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オールスターのトリコ

唐突に考えたら私は今、コンバースのオールスターというスニーカーを4足所持している。

私は学生時代から20代…そして現在も靴に関しては、ほとんど無頓着な方だと思っている。

元々、洋服などを含むファッションに興味を示す機会はほとんどなかった。そのため仕事で履く物以外は、最低限にして問題なく歩ける物ならなんでもいい、という考えが根付いている。

とはいえ昔から親の影響も若干あって、アディダスのシューズを一貫して履き続けているが、他のメーカーものを買うという選択肢は、20代後半ぐらいまでほとんど持ち合わせていなかった。

にも関わらずここ直近になって気が付けば、アディダスだけでなくコンバースのオールスターに手を付けるようになっていたのである。


もしきっかけがあるとするならば、数年前に公開された私が最も敬愛しているGRAPEVINEの「SPF」のミュージックビデオだろう。

その動画では、上半分が見切れたままブラウン管テレビの上に座り込むボーカルの田中氏が、流れるビートに沿ってつま先を動かすシーンがある。

薄暗い部屋の中その足元には、良い塩梅でジーパンとマッチした紺色に、アンクルパッチと呼ばれる足首の部分にキラリと輝く星マークが付いた、ハイカットタイプのオールスターが映し出されている。

ただこれを何度も試聴していた当時は、それを購入する意欲どころか興味を引くことすら何一つ無く「おしゃれな靴履いているなぁ」と在り来りな感想を述べたぐらいで、完全に素通りしていたのであった。


そこから今借りている住居へと引っ越してから数日経ったある日、折角だから他にも何か一新しておきたいと思い、某シューズ専門店に足を運んでみる。

そこでアディダスのスタンスミスを奮発して購入するのだが、それだけだとやや物足りないと密かに感じていた。

自分にとって良いと思えるものが何かないかと、さらに店内を見て回ったところ、少し変わった色のオールスターが目に飛び込んできたのである。

おまけに、良心的な価格が設けられた値札を前に心が揺らいでしまい、この日人生で初めてかつ30代を迎える前にしてようやく、アディダス以外のスニーカーに手を出す運びとなった。

その後でオンラインショップを開いて詳しく調べてみると、様々な色や形状の物が販売されていることに今更驚いては続けざまに2、3足買ってしまい、私の心はいつの間にかオールスターのとりこになっていたのである。


誕生から100年以上経ってもなお、世界中の人々に愛され続けていることはもちろんのこと、ファッションに全く疎い自分でも、ウェブサイトを中心に探し出せば気軽に買うことができる。

それだけでなく飽きを感じさせないデザインから、思わず取り憑かれてしまいそうな一際目立つ色まで、数え出したらキリがないほどに幅広いラインナップを持ち合わせている。

コンバースのオールスターにはそういった魅力が詰まっているのかもしれないと、数年前から履くようになって改めてそう感じるのであった。

最後までお読みいただきありがとうございました。 またお会いできる日を楽しみにしています!