障害者を嫌う聴者の木下さんが、難聴者に恋をするというまさかの展開!好きな人のために手話を覚える姿は『Silent』の紬ちゃんとも重なりますね。木下さん、あんなに憎ったらしいキャラが一変!!恋する乙女になっちゃいました♡♡♡ 果たして、彼女の恋は成就するのでしょうか?木下さんは、聴者と聴覚障害者の壁を越えられるのか?注目です!

長いセリフに込められた想い

 さらに注目すべきは、木下さんへ課長さんが経験談を語る内容です。ろう者と仲良くしたい聴者が陥りがちな行動に、私も《やらかしてたんじゃないか?》と、ハッとしました。課長さんの長台詞に、作者の思いがヒシヒシと伝わってきます。この回は、今だからこそ多くの人に読んで欲しいです。

医学の進歩が重い決断を迫る

 人工内耳についても詳しく解説してありました。連載を読んでいたときは難しくて理解できなかったのですが、耳の解剖や聴覚の仕組み、補聴器について勉強した今は、ちゃんと理解できました。講座の時は「これからは人工内耳で難聴者の生活が変わる」と、かなり楽観的に言われていましたが、そんなに単純なことではないことも分かります。実際に人工内耳を装着している難聴者の話を聞く機会もあったため、やはり当事者の考えや、体験談は何よりも尊いと感じました。

とにかく8巻から読んでみよ!

 個人的には、出版された時期といい、内容といい、神回ならぬ神巻だと思っています。ここから読み始めても十分に楽しめるし、考えさせられます。ここでは触れませんでしたが、ちょっとした事件も起こり、これも気づきになります。多くの人に(特にろう文化に触れたことのない聴者に)読んで欲しい。そして、考えて、行動して欲しいと思います。