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政治講座ⅴ1613「何を恐れている習近平氏」

 中国共産党は一党独裁から習近平氏の個人独裁体制になった。彼は何を恐れているのであろうか。内部反乱であろうか。中国の経済崩壊であろうか。はたまた暗殺を心配しているのであろうか。今回はそのような報道と中国の反乱の歴史を俯瞰してみよう。秦の始皇帝が中国を統一したのちに15年で滅んだ。習近平政権も独裁体制であるが故に、末路が同じ運命をたどるような予感がするのである。中国は共産主義国家であるがゆえに、経済破綻の原因は資本主義であるがために破綻したと言い訳するのであろう。そして、かつての最貧国の共産主義の国に祖先返りしていくのであろう。

     皇紀2684年1月30日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

反乱の歴史

王朝名を当てはめると次のようになる。

秦・・・陳勝呉広の乱
新・・・赤眉の乱
後漢・・・黄巾の乱
唐・・・王仙芝の乱・黄巣の乱
宋・・・方臘の乱
元・・・紅巾の乱
明・・・李自成の乱
清・・・白蓮教徒の乱・太平天国の乱・義和団事件

反乱の索引表

あ  安化王の乱    安史の乱
え  永嘉の乱
お   王敦の乱  王淩の乱

か  回民蜂起  毌丘倹・文欽の乱  甘露の変 (曹魏)

き  癸酉の変  裘甫の乱  義和団の乱  

こ  紅襖軍  紅巾の乱  黄巾の乱  号軍  侯景の乱   黄巣の乱   護国戦争   呉楚七国の乱   護法運動

さ  三藩の乱

し  朱泚  寿春三叛  小刀会  昇平天国

せ  斉の内乱  赤眉軍

そ   蘇峻の乱   孫恩の乱

た   大乗の乱   大成国   第二革命   太平天国の乱

ち  張純の乱  長槍会   陳勝・呉広の乱

つ  通州事件

て  艇軍

ね  寧王の乱  捻軍

は  ハイ・バ・チュンの反乱   白狼匪   八王の乱   パンゼーの乱

ひ   白蓮教徒の乱

ふ  幅軍  巫蠱の禍  福建事変

ほ   龐勛の乱  方臘の乱

り  驪姫の乱  六鎮の乱   緑林軍

ろ  盧循の乱


中国では絶対に語られない「習近平時代終焉」の四つのシナリオ

西岡省二
ジャーナリスト/KOREA WAVE編集長

2021/7/8(木) 11:10

 中国共産党が創立100年を迎え、習近平(Xi Jinping)総書記(国家主席)が引き続き政権を維持する意欲を見せるなか、国外のシンクタンクが習近平氏の“引き際”に関する報告書を作成し、その「四つのシナリオ」が話題になっている。

◇後継者も、次の首相も不明確

 報告書は、米戦略国際問題研究所(CSIS)とオーストラリアのローウィー研究所が共同で作成し、今年4月に公表した。

 中国の全国人民代表大会(全人代=国会)は習近平氏の意向を受けて2018年に憲法を改正し、国家主席の任期を2期10年までとする規制を撤廃した。これで習近平氏は2期目が終わる2023年以降も権力の座にとどまることができるようになり、過度な権力集中を防いできた「集団指導体制」が大きく揺らいだ。

 報告書は習近平氏を「中国の政治制度において圧倒的な支配者となった」と表現したうえ「習近平氏の権力欲は、エリートたちの政治的なコンセンサスを不安定なものにし、1980年代以降に発展したパワーシェアリング(権力の共有)の規範を崩壊させた」と表現した。

 現状では、習近平氏の後継者も、次の首相も明確ではない。習近平氏本人も党も、来年秋に開催予定の第20回党大会での指導者交代の可能性について、沈黙している。

「習近平氏は職務を果たせなくなるまで権力を維持するのか」「今後5~10年で『秩序ある継承』に結び付けるため、習近平氏はどのような選択肢を取るのだろうか」。こうした問いかけが研究の発端となった、と報告書は指摘している。

 中国の政治システムは不透明であり、変数も多い。「ポスト習近平時代」がいつ、どう始まり、どんなものになるかの推測は非常に複雑である――こう報告書はことわりつつ、「中国の後継体制の将来とその影響について考えるため」として、四つのシナリオを提示している。

