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こぎんデザイナーになりました

(約 5,800文字の記事です。)

突然ですが、私はクリエイト活動の第2軸として「こぎん刺し」のデザイナーになりました!3DCGクリエーター+こぎんデザイナーの2本柱で活動していくことにしました。

こぎん刺しとは


こぎん刺しとは青森県に古くから伝わる刺繍のような縫い物です。伝統手芸ではあるものの、今ではその応用範囲があまり広くなく、実用的なものとして現在知られているものはバッグやがま口の財布などの小物が多い状況です。一時期は知名度があったらしいのですが、デジタル全盛の今、その知名度は低くなっていると感じます。一部の愛好家が手芸で楽しむ程度であり、プロの業界としては高齢化が進んでいる印象です。要は新規参入がない状態。


頼まれ仕事でデザイン

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詳細は伏せますがなんやかんや色々あって、伝統的なデザインではない新しい物を!ということで、従来の伝統を重んじつつもデジタル技術を駆使して斬新なものを作ろう、ということになりまして、ゼロスタートですが色々学んでデザインしたのが先月の話。

リクエストされてからこぎん刺しのことを学び、色々なこぎんのルールや制約事項などを学んだ後にデザインを開始しました。デザイン自体は2週間ほど前に完成し、今日、現物が実際に無事に仕上がり、納品用の梱包が終わりました。

全体像はまだ見せることはできませんが、これまでにない斬新な手法で成果物が完成しました。近日中にブログにUPします。伝統的な柄を守りつつも、これまでにない表現になったと思っています。

(上記は全体像の一部分です。モザイク処理をしています。)

ちょっとだけお伝えするとすれば、従来技術では実現がとてつもなく困難だった「真円」「楕円」をふんだんに取り込んだこぎん刺しをデザインしました。ただし縫うのは私ではなく経験者です。今日、刺し手によって無事に完成しました。

世界で1枚だけのアナログ表現です。


デジタル3DCGとアナログこぎんと

まったく相反する2つのものを手がけることになりました。今まではフルデジタルの3DCG、デジタルな技術と知識と表現力を駆使して表現する世界でしたが、こぎんの世界は完全にアナログな世界。効率化にも限界があるし、コピーも量産もできない。糸で1目ずつ刺す以外に表現手段がない。全く逆の世界です。

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刺すのは大変ですが、デザインはできてしまいました。なので今後は自分も自分の手で糸を刺してこぎんを作ることになると思います。まだ修行開始前ですが、デザインはできます。なのでこれからは、自分が好きなようにデザインをして、これまでにない斬新な「ヘンテコなもの」を作っていきたいと思っています(笑)デザインから制作まで自分でできてこそのクリエーターだと思うからです。今はまだデザイン専業ですが……。


伝統と斬新の融合

私の個人的な思いは、新たなこぎんのパターンを作り出すつもりはありません。逆に伝統的なパターンを多用したいと持っています。いにしえの、古くからある、伝統的な図柄の繰り返し(タイリング)に美しさを感じたからです。

ただし、ただの繰り返しだけでは商品価値が低い。それを証明するかのように、既存のこぎん刺しグッズは「商品パターンが決まっていて」、イマイチ私が欲しいものはないし、今の若者や老若男女にとってもあまり魅力的ではないと感じています。

そこをこれからは「私が思う・考える」に基づいて自由にデザインしつつも、伝統的なタイリングと斬新なデザイン・創作物を作って世の中に価値を提供できればいいな、と思っています。


マネタイズ

今回は3DCGのときと違って、最初からマネタイズを前提にして展開していきます。3DCGは本当に趣味から始まって、次に「もしかしたらマネタイズできる?」とおっかなびっくりでスタートしましたが、今回は2種類目ということで、これまでの知識をつぎ込んで「いきなりマネタイズありき」でスタートしようと思っています。

こぎんのデザインは初めてでしたが、実際に仕上がりました。成功体験レベル1をクリアです(笑)そしてやっていることはシンプルなので、そのルールに沿えばいくらでも自由にデザインできます。

デザインは自由でも、それを実際に刺して製品にするためには更に倍のエネルギーが必要です。デジタル設計でも、成果物はアナログなので、次のステップでデジタル>アナログ変換が必要です。このデジアナ変換は、一般的に、どんな分野でも一番苦労する部分です。デジタル>デジタルなら簡単だが、デジアナ変換は大変。アナログな要素として、布糸の状態、刺し糸の状態、よれ、ほつれ、糸のテンションの状態等々、デジタルでは存在し得ないたくさんの要素が関わってきます。


一点ものの価値(非NFT)

そして1つずつしか作れない。全てが一品もの。デジタル作品でNFTが出てきた昨今、なぜか逆行してアナログでまさに文字通りの一点もの、それがこぎん刺しの成果物になります。裏に署名をペンで入れればまさに間違いのない一点ものの証明です。直筆が最高の証拠能力でしょう。


3DCG活動は?両刀使いでGo!

