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手作業の生産性を上げる方法

こんにちは。企業改革コンサルタントの小野司です。

企業改革に取り組む若きリーダーさん、そしてウィズコロナなどで、企業改革に取り組まれる企業さまに、改革のヒントをお届けしています。

工場の現場では、機械化したくてもできない工程があります。多くは、自動化できる設備機器ない、設備機器はあるが買えないの2つの場合です。

前者は、設備機器自体が開発されていない、あるいは開発されているが性能的に実用レベルではない、という場合です。後者は、機器自体が高過ぎて投資に見合わない、あるいは、さほど高価ではないが、今は資金面で難しいという場合です。

機械化できない場合、手作業工程の生産性を上げることになります。多くの場合、手作業の工程はボトルネックになっていることが多いからです。

ボトルネック工程の場合、この工程の生産性を20%アップするだけで、売上高が20%アップになるということもありうるのです。

手作業工程の生産性アップの方法は、スポーツでのビデオ指導と同様です。

例えば、走るタイムを縮めるために、コーチが、選手のフォームをビデオ撮影することがあります。タイムを縮めるために、選手のフォームなどを分析し指導します。これと同じ方法です。

以下に事例を紹介いたします。

ある木材加工会社の事例です。木目の向きを同じ方向に合わせる工程がありました。ボトルネック工程でした。その工程では、指の腹で、木の表面を触り、向きを判別するという作業でした。ここでは、触感判別と呼びます。
作業者3人に対し、ビデオ撮影し、タイム計測しました。最もタイムの速い作業者とタイムの遅い作業者では50%以上の差になっていました。その後、3人のタイムに違いを、作業者みんなで分析しました。
まず、最もタイムのいい作業者に、タイム短縮のコツをお話ししてもらいました。その結果、ノウハウとして見えてきたことは、“触感判別するのとは別の手の指の使い方“でした。触感判別する指ではないのです。
その別の手の指の使い方ですが、指の端の部分で木片の角を押すというものでした。この押し加減が、タイム短縮に効果があるとわかりました。 

それを知らない作業者も多く共有化しました。

別の事例を紹介します。ハケ塗りの工程です。少し特殊な作業のため、機械化は困難なため、手作業でした。これも、ボトルネック工程でした。
この場合は、タイムの最も速い作業者と、タイムの遅い作業者で3倍もの差になっていました。作業のポイントは、膝と腿の使い方でした。膝と腿の使い方を変えることで、歩幅を大きく取れるようになります。そして、足を運ぶ回数も少なくできるのです。
足を運ぶ回数を減らすことで、作業も楽になり、塗りムラを少なくできるのです。つまり、速くて品質のいいものを、楽に作れるようになるのです。

これもみんなで共有化しました。

その他にも、木材や金属のやすりがけの作業、キャベツをカットする作業、スーパーの棚に商品を陳列する作業、鮮魚の加工の作業、などできるところは多くあります。

また、このビデオ撮影法は、パソコン作業、伝票集計作業、経理などの表作成など、事務作業でも使えます。


具体的なビデオ撮影法は以下です。学生時代の部活と同じです。

部活の場合は、各自のプレー中のフォーム等をビデオで撮ります。チーム内のトップ選手に、自分のプレーを解説してもらいます。さらに、他の選手の映像を見て、もっと上手くなるコツを言ってもらうことをします。
また、トップ選手でなくても、メンバー同士で、仲間のプレーが上達する方法を教え合います。

これはチーム強化に効果があります。これと同じです。

1.ビデオ撮影

工場や事務所の作業の場合です。作業の様子を、ビデオで撮ります。撮り方は難しく考えず、その作業のコツとなるところを撮ります。

例えば、手作業中心であれば、手元です。足の運び方がポイントであれば足も入れます。

少しくらい撮り違えてもいいです。撮り直せばいいだけです。でも、多くの会社さんは、最初から上手く撮られていますので、大丈夫だと思います。

2.ミーティング

そして、作業者みんなで、ビデオをみながらミーティングします。自分の作業を、各自解説します。また、コツやノウハウを教え合います。

スポーツと同じで、手作業で速い方は、ムダな動きがなくきれいです。そして、身体的にも楽です。そうです。生産性の高い作業は、楽なことが多いのです。

現場の作業者に、もっと楽になるために、ビデオ分析しましょうと言ってやってもらうのです。だいたいの場合、みなさん乗り気になってくれます。ミーティング自体も盛り上がります。


若き改革リーダーのみなさま。現場の作業員さんの様子をビデオで撮り、ミーティングの場を設けるだけです。

現場の方の多くは、自分の作業をビデオや写真で見ることなどほとんどないのです。ですから、みなさん、興味深くビデオを見られます。そして何より、現場の方たちは、自発的に話し出すのです。アイディアもいろいろ出てきます。

そのビデオ撮影する工程はボトルネックにします。そうしますと生産性が上がります。

副次的な狙いですが、現場の方は、話しをする場をほしがっています。飲み会の少なくなった今、交流の機会作りについて、相談を受けることがあります。

その方法の一つとして、ビデオ撮影してのミーティングがあります。ビデオでの盛り上がりも、現場の交流の場として、取り入れられてはいかがでしょうか。(外国人研修などとやっても、盛り上がりそうです。)







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