政治講座ⅴ1665「中国の領事ボランティア=民間スパイ工作員?」
何処の国でも諜報活動をしているのであろう。中国は世界中からあらゆる面で注目されて居る。へたくそであろう。人の口には戸が立てられない。秘密(情報)は内緒!内緒!内緒!の合言葉で伝播する。日本はスパイ天国と言われる程、機密性では緩いのである。為政者に都合の悪いことばかりが取締になると権力が歪んでくる。情報公開を原則としながら、防衛設備に関する情報、防衛人事情報など機密性の必要なものなどの分類が必要であろう。犯罪構成要件を明確にして恣意的な運用と取り締まりは、中国共産党の反スパイ法と同じになる。今回は「領事ボランティア」の報道記事と香港の失われつつある「権利と自由」の報道記事を紹介する。
皇紀2684年3月2日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
中国の「領事ボランティア」は日本でいったい何をしているのか…岸田政権がスパイ防止法の制定に本腰を入れるべき「これだけの理由」
長谷川 幸洋
中国の「非公式警察署」とは
日本にある中国の「非公式警察署」に捜査のメスが入った。だが、中国は海外に設置した警察以外の手段でも、在外中国人に対する監視や情報収集活動を活発化させている。その1つが「領事ボランティア」の活用だ。いったい、それはどういう存在なのか。
警視庁公安部は2月21日、新型コロナウイルス対策の持続化給付金を騙し取ったとして、中国籍の女性2人を書類送検した。この事件の関係先として、同部は昨年5月、東京・秋葉原のビルに入居していた一般社団法人を家宅捜索していた。
スペインの非政府組織(NGO)、セーフガード・ディフェンダーズが2022年9月に発表した報告は、このビルに「中国の非公式警察署が設置されている」と記していた。
同年12月に発表された報告の続編によれば「世界53カ国に102の拠点がある」という。
報告は世界で大きな反響を呼び、欧米各国は直ちに拠点や関係者の摘発に動いた。たとえば、米国の司法省と連邦捜査局(FBI)は昨年4月、ニューヨークを拠点に活動していた中国人男性2人を逮捕している。だが、スパイ防止法がない日本は出遅れていた。
国民民主党の玉木雄一郎代表は2月24日、X(旧ツイッター)に、中国人の摘発を報じたデイリー新潮を紹介しつつ「警視庁公安部の手柄であると同時に深刻な現状が明らかになったと言える。松下新平議員以外にも、どこまで与野党の議員に影響が及んでいたのか徹底的に捜査してもらいたい。松下議員も自ら捜査に協力し説明すべきだ。」と投稿した。
スパイ防止法の制定に本腰を入れるべき
なぜ、松下参院議員の名前が出たかといえば、書類送検された中国女性の1人が同議員の元秘書だったからだ。デイリー新潮によれば、彼女は「参院議員会館の通行証まで受け取っていた」という。事実なら、まさに由々しき事態と言わねばならない。
私は、この問題を22年11月4日公開コラムで初めて紹介して以来、夕刊フジのコラムやYouTube番組などで何度も取り上げてきた。。今回の摘発は一歩前進であり、警察関係者の努力を高く評価したい。
だが、これで安心している場合ではない。岸田文雄政権はスパイ防止法の制定に本腰を入れるべきだ。各国の摘発で中国の秘密活動は収まるどころか、水面下で一段と活発になっているからだ。その手口の1つが、中国の大使館や領事館が在外の一般中国人を対象に募った「領事ボランティア」の活用である。
セーフガード・ディフェンダーズが昨年11月に発表した調査記事によれば、中国は各国で在外中国人のボランティアを募って、反体制活動家を含む中国からの逃亡者に対する監視活動や情報収集を強化している。
発端は昨年5月の先進7カ国首脳会議(広島サミット)で採択された共同声明だった。声明は中国を名指しして、こう記していた。
〈我々は中国に対し、外交関係に関するウィーン条約及び領事関係に関するウィーン条約に基づく義務に従って行動するよう、また、我々のコミュニティの安全と安心、民主的制度の健全性及び経済的繁栄を損なうことを目的とした、干渉行為を実施しないよう求める〉
これは、中国の非公式警察活動に対するG7による公式の非難と警告である。
優秀なボランティアは国家が表彰
すると、中国共産党は1カ月後の昨年6月29日、領事ボランティアに関する新たな「領事保護と協力条例」を制定して、在外中国人の摘発に民間人を動員する体制を強化した。それによれば、次のように、領事の仕事を定めている。
〈第1条 海外にいる中国市民、法人、不法者組織の正当な権益を守り、領事保護と協力業務を標準化し、強化するために、本条例を制定する。
第2条 領事保護と協力業務は中国共産党の指導を堅持し、人民を中心として、全体的な国家安全保障観を貫き、調整を強化し、領事保護と協力能力を高める。
第3条 本条例は領事保護と協力及び関連指導調整、安全予防、支援保障などの活動に適用される。
本条例でいう領事保護と協力とは、海外の中国市民、法人、不法人組織の正当な権利が侵害されたり、助けが必要な場合、駐外外交機関が法律に基づいてその正当な権益を守り、協力を提供する行為を指す〉
そのうえで、ボランティアについて、こう記している。
〈第24条 国家は関係組織と個人が領事保護と協力業務のためにボランティアサービスを提供することを奨励する。国家は保険会社、緊急救援機関、弁護士事務所などの社会勢力が領事保護と協力に協力することを奨励し、支援する。