今のところ両刀で行こうと思っています。というのも、こぎん刺しというニッチな世界で果たしてどれだけマネタイズができるか分からない点と、ゼロからブログやSNSを育てるのが大変な点と、最終的にどっちがどれくらいの比率で忙しくなるか分からない点など、やってみないと分からないことが多すぎるため、ゼロスタートにするのが怖い、と言うのがあります。

もちろんブログも各専門分野で分けて2つ運営すれば一番いいのですが、2つの運営は色々と大変そうです。

なのでしばらくは両方とも現在のブログ、note、Twitterでまぜこぜで運用する予定です。

ただしマネタイズ前提なので、新たにホームページだけは作ろうと思っています。こぎん作品が欲しい人にリーチしやすくするためです。販売経路は使い慣れたBOOTHで、ただし別アカウントで運用予定。(BOOTHは1人で複数アカウントを認めています。)さすがに3DCGプラグインのDL販売と、こぎん刺しという物販はまぜこぜにする必要はないので、BOOTHでは2店舗に分ける予定。


将来的に3DCGとこぎんとの融合を考える

3DCGとこぎん、接点がなさそうで、結構あったりします。まずこぎんの繰り返しパターンは3DCGのテクスチャで言うところの「プロシージャルなテクスチャ」になります。もしかしたサブスタンスデザイナーを勉強したら応用できることがたくさんあるかも知れない。

またこぎんは布の表面の模様なので、ズバリそのまま3DCGのテクスチャになります。なので、実際に仕上げてみないと分からない「物品の見え方」について、まずはテクスチャとしてこぎんの模様をテクスチャで作成し、それをバッグなどのメッシュモデルの表面に配置してBlenderで撮影すれば、実際に膨大な手間をかけて仕上げる前に、仕上がりのイメージ、物品の大きさ、それに対する柄の大きさ、見栄え、色味(布の色、糸の色、配色変更)など、色々なことがデジタル上で可逆に調整できるはずです。

そういうことに応用することで、刺した後に失敗だった、ということを減らせます。アナログな作品作りはUndoできません。やり直しで全滅です。それを避けて設計段階で色んなパターンを「実際に目で見て確認できる」ことは、ただのこぎん作家にはできない私だけのアドバンテージだと思っています。

ただ、それも手間過ぎるので、無理矢理融合させる必要はないとも思っていますが。。。

そんな感じで、全く異色の組み合わせですが、やってみたいと思いました。


面白そうだから挑戦する!

実は結構色々なことを考えたり悩んだりしましたが、最終的には「面白そうだから」挑戦してみることにしました。ダメだったら撤退すればいい。それだけ。

うまくいったらマネタイズにつながる。こぎん刺しならば自分がおじいちゃんになっても刺せる。だっておばあちゃんでも刺せるのだから。そうなれば老後のマネタイズ手段があることは、とても安心材料につながる。また現在高齢の刺し手にも仕事を回せるかも知れない。(そんなに受注しまくればの話だが。)


美少女表現に飽きた

3DCGというよりも、クリエイト活動を通してずっと感じていた違和感。美少女に飽きたわけ。2次元の絵にしても、3Dのキャラクターモデリングにしても、そしてそれらがほとんど何かしらの一次著作物の焼き直し、模倣でしかない。表現として二次著作物は運用度がかなり低い。せいぜいファンアートであって、それでマネタイズはほぼできない。かといってオリジナル一次創作はエネルギーがとても必要。

そこまでして表現したい物は何か?これについては未だに結論を出せていない。

が、やはりというか、もう美少女の表現に飽きた、これが本音だ。見るだけでも世の中にはごまんとその表現が溢れている。今更自分が作り出す必要もなさそうだ、と思った。顔だけに限ればWebのAIを利用したサービスでCC0で無限に美少女絵を作り出してくれるサービスすらある。

次に頭身と身長を決めれば、人体構造は2000年も前から決まり切っている。過去に自分で作ってセットアップした素体モデルを流用すればいい。あとは衣類の新規セットアップくらいだろう。(新規の衣装デザインは実はかなりハードルが高い。)

