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政治(金融)講座v1671「日本の銀行は大丈夫か」

「昇龍モード」と言われる日本経済と日本株価と日本の銀行株価が爆上がりしている。しかし、一つ注視すべき事象がある。武漢から始まった世界的な疫病の影響で、社会的な構造に変化をもたらした。ITの復旧でテレワークやビデオ会議などの活用が進んだ。昔、大型コンピューターの集中システムからPCなどのような分散型システムが本領を発揮し出した。日本でも40年前からそれが事務の現場で活用されていた。フェイスtoフェイスの職場もビデオ会議で代用できる社会に意識改革されたのが不幸中の幸いであろう。さて、本題に戻ると、大型商業ビルの需要は今後は頭打ちとなるであろう。むしろ、商業用不動産が不良在庫のお荷物になる兆候がある。先般のあおぞら銀行の赤字引当金の事例がそれである。心配なのは不動産融資した債権が証券化されて債権が譲渡されてだれが債権者か分からなくなる現象である。証券化された債権を譲渡された金融機関にその不良債権があることになる。
これぞ、リーマンショックの再来となる可能性がある。水面下でその不良債権と言う爆弾が潜んでいる。その爆弾をどこの銀行が所有しているか、これが恐怖の源であり、リーマンショックの再来となり得るのである。今回はそのような報道記事を紹介する。

     皇紀2684年3月4日
     さいたま市桜区
     政治(金融)研究者 田村 司

赤字のあおぞら銀行、米不動産融資に新型コロナの誤算

日本経済新聞
2024年2月25日 
「オフィスは(他の不動産に比べて)最も安定していると考えていた」。米商業用不動産向け融資で損失に備える引当金が膨らみ、2024年3月期は15年ぶりの最終赤字になるあおぞら銀行
谷川啓社長は厳しい面持ちでこう話す。

あおぞら銀の前身は1957年に設立された日本不動産銀行だ。77年に日本債券信用銀行、2001年にはあおぞら銀行と銀行名を変えながら「祖業」とも言える不動産絡みの融資を強みとしていた。...

米地銀に警戒くすぶる=オフィス融資が火種―シリコンバレー銀破綻1年

米シリコンバレー銀行(SVB)のオフィス=2023年3月、
アリゾナ州(AFP時事)© 時事通信 提供

 【ニューヨーク時事】米地銀シリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻してから今月で1年。インフレ抑制と成長両立を実現する景気の軟着陸期待が高まる中、地銀破綻をきっかけに拡大した預金流出に歯止めがかかり、金融システム不安は後退した。一方、市場ではオフィス需要低迷による融資焦げ付きリスクが意識され、一部地銀の株が売り込まれるなど、中小行への警戒感はいまだにくすぶっている

 米連邦準備制度理事会(FRB)の急速な利上げに伴う保有債券の含み損が懸念されたSVBは2023年3月、SNS上の取り付け騒ぎで預金が大量流出し、破綻に追い込まれた。
信用不安の余波は収まらず地銀ファースト・リパブリック銀なども相次ぎ破綻
混乱は欧州にも波及し、スイス金融大手クレディ・スイスは競合UBSへの身売りの道を選んだ。

 FRBによると、23年3月の中小地銀の預金残高は前月比3%減の5兆2000億ドル(約780兆円)に落ち込んだ。その後も高利回りの金融商品へ流入が続いたが、預金金利引き上げや、景気軟着陸期待による顧客の心理改善を受け、残高は回復基調をたどる。

 ただ、地銀を巡る環境は厳しいままだ。地銀持ち株会社ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)は今年1月末、商業用不動産融資焦げ付きに絡み、23年10〜12月期決算が赤字に転落したと発表。これを機に同社や商業用不動産融資を多く扱う他行の株価が低迷した。さらにNYCBは2月末、減損処理で赤字が当初の10倍超に膨らむと公表し、またしても同社の株価が急落した。

 コロナ禍で在宅勤務が浸透し、全米のオフィス空室率は年内に2割ほどに迫る勢い。物件所有者による返済が滞り融資の不良債権化が後を絶たなければ、「一部金融機関の経営を揺るがす」(米国野村証券の雨宮愛知シニアエコノミスト)懸念が強まりそうだ。 

ドイツの銀行、商業用不動産リスクがスローモーションで悪化中の恐れ

Jack Sidders、Nicholas Comfort、Neil Callanan によるストーリー

(ブルームバーグ): 米商業用不動産を巡る懸念ドイツの銀行を動揺させた今月、各行が発したメッセージは明確だった。つまり、抱えている不動産エクスポージャーの大半はドイツ国内のものであり、心配する必要はないというものだった。それが安心材料になるかといえば、そうではないかもしれない。

