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政治講座ⅴ1837「ロシアの人工衛星、中国のロケットブースターの墜落と日本の宇宙ごみ(スペースデブリ)の除去ビジネス」

 国家には繁栄期と衰退期がある。それは、ロケット事業で分る。非常事態や異常事態に対処できないのは明らかに衰退していることを表している。
方や日本では宇宙ごみ(スペースデブリ)の除去ビジネスが始まっている。
今回はそのような報道記事を紹介する。

     皇紀2684年6月29日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

ロシアの人工衛星が軌道上で分解、多数の宇宙ごみ発生

Joey Roulette によるストーリー

6月27日、米宇宙統合軍は、ロシアの廃止済み人工衛星「RESURS-P1」が軌道上で分解し、100個余りの宇宙ごみが発生したと発表した。写真は2020年7月、国際宇宙ステーション内で撮影されたネオワイズ彗星。米航空宇宙局(NASA)提供(2024年 ロイター)© Thomson Reuters

Joey Roulette

[ワシントン 27日 ロイター] - 米宇宙統合軍は27日、ロシアの廃止済み人工衛星「RESURS-P1」が軌道上で分解し、100個余りの宇宙ごみが発生したと発表した。米航空宇宙局(NASA)によると、人工衛星の分解を受け、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在している宇宙飛行士は約1時間にわたって係留中の宇宙船に退避した。

分解の原因は分かっていない。ロシアは2022年にこの人工衛星の廃止を宣言した。

宇宙統合軍によると、分解は26日1600GMTごろに推定高度約355キロメートルの軌道上で起きた。他の人工衛星に即座の脅威をもたらす恐れはないという。

分解した人工衛星を運営していたロシアの国営宇宙開発企業ロスコスモスはコメント要請に返答しておらず、ソーシャルメディアで分解について触れてもいない。

軌道上で大量の宇宙ごみが発生する出来事は珍しいが、衛星ネットワークが日常生活に不可欠となって宇宙空間が混み合う中、懸念が強まっている。分解が起きた低軌道では、米スペースXのスターリンクを含む何千基もの人工衛星が運営されている。

中国のロケット部品が村落に直撃...SNSで緊迫の瞬間が拡散

ニューズウィーク日本版 によるストーリー

中国のロケット部品が村落に直撃...SNSで緊迫の瞬間が拡散© ニューズウィーク日本版

@Byron_Wan-X

<中国の宇宙開発が再び問題を引き起こし、重たいブースターが民家近くに落下する映像がSNSで拡散された>

中国が打ち上げたロケットブースターが6月22日、中国南西部の村に落下する映像がSNSに投稿された。

黄色いガス状の雲が拡散

中国版TikTokの抖音(Douyin)に投稿された映像は、重さ数トンのブースターロケットが山林の中腹に落下する瞬間をとらえている。近くには住宅地と大通りがある様子だった。

中国航空宇宙当局によると、長征2Cロケットは中国とフランスが開発した観測装置搭載の人工衛星を載せ、22日午後3時に四川省の西昌衛星発射センターから打ち上げられた。

X(旧Twitter)に掲載された写真には、超高温のブースターが引き起こした被害の状況が写っている。バイロン・ワン(@Byron_Wan)が共有した写真では、建物の開いた戸口から屋内の炎が見え、地面にはがれきが散乱し、小さな道路がふさがれている箇所もあった。

ワンによると、この村は中国南西部貴州省の貴定にあると思われる。

落下した直後、ブースターからは黄色いガス状の雲が拡散していた。

長征ロケットは推進剤として、毒性が強く環境に有害な四酸化二窒素とUDMHを混合使用している。

中国外務省に書面でコメントを求めたが、すぐには返答はなかった。

落下事故は過去にも

中国では2023年12月にも、長征3Bのブースターが広西チワン族自治区に落下して大きな火球が発生する映像が中国版Xの微博(Weibo)に投稿された。

地元当局は事前の通知で複数地域に残骸が落下する可能性があるとして注意を呼びかけていた。負傷者の報告はなかった。

長征5Bが制御不能の状態で大気圏に突入したこともあった。そうした状態で大気圏に突入した物体としては1991年以来、最大だった。全長12メートルを超すポールなど、残骸の一部は、西アフリカのコートジボワールの集落に落下した。

米航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官は2021年、ロケットが再び制御不能状態でモルディブの北のインド洋に落下したことについて、中国がロケット軌道に関する情報を共有しなかったとして非難。「宇宙に進出する国家は全て、残骸落下のリスクを予測するため、特に重量運搬船については確立されたベストプラクティスに従い、事前に情報を共有しなければならない」とXに書き込んだ。

22日に軌道に投入された衛星には、中国が開発したガンマ線モニター、光学望遠鏡、X線カメラと、フランスの研究者が開発したX線望遠鏡が搭載されている。

ガンマ線バーストはとてつもないエネルギーが爆発する現象で、巨大な恒星が崩壊してブラックホールになるような宇宙現象を解明する手がかりになるとされる。

発表では、「こうした装置は天文学者がガンマバーストを観測できるよう、最先端の観測機能を備えている」としている。(翻訳:鈴木聖子)マイカ・マッカートニー

固体ロケットブースターとは

ロケットや人工衛星などを打ち上げる際に必要な推力を得るために、機体の外部に設置される固体燃料ロケット
固体燃料補助ロケット。SRB(solid rocket booster)。
[補説]スペースシャトルの固体ロケットブースターは外部燃料タンクの両側に1基ずつ取り付けられ、打ち上げに必要な推力のほとんどを発生させる。打ち上げから2分間燃焼した後、切り離されて海上に着水したSRBは、回収され再使用される。