ワークフローは見えている。で、何を作りたいか?これになる。これを作って納品してマネタイズできるならばいいが、現実問題、モデラー志望者が溢れている昨今、レッドオーシャンだ。趣味モデラーが入り込む隙はない。プロですらしのぎを削っているわけだから。(そもそもそんなにジャンジャンオリキャラが増えていくはずもない。そしてセットアップまでの価格を考えるとそんなにお金を出せる顧客もたくさんはいないはず。つまり高価格で狭い市場というわけだ。)

……、コンテンツを作り出す側じゃなくて、見る側・消費する側に戻ってもいいんじゃね? 疲れたよパトラッシュ、ということで、女性キャラを愛でるだけ、あるいは作品そのものや世界観を楽しむだけならば、クリエイトする側にいなくてもいいかなって思ったわけだ。


広い世代の人に誇れるポートフォリオを作りたい

今現在の私のポートフォリオは、ほとんどがZbrushプラグインというツールだ。目に見えるものというよりは機能を売りしにしている作品群だ。他にはBlenderのプラグイン解説集だ。これは見れば分かるが、アートではなくててこちらもツールだ。機能や利便性を売りにしているわけだ。うん、ニッチ。

もう少し一般的なアートとして、目に見える物で、広く受け入れられるアートを作りたいと思った。今回、縁があって、超絶反対側のアナログ表現、しかも伝統手芸の世界だ。これを現代のニーズに合わせたアートに昇華させたい。簡単に言えば古くからあるタイリングパターンを使って現代の生活様式に合わせたグッズに流用してマネタイズできないか?それへの挑戦である。

うまくいけば収入が増えるし、うまくいかなくてもまぁ伝統手芸に貢献できたという自信が生まれるし、デザインができるので自分が満足するまで自由にヘンテコなものをデザインしてもいい。


クリエイトは自由だ。

クリエイトは自由だ。だれにも文句を言われる筋合いはない。(聞く耳を持つかどうかは私の自由。好き勝手にやるのも自由。デザイナーだから自由にやる権利がある。他人に拘束される必要はない。)

そして私の強みとして、2Dグラフィックスと3Dグラフィックスがある。3DCG+こぎんというアーティストは日本にいるのか?というくらいヘンテコな分野のヘンテコクリエーターということになる。

そしてまた、ヘンテコな作品を作りたい。


食べ物の表現

は?何を言っているのかと思うかも知れないが、色々考えた末、今までの自分の人生を考えた上で、切っても切れなくて、考えていて楽しくて、というものを思案した結果、「食べ物に関する何か」を作るのが一番楽しいという結論に(笑)くいしんぼうなのである。

雑記帳の画像もお肉だし。Fusion 360で作った3DCG肉ですね。


だから、食べ物に関する何かを、伝統こぎんのタイリングとデジタル設計による丸い表現で、何かを作っていきたいと思ったのだ。当面の目標はこれだ。

青森県には色々美味しい物がたくさんある。りんご、大間の黒マグロ、陸奥湾のホタテ、八戸のイカ、田子のニンニク、などなど。海の幸も山の幸もある。弘前城と桜と桜ミクがあるw

それ以外にも、イタリアン、フレンチ、中華などなど、一般的な食べ物や料理はたくさんこの世に存在するが、それらをこぎんで表現できたら面白いのではないか?と思っている。それがアートとして価値が認められてマネタイズできるならば、一生できる趣味としてとても幸せかも知れない。だから挑戦しようと思ったわけ。


というわけで今後は3DCGクリエーター活動はいったんお休みして、Zbrushプラグインクリエーターとこぎんデザイナーの2種類を状況に応じて使い分ける予定です。

3DCGに期待してフォローしてくれている人には申し訳ありませんが、このアカウントにはちょくちょくこぎん刺しの話も入ってきます。どちらもクリエイトの成果物に変わりはないです。デザインという視点で見ればアナログもデジタルも、3Dも2Dも関係ない。そう考えればなかなか面白いかも知れません。(不要だと思ったらリムーブでOKですし)


というわけでこれからnoteもブログもこぎん刺しに関するテーマで更新が再開される予定です。

おっと、ならばマガジンにこぎん刺しというカテゴリを作らなきゃ……。


今夜はこれまで。


今回の創作活動は約2時間30分(累積 約2,550時間)
(677回目のnote更新)


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読んでくれてありがとう。気長にマイペースに書いてます。この出会いに感謝😊