【シナリオ1】2022年の秩序ある移行

 おおかたの予想に反して、習近平氏が第20党大会を機に、党最高指導部メンバーである政治局常務委員の1人に指導的地位(党総書記国家主席、中央軍事委員会主席のポスト)のうち、二つを引き継ぐ

 この約10年間で習近平氏は権力基盤を強固なものとし、党内の改革を進めてきた。その多くが実行に移された今、指導者の地位を手放してもよいと考えている――という前提に基づく。

 ただ、大規模な粛清・反腐敗キャンペーンを展開してきたことから、国内外に数多くの政敵が潜んでいる可能性がある。習近平氏が「引退後も自身や家族、側近らが安全である」と確信するためにも、後継者が習近平氏に「確固たる忠誠心」を抱いている必要がある

 この点を考慮すれば、報告書は「政治局常務委員の王滬寧(Wang Huning)氏に匹敵する人物はいない」とみる。だが王滬寧氏は学者であり、政治・組織運営の経験に乏しく、党総書記の候補としては不向きとも指摘している。

 一方、現首相の李克強(Li Keqiang)氏については、報告書は「党大会のころはまだ67歳で年齢的には不適格ではないが、軍や治安機関との関係が深くなく、習近平氏からも、こうした人脈を開拓する余地を与えられていない」とみている。

【シナリオ2】2027年あるいは2032年で退任

 さらに先の第21回党大会(2027年)あるいは第22回党大会(2032年)で退任する方向で後継者を育成する。

 報告書は「安心して引退でき、自分が選んだ後継者によって国内外で築いてきた野心的な遺産が守られると確信するには、2022年に権力を渡すのは早すぎると考えているかもしれない」という見解を示しながら、次のような解釈を書いている。

「注目すべきは、現在の政治局常務委員は(習氏を除いて)2027年には全員が定年を迎える。このため後継候補はほぼ確実に、第20回党大会で指導部の中枢に任命される。かつ63歳以下でなければならない」

 併せて、報告書は「習近平氏が鄧小平(Deng Xiaoping)のようなキングメーカーになる可能性」に触れている。

 2027年あるいは2032年に退任するにしても、その時まで反腐敗キャンペーンを徹底させ、政敵となり得る人物を完全かつ最終的に追い出す。それによって引退後の不安を払拭するばかりか、キングメーカーとして「背後からの支配」を続ける可能性にも道を開くことになる、とみている。

 また、習近平氏が党総書記を離れたあとも国家主席のポストにはとどまり、国賓訪問などで「中国の顔」としての役割を維持するというシナリオも描いている。

【シナリオ3】クーデターの可能性

 クーデターの首謀者は軍や公安当局の支持を取り付ける必要がある。現在、習近平氏が掌握している治安機関の技術力を使えば、クーデターは容易に検出されると考えられ、協力者も初期段階で離反する可能性がある。

 報告書は「習近平氏が党内に多くの敵を抱えているのは事実」としながらも、習近平氏に対抗する組織をつくるためのハードルは「乗り越えられないほど高い」と記している。

 また、党政治局会議や中央委員総会の場で、習近平氏に挑戦する――という行動も考え得るが、習近平氏に対する不信の連鎖を引き起こすには複数の幹部の賛同が必要となる。その際にも現状では「実際に手を挙げて反対の意思を表明するまで、いったい何人が習近平氏失脚に向けた活動に加わろうとしているのかわからない」という状況になると推測している。

【シナリオ4】健康不安に陥るケース

 習近平氏としては政敵を押さえこむためにも、元気な姿を見せ続けることが重要だ。したがって、その健康問題は敏感なテーマとなり、報告書も「健康状態については詳細が不明なため、能力低下の可能性についての推測は控える」と取り扱いに慎重だ。

 ただ「当局は習近平氏の健康に関する報道を厳しく管理しており、この問題について書いた外国人ジャーナリストには査証を取り消すと脅している」として、当局の報道規制には言及している。

 ただ、習近平氏に万が一のことが起きた場合、「その際のプロセスはシンプルだ」と記している。党総書記は党中央委員会総会の場で政治局常務委員の中から選ばれ、国家主席は全人代で選出されるということに尽きる、というのだ。

 習近平氏は、健康問題に関する情報を遠ざけながら、今後も中国の統治を続けるだろう。「国内総生産(GDP)と1人当たりの収入を2倍にする」とする長期目標が完了するのが2035年。現在68歳の習近平氏はこの年に82歳となる。バイデン米大統領(78)が1期目を終える際の年齢と同じだ。