商業用不動産の危機、ドイツ金融機関PBBをのみ込む-S&P格下げ

  これまでのところドイツは米国で見られたような急激な調整を回避できているが、専門家によれば、複雑な会計慣行が盾となり、金融機関や投資家に直ちに打撃が及ぶのを防いでいるためだ。比較的穏やかな調整にとどまっているために表から見えにくいが、ドイツ金融機関の不動産エクスポージャーは総じて欧州の他行より多いだけでなく、ある調査ではより積極的に融資を拡大していたことが示されている。

  この結果生じたスローモーションを見るような不動産市場の急落は、今後加速する恐れがある。オーストリアの実業家レネ・ベンコ氏が創業したシグナのグループ企業や、独アドラー・グループなど不動産所有者が売却を余儀なくされる中で、その負担は中小の金融機関にのしかかっている。欧州銀行の商業用不動産リスクを調査する際、ドイツに特に重点が置かれるのは間違いないと述べる欧州中央銀行(ECB)高官もいる。

  独オスナブリュック大学で経済学を教えるバレリヤ・ディンガー教授は「これは米国の問題で済まされない」と述べ、システミックリスクがないとしても「国内の商業用不動産エクスポージャーに対して貸倒引当金を計上するドイツ金融機関が相次いでも驚かない」と続けた。

  ドイツの銀行はフランスと並び、欧州連合(EU)内でも特に多くの商業用不動産ローンを抱えている。このうち不良債権とみなしているローンの比率は比較的小さいが、最近では上昇している

German Banks' Commercial Property Loans Are Souring | Germany's bad loan ratio in the segment is rising as that of peers stabilizes© Source: European Banking Authority risk dashboard

  不良債権に分類されるローンが少ない要因として、ドイツの不動産鑑定士長期的なアプローチで価格変動を調整していることが挙げられる。大半の投資家は相場の下落局面では売却しないとの見方が前提にある。またドイツの銀行は融資を提供した建物の評価を、米英の銀行ほど頻繁には更新しない。そのため問題が長期間にわたり表面化しない恐れがある。またローン契約の違反に対して免除措置を取ることもある。

  プライベート・エクイティ(PE、未公開株)投資会社パトロン・キャピタル・アドバイザーズの創業者キース・ブレスラウアー氏は「米国では契約違反の隠し場所などない」と述べた上で、「しかしドイツでは状況が異なる」と続けた。

Banks in Big Economies Have the Largest CRE Loan Books | German and French lenders financed the most commercial real estate© Source: European Banking Authority

原題:Germany’s Slow-Motion Property Crash Is a Looming Risk for Banks

「日経平均4万円は高くない」と言える複数の根拠 「中国不動産バブル崩壊」の日本株への影響は?

藤代 宏一 によるストーリー

日経平均は「ほぼ4万円」に到達。だが過熱感もして中国の「不動産バブル崩壊」など不安要素も少なくない。今後はどうなるのだろうか(写真:ブルームバーグ)© 東洋経済オンライン

日経平均株価が連日のように史上最高値を更新している。PER(株価収益率)など指標で見ると割高感も目立ち、短期的には調整がいつあっても不思議ではなくなりつつある。

今後は4月にかけて、アメリカの中央銀行であるFEDの利下げ観測が後退することによって、同国の長期金利上昇・米国株下落の展開となり、それに日本株が巻き込まれることが懸念される。

日本株は「もし下落でも4~6月再上昇」の可能性が高い

だが、もしそのような事態に直面しても、4月下旬から5月の決算発表シーズンに入れば再び株価上昇が期待される。ここで思い出したいのは過去2年とも、4~6月にかけて日本株の強さが目立ったことだ。

まず、2022年春については、日本株の指数水準はおおむね横ばいで、一見すると強く見えない。しかしながら、同時期に米国株が急落していたことを踏まえれば、その相対的な強さは目を見張るものがあった(2022年のS&P500種指数は年初の4796ポイントから同年10月12日の3577ポイントまで下落し、年間では22%の下落となった)。

また2023年はPBR(株価純資産倍率)1倍割れの解消が焦点となるなか、4月下旬以降の決算発表を契機に一段の株高が進んだ。仮に今年も去年と同じ現象が再現されるなら、日経平均株価のさらなる上昇が期待できる。

さらに、過去2年、5月に日本株が強かった一因として、自己株買いがある。2005年以降の自己株買い枠が設定された件数・金額を月別に集計し季節性を確認すると、5月の多さが際立つ。ここからは3月期決算企業が本決算で株主還元策(自己株買い・増配)を発表する慣行がうかがえる。

