東京外国語大学2022年度第2問・問7についてのメモ

主題:吉田はなぜサンフランシスコ講和条約の締結を弁護しなければならないと考えたのか
条件:3つの指定語句を使用する(冷戦,アメリカ,全面講和)


注意点
設問に「この文章には,吉田茂自身が築いた戦後日本外交の基礎を正当化する意図が込められていた」と書かれていることをふまえておくとよい。


史料
「この両国(英米)の結びつきは依然として国際政局,特に自由諸国の間における外交的主軸としての意義を失っていない。」

「近年いわゆる進歩的文化人や左翼の革新的思想の持ち主と称せられる連中が,何か対米関係の問題が起ると,アメリカの植民地化だとか……これが日英同盟から僅々半世紀を経たに過ぎない日本人の姿かと,私はむしろ奇異の感を抱かされるのである。…日本が日英同盟のゆえに,英国に従属するに至った事実は,少しもないことを知らねばならぬのである。」

全面講和の立場にたつ人々が単独講和を選択したことを批判していたことだけでなく,日米安保条約をアメリカへの従属・追随とする批判があったこと,それが社会党などの革新勢力だけではなく,鳩山一郎ら保守勢力も含み,彼らが対米自主外交を展開しようとしたことを想起するとよい。


解答例
冷戦のもと,吉田が米英協調を明治以来の外交的主軸と考え,西側諸国のみとの単独講和を選び,安全保障をアメリカに依存したのに対し,全面講和を主張し,日米安保条約をアメリカへの従属として反対する人々がいた。
※太字が下線部分


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