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やさしい物理講座ⅴ116「光の2重性の考察」

 光は粒子性と波動性両方の性質を表す。これを光の2重性という。とりあえずこれを理解するするには、この2重性を「光は空間を波として伝わり、物質によって放出・吸収されるときは粒子として振る舞う」とすると矛盾が分かりやすい。
「病は口より入り、禍は口より出ず」を援用して「光子は電子エネルギー準位間の遷移より入り、光子は電子エネルギー準位間の遷移より出ず」で表現できる。
今回はこの矛盾を分かりやすく解説する。

     皇紀2684年8月20日
     さいたま市桜区
     理論物理研究者 田村 司

紫外線のような波長の短い光が金属の表面に当たると負電荷を帯びた電子が飛び出す。これを光電効果というが、これをを考えるとき光エネルギーの量ではなく、電磁波の振動数が電子を拘束している原子つまり原子のエネルギー準位間の電子遷移により生じるのである。
これを分かりやすく解説すると

暗線



量子論は力の解釈も変貌させました。たとえば、電磁気力は“力を伝達する空間”、すなわち電磁場を通じて物質に作用するとされてきました。これに対して量子論では、物質が“電磁場の粒子”である光子を吸収あるいは放出することによって電磁気力が伝わるとしています。いわば、粒子間の“キャッチボール”が力の正体だというのであるが、根本的には電磁場の作り出す「場」の概念であり、「素粒子」という物の概念ではない。


水素スペクトル系列

水素原子の発光スペクトルは、リュードベリの式(英語版)によって与えられる波長によって、いくつかのスペクトル系列に分けられる。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

観測されるスペクトル線は原子のエネルギー準位間の電子遷移により生じる。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

この様に原子のスペクトル線は、それぞれ電子のエネルギー準位間の遷移に伴う吸光・発光により説明される。

電子が高いエネルギー状態から低いエネルギー状態へ遷移する場合、特定の波長を持つフォトンが放出され、低いエネルギー状態から高いエネルギー状態への遷移の場合、同じ波長を持つフォトンが吸収される。
つまり、紫外線のような波長の短い光が金属の表面に当たると負電荷を帯びた電子が飛び出す。これを光電効果というが、これをを考えるとき光エネルギーの量ではなく、電磁波の限界振動数より大きい振動数のフォトンが電子吸収されて電子が定位置からはじき出されのである。

スペクトル線は前述のように n の値によって複数の系列にグループ分けされる。
スペクトル線は系列の最大波長/最低周波数から、ギリシャ文字を用いて命名されていく。
例えば、2 → 1のスペクトル線は「ライマン-アルファ(Ly-α)」、7 → 3 のスペクトル線は「パッシェン-デルタ」(Pa-δ)である。21 cm のスペクトル線など、いくつかの水素のスペクトル線はこれらの系列に含まれない。
これらは超微細遷移などの遷移に相当する。
微細構造が区別できる場合、1本のスペクトル線は相対論的な補正によって2つ以上の細い線として現れる。
スペクトル系列は、実験系では純粋な水素からのみ観測できる。
多くのスペクトル線は通常見えにくく、ヘリウムや窒素などの他の元素による余分なスペクトル線により隠れてしまうことが多い。
地球の大気は多くの赤外光と紫外光を吸収するので、地表で行う太陽光の観測においては可視光領域以外のスペクトル線は通常見られない

外部光電効果

物質に光を照射すると、光と電子の相互作用によって、光のもつエネルギーが電子に与えられ、電子(光電子)が物質の表面から放出される。この現象を外部光電効果、または単に光電効果と言う。広義には電子のみならず、原子分子が外部に放出される現象も含める。また、気体の原子や分子が自由電子を放出する光イオン化: photoionization、光電離)も広義の外部光電効果である。

これが重要な条件であるが、光電子の放出は物質に一定の振動数以上の光を照射した時のみ発生する。
このときの振動数を限界振動数 ν0 と言う。またその時の波長を限界波長 λ0 と言い、これらの値は物質の種類によって決まっている入射光の強度にはよらない

この現象の起こりやすさは仕事関数 φ で表すことができ、ν0 と λ0 を用いて書くと、c を光速、e を電気素量として

と表される。


量子条件と振動数条件


原子内の電子は、原子核との間にはたらくクーロン力を向心力とする等速円運動を行うが、電子は次の条件を満たす円軌道のみをとることができ、この条件を満たす円軌道上では電子は電磁波を放出せず、円運動を行うことができると仮定する。
電子は特定の離散的なエネルギー状態(エネルギー準位)に属し、対応する軌道を運動する。この状態を定常状態という。定常状態では、電子は電磁波を放出することなく、古典力学にしたがって運動することができる。

  • エネルギー準位と対応する軌道は、量子条件が満たされるもののみが選択される。

  • 電子はある定常状態から別の定常状態へ、瞬間的に移行することがある。これを状態の遷移という。そのときに放射(吸収)される光の振動数は振動数条件を満たす。

ボーアの示した模型は、なぜ円運動する電子がエネルギーを失わないか、という点を説明するものではないが、ボーアの量子条件という大胆な仮説によりそれを一旦棚上げして、スペクトルの法則性に合致した説明を与えるものであった。