西岡省二
ジャーナリスト/KOREA WAVE編集長

大阪市出身。毎日新聞入社後、大阪社会部、政治部、中国総局長などを経て、外信部デスクを最後に2020年独立。大阪社会部時代には府警捜査4課担当として暴力団や総会屋を取材。計9年の北京勤務時には北朝鮮関連の独自報道を手掛ける一方、中国政治・社会のトピックを現場で取材した。「音楽」という切り口で北朝鮮の独裁体制に迫った著書「『音楽狂』の国 将軍様とそのミュージシャンたち」は小学館ノンフィクション大賞最終候補作。

習近平政権3期目が発足、最高指導部を習派で固める

2022年10月24日

画像提供,GETTY IMAGES

中国の習近平国家主席(69)は23日、自身に忠実な人物を集めた新たな指導部を発足させ、異例の3期目政権に突入した。

中国共産党(CCP)は23日、第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)を開き、最高指導部を構成する党政治局常務委員を選出した。習主席は総書記に3選された。

観測筋は、選ばれた顔ぶれから、習氏が専門知識や経験よりも、自分への忠誠心を重んじているようだと指摘。実力主義を掲げる共産党の信条に反するものだという意見もある。

ロシアや北朝鮮から祝電

画像説明,中国共産党大会の期間中は北京市内に厳重な警備が敷かれた

新たな最高指導部は、北京で1週間にわたり開かれた第20回中国共産党大会の閉幕後に発表された。

5年に1度の党大会には党員の代表2300人以上が集まり、党幹部の選出や重要政策に関する議論を行う。今回、習主席の「党の核心」としての地位と、政治思想の指導的地位を固める党規約の改正案が採択された。習氏に党内における新たな権限が付与され、数十年続いた伝統を断ち切ることとなった。

国家主席を3期務めるのは、中国建国の父・毛沢東氏以来

習主席の3期目続投が決まると、中国の同盟国ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記がいち早く祝電を送った。

政治局常務委員の顔ぶれ

党大会閉幕式翌日の23日、北京の人民大会堂では習氏の後に続き、6人の政治局常務委員が登壇した。

習氏は短く演説し、自分への党の信頼に感謝した上で「中華民族の偉大な復興を全面的に」実現すると誓った。

序列3位に入った腐敗撲滅担当の趙楽際氏と、序列4位の政治理論家、王滬寧氏以外は、新たに政治局常務委員会に加わった。

党ナンバー2の李克強氏ら4人は、同委員会を去ることとなった。

任期終了後に政治局常務委員会の大幅な入れ替えはよくあることだが、習氏は李氏らを排除することで自分と異なる視点を持つ人物が取り巻きにいないようにしたのだと、観測筋は指摘している。

「習氏は代替派閥に席を譲る必要はないと感じていた。つまり、国際的な圧力を受けている状況で、寛大さよりも強い支配力を示すことを優先した」と、オーストラリア国立大学の講師ウェンティ・ソン氏は指摘する。

次期首相は李強氏か

常務委員の正式な肩書きは来年の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で確定する。

しかし、事細かに演出された式典で習氏のすぐ後ろを歩いていた李強氏が次期首相となり、中国経済を管理することになるというのが、大方の見方だ。

李強氏は現在、上海市共産党委員会書記を務める。数千万人が深刻な食料不足に陥った同市でのロックダウンを監督し、物議を醸した人物だ。

李強氏を首相に任命すれば、習氏が経済活動を優先していないというシグナルを送ることになるとの見方もある。

経験より忠誠心重視か、女性政治局員は0人に

アメリカン大学のヤン・ジャン教授は、「この昇進だけでも、習氏3期目における中国の権力構造を再考するにあたって重要だ」と述べた。中央政府での実務経験なしに昇進するのは李強氏が初めてという。

また、今回の最高指導部人事で大勢を驚かせたのは、北京市長の蔡奇氏の任命だ。

蔡氏は新型コロナウイルスのパンデミックの最中に開催された冬季オリンピック開催を成功させた。しかし、2017年に同市の人口削減計画を打ち出し、結果的に多くの低所得者を市内から追い出したことで物議を醸した人物でもある。

