メンバーのやる気を引き出すには
こんにちは。企業や組織の個性を見つけ潜在力を引き出す、自動操縦経営コンサルタントで中小企業診断士・司法書士・メンタルトレーナーの小野司です。
オートパイロット経営(自動操縦経営)で最も重要なのは、現場の自立性・創造性を高めること、そして会社や組織の個性を活かした事業計画(設計図)を作ることです。
リーダーが現場に行かないと作業が滞るのをなくしたい、経営を自動化したいという、若手リーダー、経営者様にそのヒントをお届けしています。
人のやる気を引き出すには、大きく2つあると言われています。
①悩みの解消、②ほしい未来の実現
です。
カイゼン活動も同じです。
カイゼン活動をして、①悩みが解消される、②ほしい未来に近づくと
メンバーが思えれば、やる気が引き出されます。
では、①悩みの解消と②ほしい未来の実現のどちらに取り組めばいいでしょうか?
最初に、平成30年子供・若者白書のデータを紹介します。
就労等に関する若者の意識調査の結果の中に
「仕事をする目的(2つまで回答)」があります。
この上位5つをピックアップします。
1位 収入を得るため 84.6%
2位 仕事を通して達成感や生きがいを得るため 15.8%
3位 自分の能力を発揮するため 15.7%
4位 働くのがあたりまえだから 14.8%
5位 人の役に立つため 13.6%
1位は85%に対し、2位以下の回答は15%程度にとどまります。
これから考えられることですが、、
リーダーが若者に対し、
「仕事の達成感を得るためにがんばろう!」
「能力を発揮するためにがんばろう!」
「人の役に立つのでがんばろう!」
と声がけした場合、
やる気が高まる人は15%程度かもしれないのです。
また、同じ調査結果には、
「仕事の選択に際して重要視する観点」もありました。
「とても重要」または「まあ重要」と回答した人の上位と下位を示します。
上位3つは、
・安定していて長く続けられること 88.8%
・収入が多いこと 88.7%
・自分のやりたいことができること 88.5%
下位3つは、
・実力主義で偉くなれること 51.6%
・特別に指示されずに、自分の責任で決められること 55.8%
・社会的評価の高い仕事であること 57.2%
ということは、リーダーは若者に対し、下位3つの
「実力主義で偉くなれるよ」
「指示されずに、自分の責任で決められるよ」
「社会的評価の高い仕事だよ」
と伝えても、ココロに響かないこともあると思います。
このアンケートは、16歳から29歳までの男女に対し行われたものです。しかし、私が接したカイゼン現場では、ベテランにもあてはまるのでは、と思うことも少なからずあります。
そのため、最初に、メンバーやる気を引き出す時は、
①悩みの解消と②ほしい未来の実現
であれば、①の方を優先して取り組むことが多いです。
私は、カイゼン活動に入る前には、
筆記開示法という手法を用いて、メンバーの
①不便・不自由・不足・不平・不満などの「不」、と
②目指したい姿
の2つを書き出してもらっています。
今まで数百回行っていますが、
①の「不」は多く書き出されるのに対し、
②の目指したい姿はあまり書き出されません。
このことからも、メンバーのやる気を引き出すには、
悩みを聞いて、それを解消する
ための取り組みの方が効果的な場合が多いです。
もちろん、組織として成長し、成熟している場合は、
ほしい未来の実現
のための取り組みの方が効果的ですし、そのような組織もあると思います。
一方、メンバーの悩みを聞くことですが、これは難しいです。
悩みを他人に話すということは、
・自分の弱いところを見せることになる
・負けたような気持ちになる
・後でめんどくさくなりそう
というような側面もあるからです。
そのため、カイゼン活動では、
組織の仕組み上の不便・不自由・不足・不平・不満などの「不」
を書き出してもらっています。
「不」でしたら、言い放しできますし、悩みよりはオープンにしやすいのです。
リーダーは、それら「不」の中から、メンバーの悩みを感じ取ります。
そして、その悩みを解消するために、カイゼン活動をしましょうと
伝えると、メンバーのやる気が引き出されます。
実際には「その悩みの解消するためやりましょう!」とダイレクトには言いませんが。
例えば、メンバーが、日報を書くことが大変で悩みになっているのであれば、「日報を見直しましょう」でもいいのです。
若きリーダーさん、経営者さんの参考になればうれしいです。
「不」の書き出しの考え方については、拙著『ちっちゃな「不」の解消から始めるカイゼン活動』p18を参照ください。
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