宇宙漂うH2Aロケット残骸、50メートルまで接近し撮影…新興企業アストロスケールの衛星

読売新聞 によるストーリー

アストロスケールの衛星が約50メートルまで近づいて撮影したH2Aロケットの残骸(同社提供)© 読売新聞

 宇宙ごみ(スペースデブリ)の除去ビジネスを目指す宇宙新興企業「アストロスケール」(東京)は、同社の人工衛星「 ADRAS(アドラス) ―J」が、デブリとなって宇宙空間を漂う日本のH2Aロケットの残骸に約50メートルまで接近し、撮影したと発表した。

 衛星は今年2月に打ち上げられ、地球の周回軌道上を移動するH2Aロケットの上段部分(全長約11メートル)への接近を開始した。4月には数百メートルまで近づき、撮影画像を公開。今回は、さらに約50メートル後方まで近づいて撮影することに成功した。

 画像からは、ロケットに大きな損傷がないことや、機体の左右に表面保護テープとみられるひも状の物体があることもわかった。衛星は今後、デブリを周回したり、最短数メートルまで近づいたりして、さらに詳細な観測を行う計画だ。

 軌道上に長期間漂うデブリの動きや、劣化・損傷状態に関するデータは世界的にも少ない。同社は観測結果を生かしてデブリを捕獲して除去する技術を確立し、将来のビジネス化を目指す。

レーザー照射で宇宙ゴミ除去、世界初サービスを日本企業が25年度にも

2024.02.14 内田 泰

 今後急速に拡大するとみられている宇宙産業にとって悩みの種である宇宙ゴミ(スペースデブリ、以下デブリ)を、レーザーを使って除去する世界初のサービスの実現に、日本企業が挑む。

 スカパーJSATの社内スタートアッププログラムから2024年1月12日に設立された「Orbital Lasers(オービタルレーザーズ、東京・港)」である(図1)。2025年度の事業化を目指す。

スカパーJSAT発のOrbital Lasersが2025年度の事業化を目指す。当初は衛星に搭載するペイロードの提供だが、2027年度には軌道上実証を行い、2029年度に自社での除去サービスを開始する計画(出所:Orbital Lasers)

図1 世界初のレーザーによるスペースデブリ除去

 宇宙空間には既に大量のデブリが存在し、その数は年々増え続けている。欧州宇宙機関(ESA)によると、2023年12月時点のデブリの数は、10cm以上が3万6500個、1~10cmが100万個、0.1~1cmが1億3000万個もある。多数の衛星を一体で運用する衛星コンステレーションの急増は、デブリの増加に拍車をかけるとみられている。

 低軌道では物体が秒速約8kmの超高速で移動するため、仮に小さな破片が衛星などに衝突したとしても、機体に大きな被害を及ぼす恐れがある。例えば、ロシアが2021年11月15日(現地時間)に実施した対衛星攻撃兵器(ASAT:Anti-Satellite Weapon)による廃棄衛星の破壊実験では1700個以上のデブリが発生。その一部が国際宇宙ステーション(ISS)に接近し、滞在中の宇宙飛行士が退避行動を強いられた事件は記憶に新しい。

 デブリ除去には様々な手法があるが、デブリは回転していることが多いため、まずはそれを止めて姿勢を静定する必要がある。Orbital Lasersは「レーザーアブレーション」という現象を利用して回転を止める。これは、対象となる物体にレーザーを照射し、表面がプラズマ化する際に発生するプラズマジェットの反力を用いる手法である。

 同社はこの方式の長所として、(1)適切なタイミングでレーザーを照射することで回転を止めることができる(2)物理的な接触なしに安全にデブリを移動できる(3)デブリはアブレーションによる推力で移動するため、デブリを移動させるための燃料が不要で経済的ーーとしている。例えば(2)については、デブリから100m程度離れた距離からレーザーを照射するという。

200kg級衛星用ペイロードを開発

 Orbital Lasersはデブリ除去について2種類の事業を計画している。1つは「DTB(Detumbling)事業」で、回転しているデブリをレーザーで止めて姿勢を静定するための衛星搭載ペイロードを開発・販売する(図2)。2025年度の事業化を予定している。

デブリ除去衛星がデブリにレーザーを当てて回転を止め、デブリを捕獲して軌道から離脱させる。Orbital Lasersはデブリ除去事業者にペイロードを提供する(出所:Orbital Lasers)

図2 DTBのスキーム

 販売対象はデブリ除去事業者で、重量200kg級の衛星に搭載できるペイロードを開発している。これを利用することで、デブリの回転を止め、除去衛星がデブリを捕獲しやすくする。

 同社によれば、「2025年度のペイロード納品に向けて技術開発のメドが立った」(代表取締役の福島忠徳氏)としている。

 もう1つは、同社自らがデブリを除去する「ADR(Active Debris Removal)事業」で、2029年度の開始を目指している。ADRでは、まずはレーザーの照射でデブリの回転を止め、さらにレーザーを照射してデブリを軌道から離脱させる。「大きなデブリから優先順位を付けて対象のデブリを除去することを想定している」(福島氏)としている。2027年度の軌道上実証を計画中だ。

参考文献・参考資料

ロシアの人工衛星が軌道上で分解、多数の宇宙ごみ発生 (msn.com)

中国のロケット部品が村落に直撃...SNSで緊迫の瞬間が拡散 (msn.com)

宇宙漂うH2Aロケット残骸、50メートルまで接近し撮影…新興企業アストロスケールの衛星 (msn.com)

レーザー照射で宇宙ゴミ除去、世界初サービスを日本企業が25年度にも | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

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