「蔡氏は党大会前、共産党の上位370人の中にさえ入っていなかった。しかし今や中国で5番目の権力者だ」と、米コンサルティング会社ユーラシア・グループのシニア中国アナリスト、ニール・トーマス氏は言う。

今回もまた、政治局常務委員会に女性が1人もいないという指摘もある。中国のフェミニストにとっては残念なことだろうが、決して意外ではない。

政治局員25人のうち唯一の女性だった孫春蘭氏も引退し、女性は0人となった。

「これは非常に残念な、衝撃的な配置だ」とヤン教授は述べた。

市民の反応

北京市の住民たちはこの顔ぶれに驚いてはいない。「全員が同じ派閥に属している。予想通りだ」とBBCに話す人もいた。

別の住民は、「習国家主席が3期目に入ろうが、みんなが食べていけるなら問題ない。自分たちで自力で食べていくことはできるが、やっぱり厳しいので。特に多くの企業が大変な思いをしている」と語った。

多くの一般市民は、党大会後に当局が新型ウイルス対策を緩和するのかどうか注視している。

習氏による厳格な「ゼロCOVID」政策に従う市民の忍耐力は薄れつつある。党大会の数日前には、1人の男性が北京で同政策の停止と習氏の排除を求める異例の抗議を行った。

しかし習氏は党大会初日の16日、同政策を直ちに緩和するつもりはないことを示唆した。

中国が厳しく検閲するソーシャルメディア上では、市民の反応は鈍い。23日の新指導部発足を何千万人もの中国人が国営メディアのライブストリームで見ていたが、コメント欄はすべて使用不可になっていた。

中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」では、公式メディアのみが新指導部関連のニュース投稿を認められた。コメントは削除され、新指導部を称賛する書き込みがわずかに残された。

しかし、中国では禁止されているツイッターなど別のプラットフォームでは、中国人ユーザーは批判的な内容を投稿していた。中国人はVPN(仮想プライベートネットワーク)を通じてツイッターなどにアクセスしている。

「習氏の軍はその名に恥じないよう行動し、国中が帝国の復活を歓迎している」と、あるツイッター・ユーザーは皮肉を書き込んだ。

(追加取材:グレイス・ツォイ、BBC中国語)

10回も暗殺未遂に遭っていた習近平 【ボディーガードの条件とは】

今の時代に暗殺?

現代の暗殺案件といえば、北朝鮮の金正男の暗殺を思い出す方も多いのではないだろうか?

金正男は、マレーシアのクアラルンプール国際空港で突然2人の女性に襲撃された

猛毒のVXガスを顔に塗られて空港の中でも治療が施されてたが、そこでは治療できないと判断され、搬送されている最中に心肺停止となり死亡が確認された。

実は中国の最高指導者・習近平も、暗殺の危機が幾度もあったという。

2012年の就任からの5年間で、少なくとも10回の暗殺未遂があったのである。

健康診断の時に毒を注射されそうになったり、交通事故を仕組まれたこともある。さらに会議室に爆弾を置かれるなど様々な手法で暗殺されかかっていたのだ。

習近平は毛沢東とよく重ねられることがある。

毛沢東に関しては、中華人民共和国の父として盲目的に英雄視している人や、文化大革命を批判し黒歴史とする人もいる。その毛沢東はなんと35回も暗殺未遂に遭遇している。それだけ中国の指導者は危険が多いのである。

習近平は自身だけではなく、側近や妻も何度となく暗殺未遂にあっている。
その度に色々な情報が漏れるのだが、デマも多くその全てが真実というわけでもないようだ。

習近平のボディガード

各国の首脳たちには優秀なボディガードがついているが、習近平も同様である。
習近平の最も身近なボディーガードは中央警備局が管理している。

ボディーガードの人選は非常に厳しい。人数も最初は1組8人だったが12人に増員された。
警備に当たる人物は8種類以上の武器に熟練している必要がある。
同時に両方の手で銃を扱えなければならないという。常に3丁の拳銃を携帯しており、さらに2本の短剣を所持している。

