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政治講座ⅴ1644「貧乏人の子沢山と一人っ子政策」

 不思議なことに「貧乏だと子沢山」になるようである。
なぜだろう?要因はいろいろ考えられる。貧乏人の娯楽はすくないから夜の快楽に走るという説。老後の福祉が充実していないので老後を子に託すため説。労働力不足で子供の貴重な労働力になるため家族を増やす説。若年による早婚により出産可能年齢が広がる説。
翻って、現在の社会状況は前述したことの真逆に働いているので、出生率が下がるのであろう。
社会主義・共産主義は計画経済に代表されるように失敗の連続である。ソ連の経済破綻しかり、毛沢東の大躍進政策、そして「一人っ子」政策の失敗、このような、人間の営みの何たるかを理解せずに机上の空論に終始しており、それが失敗となっているのである。人間の欲望を理解せずに社会の計画は出来ないのである。「共産主義」はその欲望を否定するところから始まっている。それが失敗の根本原因である。
今回は中国の報道記事を紹介する。

     皇紀2684年2月22日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

中国「一人っ子政策」、誤算が生じた背景

Liyan Qi の意見 • 3 時間

中国では少子化が大方の予想を上回る速さで進行し、人口学的崩壊への懸念が高まっている。しかも、その影響への対処は今や、40年余り前の計算ミスによって複雑になる可能性がある。

中国の「一人っ子政策」の立案者らは、現在進行中のこうした急速な変化を予想していなかった
史上最大級の社会実験であるこの政策は1980年ごろに導入された。当時、世界各国の政府は人口過剰が経済成長の妨げになることを懸念していた。
モスクワで学んだあるミサイル科学者が、ロケットの軌道計算に使われる数理モデルを人口の伸びに応用した計算表に基づいて、中国の政策を推し進めた

その40年後、中国では他の主要国よりもはるかに早い発展段階で高齢化が進行している。
少子高齢化は経済成長を阻害する恐れがある。一人っ子として育った世代の若い女性は出産にますます消極的になっており、その数は年々減っている。中国政府は一人っ子政策をきっかけに定着した意識を転換させることに苦慮している。

最近の政府統計によると、中国の出生数は2023年に50万人超減少し、22年から始まった人口減少に拍車をかけた。当局はその理由として、出産適齢期の女性の数が急減(前年比で300万人余り減少)したことを挙げ、人々の出産や結婚に対する考え方が変わったことを認めた。

研究者の間では、政府はこの問題を過小評価しており、人口減少はもっと早くから始まっていたとの指摘もある。

この統計の発表を受けて、豪ビクトリア大学と上海社会科学院の研究者らは、中国の人口が21世紀中に5億2500万人にまで減少するとの予測を示した。前回予測の5億9700万人から下方修正し、現在の14億人から急減するとしている。

ビクトリア大学のシニアリサーチフェローで人口調査を指揮するシウジェン・ペン氏は「われわれの2022年と23年の予測はすでに低かったが、実際の状況はさらに悪化している」と述べた。

中国の出生率は1.0に近づいており、人口を安定させる人口置換水準の2.1の半分に満たない。1970年代後半の出生率は3.0前後で推移していた。

当時の中国は文化大革命の混乱から脱し、経済改革に着手しようとしていた。同国の最高指導者である鄧小平をはじめとする当局者らは、ある科学者グループから「出生制限を始めなければ、100年後には人口が40億人を超える」と伝えられ、危機感を募らせた

この科学者の一部は、1980年初めに中国共産党機関紙「人民日報」に掲載された論文で、中国の人口過剰への対応策は「出生率を1まで下げること(中略)1組の夫婦が持つ子供は1人に限定すること」だと提言していた。

その年の秋、中国は全国的に一人っ子政策を実施し始めたが、その計算はいくつかの重要な要素を見落としていた。

中国「一人っ子政策」、誤算が生じた背景© The Wall Street Journal 提供

人口への不安

当時、人口過剰を懸念していたのは中国だけではない。1960年代から70年代にかけて世界人口が急増したことで、その2世紀近く前に英経済学者のトーマス・マルサスが論じた通り、人類は食糧生産の伸びを上回るペースで増殖するのではないかとの懸念が高まった。

中国当局は文化大革命後、科学研究を復活させる動きを強めていた。社会科学者らは毛沢東の紅衛兵によって迫害されたが、軍事関連の研究をしている者の一部は保護されていた。

