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政治講座ⅴ1670「中国共産党の正統性の喪失と中国の崩壊をもたらす『寝そべり族』と日本の『昇龍モード』」

 一党独裁でしかも、独裁者の存在が国を亡ぼすことは、歴史が証明している。皇紀2684年の長い日本の歴史で、ときの権力者は必ず滅亡して、権力の闘争があり、盛者必衰を繰り返している。
 翻って、中国の経済を俯瞰してみよう。そうすると、中国ではやる気のない「寝そべり族」と言われるソ連時代のサボタージュに似た社会現象が起こっていることが見えてくる。
 その競争を忌避することは経済の活力を削ぎ落すに繋がるのである。まさに、中国社会の崩壊を示唆する出来事であろう。
今回はそのような中国経済を占う報道記事と日本の経済と株価の「昇龍モード」の報道記事を紹介する。

     皇紀2684年3月4日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

中国経済のバブル崩壊と日米株価の行方 米国はこれから「失われる30年」に突入する恐れ、日本は「昇龍モード」に

4万円に迫った日経平均株価© zakzak 提供

中国経済の「バブル崩壊」が加速し、長期的な低迷の可能性が浮上している。日本と米国の株価は史上最高値を更新しているが、果たして「バブル」なのか。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、米国株は低迷期に入る懸念がある半面、日本は一時的な下げをしのいで、上昇基調をたどるとの見通しを示す。

日経平均は1989年12月29日につけた3万8915円(終値)を上回り、約34年ぶりに最高値を更新した。これまで「長いトンネル」を抜けてきたせいか、今後の日本株の上昇に対して懐疑的な見方も少なくない。例えば「株価バブルはすぐにはじける」といった類の論調だ。

中国の「バブル」がすでに崩壊したことについては改めて説明する必要はないだろう。中国当局は市場安定化策を必死に繰り出しているが、「失われた50年」へとつながる可能性を排除できない。

一方、米国の市場も史上最高値を更新しているが、日米市場の行方は正反対だというのが筆者の見立てだ

重要なのは、株価指数の「ポイント」の差において、日本が米国を上回ったことだ。2月22日に日経平均の終値が「3万9098」円、ダウ工業株30種平均が「3万9069」ドルで、日経平均がダウ平均を「29ポイント」上回った。

バブル期にさかのぼると、1989年12月29日のダウ平均の終値は、今からは信じがたいことだが、2753ドルだった。ポイントでいえば、ダウ平均は日経平均の14分の1程度しかなかったというわけである。

その日がまさに「運命の分かれ目」であった。バブルが崩壊して「失われた30年」に突入した日本の株式市場は低迷が続いた。それに対して、米国は、IT・インターネット産業の勃興などによって「昇龍モード」に突入した。

投機的な金融ビジネスにおいて米国勢が力を持ったことも後押しし、2000年代に入ってからダウ平均が日経平均を上回り、その状態が長く続いた。

だが、米国のIT・インターネット産業や金融ビジネスはすでに成長のピークを過ぎ、変調をきたし始めた。

それに対して日本経済は、バブル崩壊後の「長いトンネル」の中で鍛え上げられ「筋肉質」になっている。「昇龍モード」に入るための力を十分蓄えているといえよう。

折しも2月24日に、著名投資家、ウォーレン・バフェット氏による「バフェットからの手紙」が公開された。米国の将来に対しては万年強気のバフェット氏だが、今年の手紙では1914年、2001年、2008年のケースを取り上げ、「市場の混乱」に警鐘を鳴らしている。

実際にバフェット氏の手元現金は過去最高水準だ。バフェット氏の「投資基準」は、市場の環境に関わらず一定であるから、バブルによって「企業の(本質的)価値」に対して市場価格が割高になると、(株式)投資の量が減る。したがって現金準備が増え、結果的に市場暴落に対する備えにもなるのだ。

過去を振り返っても、バフェット氏の現金準備が積み上がったときに市場の暴落がやってくることが多いから、積極果敢に買い向かうことができ、莫大(ばくだい)な利益を上げることができる。

もちろん「ブラック・スワン」とも呼ばれる市場の大変動(暴落)がいつやってくるのかを予想することは難しい。だが、その「足音」はかなり大きくなってきているように感じる。

象徴的なのは、現在の世界時価総額ランキング上位のほとんどを米国企業が占めていることである。これは1989年のバブル崩壊前夜に、NTTや都市銀行(現在のメガバンクの源流)がランキングの上位を独占していたことと酷似している。

現在米国企業が「過大評価」されているのに対して、日本企業が市場から十分に評価されていないことは否定できない。もちろん、米国市場が暴落すれば日本市場にも影響を及ぼして「連れ安」となるであろう。だが、それは一時的なものになるはずだ。

米国はこれから「失われる30年」に突入する恐れがあるが、日本は「昇龍モード」に入る。一時的な株価下落に慌てふためかずに、長期的に日本の将来を信じるべきだと考える。