光子(フォトン)(記号: γ)の解説

光の粒子である。物理学における素粒子の一つであり、光を含む全ての電磁波の量子かつ電磁力の媒介粒子(英語版)である。光量子(こうりょうし、(英語: light quantum)とも呼ばれる。

古代から、光の本性については「光の波動説」と「光の粒子説」の2つが存在し、長い間にわたって対立していた。19世紀末ごろに電磁場に対するマックスウェルの理論がハインリヒ・ヘルツによって検証され、光の波動説は確立された。しかし、光の波動性は黒体放射のエネルギー分布を説明することができなかった。そのため、マックス・プランクは物質のエネルギー吸収・放出の性質としてエネルギー量子の概念を発表した。

ドイツの物理学者のアルベルト・アインシュタインは、光の波動説を支持しつつ、新しい光の粒子説(光量子仮説)を主張した。

アメリカの物理化学者ギルバート・ニュートン・ルイスは古典的な光の粒子説を採用した上で、アインシュタインと同種の領域で内容的に異なる具体的な研究成果を上記研究に1年遅れて発表した。

それぞれ微妙に異なる光の本性に関する研究が平行していたが、第一次世界大戦を経た1920年代に入ると、アーサー・コンプトンによるコンプトン効果の研究に端を発して、1926年から1927年頃にかけて、それら二つの系統は光子(photon)という名称で一応の統一がなされた。

量子論では光子は「ボース粒子」と呼ばれる分類の量子である。

電磁波の放射圧は、単位時間単位面積当たりの光子の運動量の転移に由来する。

光子は常に真空中の光の速度と同じ速度で動く。

光線中の振動数 ν の光子に対して、以下のようにエネルギー ε と運動量 p を定義することができる。これは、外部光電効果とコンプトン効果の実験結果により確認されている。

またルイスによれば、光子の静止質量 mrestは0である。

素粒子論における物理的性質

光子は電荷を持たない。質量はゼロであり、寿命は無い。光子は2次元の偏光状態を持つ。波数ベクトルの成分は、波長λとその伝播方向を決定する。
光子は電磁気のゲージ粒子であり、そのため光子のその他の量子数(レプトン数、バリオン数、フレーバー量子数)はゼロである。

光子は様々な自然過程で放出される。例えば、あらゆる物体は熱放射により、常に光子を放出し続けている。また、電荷が加速されるとシンクロトロン放射を発する。分子、原子、原子核が低いエネルギー準位に遷移すると、赤外線からガンマ線まで様々なエネルギーの光子が放出される。粒子とその反粒子が対消滅する時にも光子が発生する(例えば電子-陽電子対消滅)。

光子は、周波数とは独立なスピン角運動量も運ぶ。スピンの大きさは2ℏ

で、運動の方向に沿って測定される成分であるヘリシティーは±ħである。二つのヘリシティーの値は右巻き、左巻きと呼ばれ、光子の2つの円偏光の状態に対応する。

空間で粒子と反粒子対消滅すると、少なくとも二つの光子が生成される。別の見方をした場合、光子は自身の反粒子と考えることもできる。逆過程の対生成は、ガンマ線等の高エネルギーの光子が物質の中を進む間にエネルギーを失う過程である。この過程は、原子核の電磁場で「一つの光子を生み出す対消滅」の逆過程である。

光子の質量に関する仮説

光子は、現在では厳密に質量ゼロと理解されているが、ごくわずかな質量をもつ可能性は残されている。もし光子の質量が厳密にゼロでなければ、光の速さは光速cよりも少しだけ遅くなるはずである。この場合、光速cは、全ての物体が理論的に超えられない最高速度ということになるが、相対性理論は影響されない。

光子に質量があると仮定すると、クーロンの法則が修正され、電磁場は余分な物理学的自由度を持つことになる。クーロンの法則が完全な真でなければ、外部電磁場に晒される中空導体の内部に電磁場が発生することになる。ただし、クーロンの法則は非常に高い確度を持つことが確認されており、もし光子に質量があるとしても、その上限は m ≲ 10−14 eV/c2の範囲である。


参考文献・参考資料

水素スペクトル系列 - Wikipedia

吸光分光法 - Wikipedia

光子 - Wikipedia

光電効果 - Wikipedia

素粒子 - Wikipedia

運動量 - Wikipedia

運動エネルギーとポテンシャルエネルギー|力学の基礎の基礎 【力学】 – 高校物理からはじめる工学部の物理学 (yomoriki.com)

原康夫著『量子力学』岩波書房 1994.6.6 第1刷発行p4

スペクトル線 ~なぜ様々な光で観測するのか?~ - 太陽の科学館 (solarphys.com)

光電効果と光量子仮説 ■わかりやすい高校物理の部屋■ (wakariyasui.sakura.ne.jp)

量子条件 - Wikipedia

有効質量 - Wikipedia

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