その中には、中国の原爆プログラムの父の弟子で、人工衛星やロケットの開発に取り組む国内トップ科学者の一人だった宋建氏もいた。宋氏はモスクワに留学し、制御理論として知られる数学の一分野と軍事科学の上級学位を取得した。軍当局者らは文化大革命の混乱から逃れるため、宋氏をゴビ砂漠のロケット・人工衛星発射場に送った。

宋氏はその後、中国の科学技術部門を率いる国務委員(副首相級)となった。現在92歳である同氏に対し、中国国務院および中国工程院経由でコメントを求めたが、回答は得られなかった。

宋氏をはじめとする科学者チームは1979年後半、独自モデルに基づいた報告書を当局に提出し始めた。女性1人につき3人という一定の出生率であれば、2080年までに中国の人口は42億6000万人に達すると計算した。

コンピューターを駆使した数理モデルと政治的な人脈で、宋氏は中国指導部の注目を集めた。米ハーバード大学の人類学者で、一人っ子政策についての著書もあるスーザン・グリーンハル氏によると、宋氏は、人口の急増により中国は豊かで近代的な国になれないと主張した。

「彼は人口動態・経済・生態系の危機が訪れるという恐怖をあおる論調を用いて人々を説得した」とグリーンハル氏は言う。

当局は一人っ子政策に対する懐疑論を打ち消すために、出生数があまりにも減少した場合はギアの切り替えが可能だと表明した。共産党は1980年の公開書簡で「30年後には現在の特に恐ろしい人口増加問題は緩和される可能性があり、そうなれば異なる人口政策を採用(できる)」と述べている。

それから10年余りで出生率は人口置換水準を下回った。若い女性群はなお巨大で、人口は増え続けていた。だが、女児の新生児数は急速に減少していった。

中国「一人っ子政策」、誤算が生じた背景© The Wall Street Journal 提供

一人っ子政策の影響

数十年がたつにつれて、人口統計学者や経済学者の間で、一人っ子政策は時代遅れで欠陥があるとの声が高まった。平均寿命が延び、経済状況が改善するにつれ、中国の出生率は自然と下がっていたはずだという。

宋氏の人口計算に欠けていた要因の一つは人間の行動である。政府が時に残酷な強制措置(中絶や不妊手術など)を実施したり、小さな家族を持つことの利点を数十年にわたって宣伝したりした結果、一人っ子が当然という意識がずっと残ることになった。同氏のモデルはまた、中国では伝統的に男児を好む傾向があることを考慮していなかった。

現在、中国の人口動態ジレンマの中心にいるのは若い女性たちだ。

ハーバード大のグリーンハル氏によると、一人っ子政策の下で育った女性たちは中国政府の目標通り、数は減るものの「より質の高い」人口として成長した。すなわち、教育水準が高く知識も豊富で自立しているのだ。

こうした女性たちは、家庭に戻って専業主婦になることを受け入れないだろう」とグリーンハル氏は言う。

宋氏のモデルは文化や社会の変化だけでなく、経済的な要因も考慮していなかった。例えば、鄧小平の改革によって都市部に大量の農村住民が流れ込んだことが出生率の押し下げに想像以上に大きな役割を果たした、と研究者らは指摘している。

上海社会科学院で研究チームを率いる左学金氏は、10年余り前に人口動態の内部崩壊について警鐘を鳴らし、出産制限措置を正当化するような条件は全て消え去ったと述べた。

中国「一人っ子政策」、誤算が生じた背景© The Wall Street Journal 提供


中国「一人っ子政策」、誤算が生じた背景© The Wall Street Journal 提供

左氏は電子メールで、「長年にわたり、人口過剰は中国の大きな懸念事項だった。中国が人口の急速な減少と高齢化という問題を抱える見通しだということについて、政府や国民の理解を得るのは難しかった」と述べた。

宋氏は、自身の判断は正しかったとの考えを示している。同氏は母校の済南大学から2010年に出版された論文で、中国は「人口爆発」につながりかねない爆弾をうまく取り除いたと語っている。「(人口)ゼロ成長は現代人類の宿命であり、現代中国にとって喫緊の課題である」としている。同氏は中国の人口が減少に転じるのは2035年より後になると見込んでいた。公式統計では2022年から減少が始まっており、宋氏は10年余りも予測を外した格好となる。