中国の寝そべり族

中華人民共和国において若者の一部が競争社会を忌避し、住宅購入などの高額消費、結婚・出産を諦めるライフスタイルであり、2021年4月にSNSで発表された「寝そべりは正義だ」という文章が転載されて呼称が広まった。
具体的には、"住宅を買わない、車を買わない、恋愛しない、結婚しない、子供を作らない、消費は低水準"(不買房、不買車、不談恋愛、不結婚、不生娃、低水平消費)、「最低限の生活を維持することで、資本家の金儲けマシーンとなって資本家に搾取される奴隷となることを拒否する」といったポリシーである。
これは、社会抗議運動という面も持つ。
中国では厳しい受験競争を勝ち抜いても、大学・大学院卒業者が増え続けていることもあって、条件が良い若者向け求人は少ない。こうした社会的圧力による、過労を強いる長時間労働(996工作制(朝9時から夜9時まで週6日間勤務、すなわち割に合わないラットレース)を拒否し、代わりに「寝そべって衝撃を乗り越える」、すなわち低欲望を選び、立身出世や物質主義に対して無関心の態度を取ることを選択したとされる。
 日本におけるひきこもりと異なり、「寝そべり」を支持する中国の若者は社会的孤立しておらず、単に職業や経済的な野心を低くして目標を単純化しながらも、自分にとって財政的に必要な生産を得ており、経済的物質主義よりも心の健康を優先させることを選択している。

中国「2つの奇跡」と終わらぬ模索 一党支配の正統性

2022.10.27 By 加茂 具樹

22年の中国共産党大会が閉幕。出席者らと記念撮影する習近平(シー・ジンピン)総書記(写真=新華社/アフロ) 

政治体制の存続を考えるうえで、その最も根源的な問いとは何か。
それは、国民はどのように支配の正統性を与えているのか、である。
自由民主主義的な政治体制であろうが、独裁的な政治体制であろうが、この課題は不変である。
体制の存続 中国共産党第20回党大会、そして中央委員会総会を経て、3期目となった習近平(シー・ジンピン)指導部が発足した。党大会での習近平総書記による報告や、新たな中央政治局と中央政治局常務委員会の選出過程とその構成は、習近平総書記への権威と権力の集中を強く印象づけた。しかし、それでも指導部が問われているのは支配の正統性である。

 中国共産党には支配の正統性があるのか。

中国の国民が、経済成長や生活環境の改善といった、指導部の執政に実績を認めれば、指導部は国民の支持を得る。この支持を通じて国民が、「ああ、共産党による一党支配というのは、中国社会にふさわしい政治体制だ」という共通の了解を持つと、共産党による支配は正統性を有していることになる。
 ただし、指導部の実績支配の正統性は、切り離して考えるべき概念である。
実績への支持と支配の正当性は同じではない。指導部が追求していることは、仮に指導部の執政に実績が認められないとしても、共産党による支配の正統性(支配する権利)を維持できるようにする、ということであろう。
 この問題を考えるうえで興味深い言葉が、「2つの奇跡(両大奇跡)」である。すなわち、中国共産党による一党体制のもとで、長期にわたって高度成長を実現したという奇跡と、長期にわたって社会の安定を実現したという奇跡を、同時に実現したことである。
この言葉に指導部は、中国の現在の政治制度の優位性を訴える意味を込めている。すなわち、「2つの奇跡」は、中国共産党が一党支配体制の正統性を論じる際の重要な概念である。
 近年、この言葉は、中国の重要な政治的行事のなかで繰り返し言及されている。例えば2021年11月に開催された中央委員会が採択した、「歴史決議」(「党の百年奮闘の重要な成果と歴史的経験に関する中共中央の決議」)にこの言葉は盛り込まれていた。また同会議で審議した「国民経済と社会発展第14次5カ年計画(21年~26年)と35年までの長期目標」の草案を習総書記が説明した際にも、この言葉に触れられていた。
 「わが国の発展は依然として重要な戦略的好機にあるが、それを取りまく国内外の環境は大きく複雑に変化しつつある。わが国には独特の政治的優位性、制度的優位性、発展の優位性および好機の優位性があり、経済社会の発展には依然として様々な有利な条件があり、私たちには『二つの奇跡』という新たな一章を記す自信と意欲、能力がある」
 そして第20回党大会の習氏による活動報告でも、新指導部発足後の記者会見でも言及された。「改革開放の40年の不断の努力をもって、我々は経済の快速成長と社会の長期安定という『2つの奇跡』を創り上げた」と。
 「2つの奇跡」という言葉にはどのような含意があるのか。本稿は、この問題を考えてみたい。
ハンチントンのパラドックス
 中国の公式メディアが「2つの奇跡」に通じる論点に言及したのは、習指導部になってからのことではない。すでに胡錦濤(フー・ジンタオ)指導部の時代に提起していた。11年7月の「人民日報」は、「ハンチントンのパラドックスを中国は克服したのか」と題する論説を掲載していた。

参考文献・参考資料

中国経済のバブル崩壊と日米株価の行方 米国はこれから「失われる30年」に突入する恐れ、日本は「昇龍モード」に (msn.com)

藤原氏 - Wikipedia

寝そべり族 - Wikipedia

中国「2つの奇跡」と終わらぬ模索 一党支配の正統性:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)

サミュエル・P・ハンティントン - Wikipedia

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