金額でみればまさに5月は圧倒的だ。特に2022年と2023年は3兆円を超える自己株買いが発表された(その他では2、8、11月が多い)。現在の企業業績を踏まえると、今年も高水準の自己株買い発表が期待でき、仮に5月単月で3兆円を上回る自己株買いが発表されるならば、それは投資家の要求を満たす可能性が高い。

また今年ならではの話題として、5月に名目GDP600兆円達成が明らかになる可能性に期待したい。2023年10~12月期での達成はお預けとなったが、5月に発表されるGDP統計では、名目GDPの600兆円達成が明らかになる可能性がある。名目GDPと1株当たり利益が長期的に連動性を有することを踏まえれば、投資家が名目GDP成長率を前提に、中長期的なEPS(予想1株当たり利益)成長率に自信を深めると予想される。

名目GDPの600兆円達成は、日本経済がもはやデフレでないことを象徴し、株式市場への資金流入を促すだろう。なお、「“実質”GDP成長率が2四半期連続でマイナスなのに、なぜ株価は高いのか」という疑問に対しては「金額ベースの概念である“名目GDP”の拡大が続いているため」という模範解答があり、現在の株高もこれで説明が可能であろう。

中国の金融緩和姿勢も日本株の下支え要因

次に海外要因に目を向けると、インフレ退治の仕上げ段階にあるアメリカ経済の行方に安心感が広がる一方、中国経済に対する不安は依然として大きい。

中国当局は、不動産市場の調整に端を発する景気減速をいかにしてソフトランディングに持ち込むのだろうか。その点で注目されるのは金融緩和だ。2月20日に中国人民銀行は政策金利に位置づけている5年物ローンプライムレートを4.20%から3.95%へと0.25%ポイント引き下げた。

住宅ローン金利の基準となるこの金利の引き下げは、住宅市場を支援したい当局の意図が明確に伝わってくる。2月5日発効の預金準備率引き下げ(10.5%から10.0%)に続く措置で中国当局の金融緩和に前向きな姿勢が見て取れる。後述するように、こうした動きは日本株にとって重要な意味を持つ可能性がある。

昨年来、中国当局は人民元安に苦慮しつつも、不動産市場をテコ入れする目的もあって預金準備率と政策金利(中期貸出ファシリティ金利、5年物ローンプライムレート)を段階的に引き下げてきた。

そうした金融緩和が奏功したこともあり、地方政府によるインフラ投資は底堅さを維持し、M2(現金通貨+預金通貨+準通貨+譲渡性預金)や社会融資総量(銀行貸出+新規株式公開+社債等)といったお金の量を示す指標は底堅く推移している。

実のところ中国のクレジットインパルス(GDP比での新規貸出の変化を示す指標)と日本株には、「中国のクレジットインパルスが上昇すると、日本株が上昇する」という一定の関係が認めれられている。両者の関係はこの半年程度は安定しておらず、乖離が大きくなっているが、それでも方向感が顕著に相違しているわけではない。

両者の因果関係について、少なくともかつては、中国の実物投資が日本企業の輸出或いは現地法人の利益増加を誘発するという経路である程度の説明ができた。

「中国離れ」が加速しつつある現状、その傾向は弱まりつつあるようにも思えるが、(因果があるかは別として)日本株上昇の背景にクレジットインパルスのプラス圏推移があることは認識しておきたい。

日本の平成バブル崩壊時とは異なる中国経済の粘り強さ

中国経済を巡っては不動産市場の悪化に加え、デフレの色彩を帯びるなど1990年代の日本の平成バブル崩壊時と共通する点が多い。

しかしながら、中国の企業景況感を示すPMI(購買担当者景気指数)は過去10年程度安定しており、日本が1990年代前半に経験したような垂直的落下は免れている点は重要だろう。

平成バブル崩壊の過程では、日銀短観(大企業の業況判断DI)が1990年のプラス40近傍から1993年にかけてマイナス40近傍へと低下するなど「別世界」とも言うべき激変が起きた。だが現在の中国ではそこまでの事態までには至っておらず、それは中国経済の粘り強さを物語っている。

もちろん、中国経済を巡っては、不動産市場に火種を抱えている状況に変わりはない。だが、それが日本を含む世界の株式市場を下落に追いやる事態に発展する可能性は現時点で低いと判断される。こうした環境を踏まえると、日経平均株価は今の「4万円」が正当化されるのではないか

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

参考文献・参考資料

米地銀に警戒くすぶる=オフィス融資が火種―シリコンバレー銀破綻1年 (msn.com)

ドイツの銀行、商業用不動産リスクがスローモーションで悪化中の恐れ (msn.com)

「日経平均4万円は高くない」と言える複数の根拠 「中国不動産バブル崩壊」の日本株への影響は? (msn.com)

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