中国政府は一人っ子政策によって4億人の出生を防いだと主張している。中国はこうした主張を世界への中国流の贈り物のように打ち出すことが多く、(中国が自主的なCO2削減目標を発表した)2009年のコペンハーゲンでの気候変動サミットでもそうだった。人口統計学者はこの数字を疑問視しており、中国の出生率は経済状況の改善に伴い、自然と低下していたはずだと指摘している。

現状把握を急ぐ人口統計学者

2015年に中国政府が一人っ子政策を廃止したときでさえ、指導部は出産制限を完全に廃止したわけではなく、二人目を容認する政策に軸足を移したに過ぎなかった。政府は現在、子どもを3人持つよう奨励しており、「出産に優しい文化」に戻るよう訴えている。

人口統計学者は出生数が急速に減少している現状に追い付こうとしている。国連が発表した中国の人口予測は、2020年の国勢調査に基づいて出生率を1.19と想定しており、すでに現実にそぐわないものとなっている。

国連の人口推計・予測部門の責任者であるパトリック・ガーランド氏は、同部門の計算は長期的なトレンドの捕捉が狙いであり、急激な変化には対応していないと述べた。中国の出生率は1.0に近いとする他の研究者の意見に同意するという。

「中国のように、ある年から次の年への出生率が急速に変化している国の場合、国連の2年前の予想よりも人口(予測)は少なくなるだろう」と同氏は述べた。国連は7月に最新予測を発表する予定だ。

中国「一人っ子政策」、誤算が生じた背景© The Wall Street Journal 提供
中国「一人っ子政策」、誤算が生じた背景© The Wall Street Journal 提供

米ウィスコンシン大学マディソン校の産婦人科学上席研究員で、中国の出産制限に批判的な易富賢氏は、公式統計が示す以上に状況は悪化していると以前から訴えてきた。同氏は就学状況や新生児のワクチン接種数など、他の入手可能な統計から推測される出生数に基づき、中国の人口は数年前から実際に減少し始めていると考えている。

「中国の数十年にわたる人口政策は全て、誤った予測に基づいている。(中略)中国の人口動態危機は当局や国際社会の想像を超えている」と易氏は述べた。

米ノースカロライナ大学チャペルヒル校の社会学者、カイ・ヨン氏は、若者世代が一度態度を決めてしまうと、それを変えるのは難しいと語る。

より新しい世代にもっと大きな家族を持つよう促す公式メッセージや政策によって出生率が上昇する可能性はあるが、「そうなるとしても、短期的には実現しない」と同氏は述べた。

中国政府は少子化対策に躍起になっているが、厳しい現実に直面している

Lloyd Lee によるストーリー • 

2024年1月1日、中国江蘇省、連雲港市の病院で生まれた新生児。© BUSINESS INSIDER JAPAN 提供
  • 中国の人口は2年連続で減少した。

  • 中国国家統計局のデータによると、2023年の中国の人口は200万人減少し、1000人当たりの出生数が6.77人から6.39人に減少した。

  • 中国はこの問題に対処しようと躍起になっている。政府は2015年に1人っ子政策を撤回した。それに代わって結婚と出産を奨励し、子どもの親に経済的な優遇措置を提供するようになった。

中国の人口は2年連続で減少した。

中国国家統計局のデータによると、2023年の中国の人口は200万人減少し、1000人当たりの出生数は6.77人から6.39人に減少した。

中国はこの問題に対処しようと躍起になっている。政府は2015年に1人っ子政策を撤回した。それに代わって結婚と出産を奨励し、親に経済的な優遇措置を提供するようになった。

しかし、原因が中国政府そのものにあるとしたらどうだろうか。

カリフォルニア大学アーバイン校の社会学教授で、現代中国社会などを研究しているワン・フェン(Wang Feng)によると、中国政府関係者は、人口減少の危機がこれほど早く来るとは思わなかったにせよ、いずれは来ると以前から分かっていた。そして政権が解決に向けて行動を起こすのが遅いということも分かっていた。

今、中国共産党幹部は、1人っ子政策のような政策が引き起こした結果に対処しているところだ。

「外部の人間から見ると、中国のような政権は国家的な資源を集め、大きなプロジェクトに投入し、迅速に成果を上げることができると思いがちだ」とワンはBusiness Insiderに語り、それは中国の高速鉄道のようなインフラプロジェクトでも同じことが言えると指摘した。