ボディーガードの条件

身体的、技術的にも色々な厳しい規定があるボディガードだが、思想的な面も厳しく審査される。

政治上の思想は特に厳しく審査される。習近平と共産党に絶対の忠誠を誓っていなければならない。親族や友人についても詳しく調べられる。

さらに中央警備部での6年以上の審査を経てから、ボディーガードでの採用となるのである。

ボディーガードの基本的な警備方法は以下である。

例えば現場に3人の警備がいたとする。
警備1号は攻撃があった時にまず1番に警護対象に覆い被さる。そして警備2号は敵に最初の打撃を与える。警護3号は周りに他に敵がいないか見極め、適切な対応をする。そして他に敵がいない場合、警護3号はすぐに2号の援護に入るという形になっている。
そして主なボディーガード以外にも周りには多くの覆面警備がいる。厳重な警備の中で習近平は護衛されているのである。

経済的苦境の中国

930兆円“消失”の中国・香港株 当局が…新たな一手「市場秩序を法律によって維持」

テレ朝news によるストーリー • 2 時間

 日米とは対照的に、株価が下げ止まらない中国。

 中国株と香港株の時価総額は、ピークからおよそ930兆円吹き飛びました。こうした事態を受け、中国当局は新たな一手に打って出ました。

中国証券監督管理委員会のホームページ(28日)
「証券取引への監督を一段と強化し、市場の秩序を法律によって維持する」
中国証券監督管理委員会は、譲渡が制限されている株式の貸し出しを29日から全面的に禁止すると発表しました。(「グッド!モーニング」2024年1月29日放送分より)

中国は経済危機を隠蔽している──騙された若年層

ニューズウィーク日本版 によるストーリー • 14 時間

中国は経済危機を隠蔽している──騙された若年層© ニューズウィーク日本版

大学卒業生のためのジョブフェア。若年層の失業率は10%を軽く超える(1月19日、江蘇省蘇州市)Photo by Costfoto/NurPhoto

<若年層の失業率が20%から15%に改善、というのは政府が自分たちに都合よく作った統計のマジックで、若者の苦難はまだ続く>

これまで高止まりしていた中国の若年層の失業率が、中国国家統計局が半年ぶりに公表した統計によれば、前回発表の3分の2にまで減ったという。

だが専門家からは、中国政府が今回、新たに取り入れた統計手法は、もっと大きな問題を糊塗するためのものだとの声も上がっている。たとえば、失業率が下がった理由は調査対象から学生を除外したからだとの見方もある。

中国国家統計局は1月17日、2023年のGDP成長率が目標の5%を上回ったと発表した。世界第2の経済大国である中国だが、長期的に見ると労働者の高齢化、海外からの投資の減少、不動産市場の低迷、中国の輸出品に対する世界需要の低下といった厄介な問題をいくつも抱えている。

国家統計局はまた、昨年6月を最後に公表を中止していた16〜24歳の失業率を発表した。それによると12月の数値は14.9%で、昨年6月の21.3%に比べると大きな改善に見える。ちなみにこの時の全体の失業率は5.2%だった。

本誌は国家統計局にコメントを求めたが、回答は得られていない。

今回の統計結果は、今年大学を卒業する予定の1100万人超の学生にとって明るい材料となるのだろうか。

そう判断するのは早計だと、国立台湾大学経済学部の樊家忠(ファン・チアチョン)教授は言う。「(失業率が)低下したのは、中国国家統計局が統計サンプルから学生を除外したためで、若者の労働市場に底堅い改善が見られたためではない」と、樊は本誌に語った。

中国の統計手法の問題点は他にも

樊は、統計の取り方にはさらに3つの点で問題があると指摘する。

1. 週に1時間しか働いていない人まで被雇用者としてカウントしている点。

2. 就職難から求職活動をあきらめてしまった人が失業者としてカウントされていない点。

3. 都市部に住んでいる人しか調査の対象になっていない点。

ここから長期的な危機の存在が見えてくると樊は言う。「中国政府は失業問題に対処しようにも、何ら強力なツールを持っていない。失業率の急上昇は厳しいマクロ経済ショックを伴っているが、これは、構造的で長期間続くとみられる」

就業経験の浅い若者たちは、景気低迷の影響をもろに受けている。

新型コロナのパンデミックも打撃となったが、特に大きな影響を受けたのは、就業者に占める若年層の割合が高いサービス産業への打撃だったと、ゴールドマン・サックスのマギー・ウェイは昨年5月、リポートで指摘した。中国政府が若年層の失業率に関するデータ公表を停止したのはその直後の6月だった。