第25条 領事保護と協力業務に顕著な貢献をした組織と個人に対して、国家の関連規定に従って表彰、奨励を与える〉
もしも中国人や企業などの権益が外国で不当に侵害されれば、領事が権益を守るように努力するが、ボランティアは領事を支援し、優秀なボランティアは国家が表彰するのだ。
条例に基づいて、各国の中国大使館や領事館はボランティアの登用に動いている。日本も例外ではない。
中国外務省のホームページによれば、条例制定と同じタイミングで、日本に設置された、中国のある総領事館は領事協力ボランティア訓練交流会を開催し、出席した約20人が「総領事館と協力して、管轄地域の中国市民と機関の安全と合法的な権利を守る」ことを誓い合った。
国際法に違反する可能性も
彼らは、単なるボランティアではない。
たとえば、中国系経済団体に所属する経済人でありながら、中国国務院華僑事務弁公室(OCAO)の指揮下で活動している。OCAOは中国共産党中央統一戦線工作部(UFWD)の外部向けの別名だ。OCAOは立派な実績を挙げたボランティアを訓練交流会で表彰している。
中国共産党が一体何の訓練をしているのか、不明だが、カナダの裁判所は22年1月、中国人夫妻が永住権を求めた裁判の判決で、OCAO(=UFWD)を「スパイ活動に従事し、カナダの利益に反する活動をする組織」と認定した。いざとなれば、中国共産党のために在外の反体制派を監視したり、情報収集をして領事館の活動を支援するのだ。
そもそも、領事ボランティアという仕事自体が国際法に違反する可能性がある。
領事の仕事は領事関係のウィーン条約に定められているが、そこに領事を支援するボランティアなどという取り決めは存在しない。ウィーン条約には、こう記されている。
〈第3条 領事任務は領事機関によって遂行される。また、この条約の定めるところにより外交使節団によっても遂行される。
第4条の1 領事機関は接受国の同意がある場合にのみ、接受国の領域内に設置することができる。4 総領事館または領事館がその所在地以外の場所に副領事館または代理領事事務所を開設することを希望する場合にも、接受国の同意を必要とする〉
セーフガード・ディフェンダーズは、この条文を根拠に「中国は接受国の同意を受けずに、世界中で領事業務を支援するボランティア制度を運用しているように見える」と指摘している。中国は国際ルールを無視して、勝手にボランティアを募って、海外で暮らす自国民を監視しているのだ。
こうした活動には、世界各国で警戒心が高まっている。
たとえば、カナダのグローブ・アンド・メール紙は2019年12月19日付で、カルガリーとトロントにある中国領事館が「ボランティアを募集し、訓練している」と報じた。当時は中国の電子機器大手、ファーウエイの最高財務責任者がカナダで逮捕され、両国の緊張が高まっていた時期だ。カナダでは一足早く、ボランティア制度がスタートしていた。
カナダに滞在中の香港の民主活動家、周庭さんが昨年12月、現地で事実上の亡命宣言をしたが、中国の領事ボランティアたちは周庭さんの身辺を探っているかもしれない。彼女は「絶好のターゲット」だろう。
米メディア、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)中国語版は昨年7月20日、中国共産党の新条例を紹介して「中国は国力を外に伸ばして、中国市民に対する監視を拡大しようとしている」と報じた。
各国の摘発で中国の非公式警察署が活動しにくくなったとしても、安心できない。むしろ、中国の秘密活動は普通の中国人を使って、水面下で活発になっている。中国人ボランティアは日本で、いったい何をしているのか、はたして、自国民の監視と情報収集にとどまっているのか。日本の死活的な権益を脅かす恐れはないのか。日本は警戒心を高める必要がある。
香港の国家安全条例 「権利と自由に悪影響」米・英政府が懸念表明 中国は反発
テレ朝news によるストーリー
香港政府が制定を目指している「国家安全条例」について、アメリカとイギリスは「香港の人々の権利と自由に悪影響を及ぼす」と懸念を示しています。
国家安全条例は2020年に香港で施行された国家安全法を補完するもので、反乱を起こすことや外国政府を含む外部から国家への干渉など、政府が反体制的だと認定した行為は取り締まりが行われる可能性があります。
イギリスのキャメロン外相は先月28日の声明で、条例の制定は「言論、表現、報道の自由を侵害する」と指摘したうえで、香港での国際機関の活動は「外国の干渉」として取り締まられる恐れがあると懸念を示しました。
また、アメリカ国務省も28日に声明を出し、条例は「反対意見を排除するために利用される恐れがある」「一国二制度の枠組みを損なう」と批判しています。
一方、中国外務省は29日の会見でイギリスに対して「内政への乱暴な干渉を強く非難する」と反発しました。
そのうえで「香港での外国組織の通常活動は法律に従って保護される」と主張しています。
参考文献・参考資料
中国の「領事ボランティア」は日本でいったい何をしているのか…岸田政権がスパイ防止法の制定に本腰を入れるべき「これだけの理由」 (msn.com)
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