しかし、政策に関して言えば、悲惨な結果となった政策を終わらせるのに多大な時間がかかってしまうのは、政権が政治的負担を負いたくないためだということがすぐに分かる」

中国の方向転換

近年、中国共産党と地方政府は、若い女性が結婚し、子どもを産むことを奨励する法律プログラムにシフトしている。

中国東部に位置し、多くの人口を抱える杭州市では、3人目の子どもを持つ親に2万元(約41万円)が提供されるようになった。また中国南東部の温州市では、子ども1人につき最大3000元(約6万2000円)が提供されていると、以前Business Insiderが報じている。

中国共産党は2021年に「3人っ子政策」を導入し、2人以上の子どもを持つことを奨励するようになった。しかし、それでも中国の人々、特に若者は食いつかなかった

「若者は、国民に対して何をすべきで、何をすべきでないかを押し付けられると信じている政府を笑っている」とワンは述べ、1人っ子政策の失敗を指摘する。

中国の人口危機の解決策は、わずかな政策的取組によってもたらされることはないだろうと、ワンは考えている。中国が取り組んでいるのは根深く非常に複雑な問題であり、これは急速な経済成長と変化の中で、若者自らの将来に対して抱いている絶望と悲観を反映しているのだという。

これは中国が「長期的」に対処していかなければならない問題だとワンは言う。

政府はまた、多くの国民に家庭を築いてもらおうという取り組みから逆行していると非難される法律も制定している。2021年、衝動的な離婚を抑制するため、夫婦に対して30日間の「冷却期間」を設けるという法律を制定したのだ。これは、出生率を高めるための取り組みの一環として導入された。

この法律に関して、かえって結婚を妨げるという議論がネット上で巻き起こり、専門家は虐待的な関係から女性が抜け出しにくくなる可能性があると指摘している。

インディアナ大学ブルーミントン校の東アジア言語文化学科長で、中国の離婚事例を調査した『Decoupling』の著者イーサン・マイケルソン(Ethan Michelson)がBusiness Insiderに語ったところによると、この法律は中国の出生率や結婚率の低下の大きな要因ではないものの、何の役にも立っていないだろうという。

中国の養育費は世界有数の高さ、女性の負担重く シンクタンク報告

Reuters によるストーリー • 2 時間

2月21日、中国のシンクタンク「育媧人口研究智庫」は、同国の養育費が1人当たり国内総生産(GDP)でみて世界有数の高さだとの報告書をまとめた。写真は1月、北京の公園で撮影(2024年 ロイター/Tingshu Wang)© Thomson Reuters

[香港 21日 ロイター] - 中国のシンクタンク「育媧人口研究智庫」は、同国の養育費が1人当たり国内総生産(GDP)でみて世界有数の高さだとの報告書をまとめた。

18歳までの養育費は1人当たりGDPの約6.3倍。これに対しオーストラリアは2.08倍、フランスは2.24倍、米国は4.11倍、日本は4.26倍

子育てにより女性の有給労働時間と賃金は減少するが、男性の生活に大きな変化はないという。

報告書は「中国の現在の社会環境は母親に優しいとは言えず女性が子供を育てる時間的なコストと機会費用が高すぎる」と指摘。「養育費の高さ、女性が家庭と仕事を両立させる難しさといった理由から、中国人の平均的な出産意欲は世界最低に近い」としている。

中国では昨年、2年連続で人口が減少。出生数は2016年の約半分に落ち込んでいる。

報告書によると、0─4歳の子どもを育てる女性は有給労働時間が2106時間減り、6万3000元(8700ドル)の収入を失う。子どもを持つ女性は賃金が12─17%減り、余暇の時間も0─6歳の子供が1人いる女性は12.6時間、2人の場合は14時間減るという。

報告書は養育費を下げる政策を全国レベルで可能な限り早期に導入すべきだと主張。現金給付や優遇税制、保育サービスの改善、母親と父親の育児休暇平等化、外国人ベビーシッターの活用、柔軟な勤務体制、独身女性と既婚女性の同等な生殖権といった対策を挙げた。

「現在の超低出生率を改善できなければ、中国の人口は急速に減少し、高齢化が進む。そうなればイノベーションや国力全体に深刻な悪影響が出る」としている。


参考文献・参考資料

中国「一人っ子政策」、誤算が生じた背景 (msn.com)

中国政府は少子化対策に躍起になっているが、厳しい現実に直面している (msn.com)

中国の養育費は世界有数の高さ、女性の負担重く シンクタンク報告 (msn.com)

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