中国が厳しい「ゼロコロナ政策」をやめたのは昨年1月のこと。専門家は、労働需要が上向くことで若年層の失業率も3%ほど下がるのではと予想していた。

だがウェイは、多少回復したところで、若者が大挙して大学を卒業する夏が来れば、増加分が相殺される可能性があると指摘した。

今回の統計手法の変更で一番得をするのは中国共産党の上層部だと、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院中国研究所所長のスティーブ・ツァンは本誌に語った。

新しい統計手法は「中国の経済と社会に関する共産党の主張の裏付けとなり、習近平(シー・チンピン)国家主席の言う『チャイナドリーム』の追求に向けて国を団結させることにつながる」とツァンは語った。

だが、統計を愛国主義的に飾ったところで「経済が勢いを取り戻す助けにはならないだろう」とツァンは述べた。

ツァンによれば、最も効果の見込める景気刺激策は、最もカネを使いそうな層──中国においてはZ世代──にカネを回すことだ。

だが習はそうはせず、工業やインフラに投資するという政府主導のやり方を選んだとツァンは言う。

「カネは消費者には回らなかった。医療や社会的セーフティネットといったサービスにも回らなかった。そこに回せば比較的貧しい層が病気などの非常時に備えて貯蓄しなくても済むはずなのに」

職を求める若年層の不満材料は他にもあると、米ノースウェスタン大学のナンシー・チエン教授(経済学)は昨年秋に指摘した。就職先として人気の高かった大手テクノロジー企業や私立学校に対する習政権の規制強化がその一例だという。

昨年春、中国国務院(内閣に相当)は、雇用安定化策を発表した。

この中には、少なくとも100万人のインターン受け入れや、国有企業による雇用拡大支援、失業登録した16〜24歳の若者を雇用した企業には1回限りの補助金を支給するといった対策が含まれている。マイカ・マッカートニー(台北)

中国銀行、TLAC債を最大210億ドル発行へ 大手国有銀で初

Reuters によるストーリー • 17 時間

1月29日、中国の大手国有銀行、中国銀行は最大1500億元(210億ドル)の総損失吸収力(TLAC)債を発行する計画を明らかにした。写真は同社のロゴ。カナダのトロントで2017年10月撮影(2024年 ロイター/Chris Helgren)© Thomson Reuters

[北京 29日 ロイター] - 中国の大手国有銀行、中国銀行は最大1500億元(210億ドル)の総損失吸収力(TLAC)債を発行する計画を明らかにした。国際的な資本要件を満たすため、2025年の期限を前に大幅な資金不足を補う国内初の大手国有銀行となる。

26日に上海証券取引所に提出した文書で明らかにした。TLAC債は国内外の市場で発行する。

中国の銀行監督当局は22年、大手国有銀行に対し、金融システムの不安定化のリスクを防ぐため、TLAC債の発行を認めた。

TLAC債は銀行が経営破綻した際に、債権者に元本の削減や免除を要求できるほか、普通株への転換が可能

5大銀行の中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行、交通銀行は、中国当局や主要国・地域の金融当局で構成する金融安定理事会(FSB)から「グローバルなシステム上重要な銀行」に指定されており、25年1月1日からTLACの所要水準がリスクアセットの16%以上、28年1月1日から18%となる。

フィッチ・レーティングスのリポートによると、中国の大手行は、景気下支えや不動産開発業者、地方政府の投資会社への支援などを今後さらに求められれば、資本調達圧力が強まる見通し

他の大手行も近くTLAC債の発行計画を明らかにする見通しで、大手5行は基準を満たすため、25年までに追加で1兆7000億元、28年までに6兆3000億元を発行するとみられている。

習近平は中国株を支えられない、FRBが米国株を支えられないように

John Tamny によるストーリー • 

習近平は中国株を支えられない、FRBが米国株を支えられないように© Forbes JAPAN 提供

株式市場と同様に、経済も低迷した局面から力を得る。基本的なことだが、対応しなければ陥る弱気な状況から米連邦準備制度理事会(FRB)は強気な状況を作り出すことができると今日に至るまで考えている米国の政策立案する人々には理解されていない。

国の経済が低迷している時期、企業や個人は自分たちのやっていることが間違っていることを受け入れ、そうした間違いを正すことを余儀なくされる。だからこそ、停滞期やゼロ成長の時期は回復の前触れとなるのだ。停滞の原因となっていた誤りは対処される。それゆえに、政府が景気後退と「戦おう」とする試みは、不況を長引かせ、回復に水を差すだけになってしまう。できることなら間違いに早く気がついた方がいいのは明らかだ。

