東京外国語大学2016年第1問・問8についてのメモ

設問の要求を確認する
主題:本文中で述べられている女性参政権の実現に至る過程
条件:戦前からこの時期に至る近代の女性解放運動の動向をふまえる
   5つの指定語句を使用する
   雑誌『青鞜』 新婦人協会 赤瀾会 普通選挙法 女性代議士


テーマは何か? 女性解放か? では,女性の,何からの解放なのか。
→本文(資料文)を参考に考える。


本文(資料文)の読み取り
衆議院議員選挙法
・女性は選挙権・被選挙権から除外
明治民法
・「台所をあずかる」
・「家庭における女子の無制限な,無給労働と,奴隷的な服従の習慣」
→女性の役割を家庭内(家事・育児)に限らせ,良妻賢母として生きることを求める
労働問題
・産業革命のなかで低廉な女子労働
まとめ:「家庭と,職場とにおける女子の二重の隷属」
「すでに平等参政権がみとめられた上は,社会的,経済的平等は当然の結果であり,教育,職業,家族制度における不平等は必然に撤廃の運命にある」


対象時期の確定
始期:選挙の開始,明治民法
終期:女性参政権の実現,女性代議士の登場


女性解放運動
・青鞜社:家(家庭)の束縛から積極的に解放されようとする女性たちが集まる
・新婦人協会:女性の政治活動に自由をもとめて治安警察法第5条の改正をめざす
・赤瀾会:社会主義の立場にたつ ※この指定語句がやや細かめ
・婦人参政権獲得期成同盟会:女性参政権の実現をめざす


【解答例】
立憲体制の形成により国民の政治参加が実現したが,選挙権・被選挙権ともに男性に限られ,明治民法では戸主の権限が強い家制度が定められた。そうしたなか,女性は家庭内で良妻賢母として生きることが求められ,政治に参加する権利を持たない存在とされた。さらに,産業革命が進展するのにともない,女性が労働者として社会進出したものの,家計を補う存在でしかなかった。これに対して明治末,雑誌『青鞜』が創刊され,家庭の束縛から解放されようとする動きが始まった。大正期には新婦人協会が結成され,女性の政治活動を禁じた治安警察法の改正を求める運動が進み,社会主義の立場にたつ赤瀾会も結成された。女性の参政権を求める運動が始まったものの,護憲三派内閣のもとで制定された普通選挙法は男性普通選挙を実現したにすぎなかった。アジア太平洋戦争の敗戦後になり,連合国軍の民主化政策によってようやく女性参政権が実現し,女性代議士も誕生した。(400字)
太字が下線部分


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