株式市場も同じだ。資本が好調な企業や優良企業を追い求め、平凡かそれ以下の企業から流れ出るため、低迷期は迫り来る強さの真に現実的な兆しだ。このような記事にはよくあるテーマだが、21世紀に入ったとき、ゼネラル・エレクトリック(GE)は世界で最も価値の大きな企業で、タイコは「次のGE」だった。エンロンは最も頭の切れる経営陣を擁し、ルーセントは通信の未来であり、AOLはインターネット界の巨人だった。

かつてを振り返り、FRBや連邦政府の当局者ら(現実的には両者に違いはない)が現状を支えようとしていたら、そしてもっと悪いことにその試みが成功していたら、米国の経済状況が今日どれほどひどいものになっていたか、そして株式指数がどれほど壊滅的なものになっていたか、想像してみてほしい。

ここまでの話を中国に当てはめるとすぐに納得できるだろう。ある保守系メディアの社説は最近、2021年1月以来42%下落している中国本土と、48%下落している香港の株価を支えようとする中国の習近平国家主席の計画を一蹴した。そうした社説を執筆した論説委員らが、米国の株を支えてきたのは「あぶく銭」で株価を押し上げてきたとされる太っ腹のFRBだと何年も主張してきたという事実がなければ、中国の計画の一蹴は妥当なものだっただろう。FRBが魔法のように強気な状況を作り出すことができるのなら、全権力を掌握している習近平ができないことがあるだろうか。

答えは明らかにノーだ。中国の真に集団主義的な時代が、この真実をむしろ明確に示している。集団主義の下では、失敗するものは何もない。そして、何も失敗しないため、成功しようというインセンティブもなければ、市場原理が無能な人々から監督の目が届いていないリソースを容赦なく奪っていくこともない。

仮に習近平が実際に中国株の購入に2兆元(約41兆円)を振り向けるよう命じることができるとしても、その考え方は自滅的だ。考えてみてほしい。買い手が株を買うには、株を手放して損益を確定させる売り手がいなければならない。習近平は、米国のFRB支持者もそうだが、政府高官が世間知らずにも操作できると考えている市場には買い手しかいないと考えている。

そうしたことから、株式市場は必然的に低迷局面から力を得るということをもう一度強調する価値がある。真面目な話、より優れた企業が頭角を現せるよう、平凡以下の企業を隅に追いやるには、他にどうすればいいのだろうか。

この点について、21世紀に徐々にGEなどに取って代わった企業を考えてみよう。これらの企業には2000年代に台頭した企業が含まれる。グーグル(当初上場しておらず、数ある検索エンジン企業の1つだった)、アマゾン(当時はAmazon.orgとして知られていた)、アップル(倒産を回避するのに苦労していた)、エヌビディア(定期的に倒産の危機に直面していた)、そしてマイクロソフトなどだ。マイクロソフトはすでに巨大企業だったが、スマートフォンやソーシャルメディア、そして現実的にはインターネット関連の取り組みが遅れ、数年にわたる株価の横ばいに直面した。

重要なのは、今ある巨大企業が衰退することで、取って代わる企業への道が開かれるということだ。繰り返すが、ありがたいことにFRBもその後ろ盾である連邦政府の組織も、市場の現実を書き換えることができない。同じように、ありがたいことに習近平もできない。習近平がおそらくこのことを理解していないこと、そして米国の政策立案者らも同様に理解していないのは残念だ。

forbes.com 原文

参考文献・参考資料

中国では絶対に語られない「習近平時代終焉」の四つのシナリオ(西岡省二) - エキスパート - Yahoo!ニュース

習近平政権3期目が発足、最高指導部を習派で固める - BBCニュース

10回も暗殺未遂に遭っていた習近平 【ボディーガードの条件とは】 - 草の実堂 (kusanomido.com)

930兆円“消失”の中国・香港株 当局が…新たな一手「市場秩序を法律によって維持」 (msn.com)

中国は経済危機を隠蔽している──騙された若年層 (msn.com)

中国銀行、TLAC債を最大210億ドル発行へ 大手国有銀で初 (msn.com)

盧循の乱 - Wikipedia

習近平は中国株を支えられない、FRBが米国株を支えられないように (msn.com)

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