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やさしい法律講座v62「改正戸籍法」

人物の読み仮名で躊躇する場面が多くなった。最近マイナンバーへの預金口座番号や健康保険への紐付き作業が間違えて大変な個人情報の漏洩にもつながっていると聞く。やはり、起こるべくして起こったミスである。遅ればせながら「改正戸籍法」が成立した。今回はその報道記事を紹介する。

     皇紀2683年6月20日
     さいたま市桜区
     法律研究者 田村 司



戸籍に読み仮名、改正法成立 全国民の届け出必要に

社会・調査

2023年6月2日 19:23

戸籍にこれまで記載がなかった氏名の「読み仮名」を必須とする改正戸籍法などが2日、参院本会議で、自民、公明、日本維新の会、国民民主各党などの賛成多数で可決、成立した。2024年度にも施行され、全国民が施行後1年以内に本籍地の市区町村に届ける必要がある。いわゆる「キラキラネーム」など漢字本来と異なる読み方は「氏名に用いる文字の読み方として一般に認められているもの」との基準を設けた。

記載は片仮名で、新生児らが初めて戸籍に載る際は併せて読み仮名を記す。その他は戸籍筆頭者が氏名、筆頭者以外が名前に関し届ける。書面か、マイナンバーカード取得者向けのサイト「マイナポータル」を使った届け出を想定する。

「一般に認められている」の基準の詳細は法務省が今後、通達で示す。①漢字とは意味が反対②読み違いかどうか判然としない③漢字の意味や読み方からはおよそ連想できない――といった読みは許容しない方向で、具体的には「高(ヒクシ)」「太郎(ジロウ)」などは認められない見込み。常用漢字表や辞書に掲載がない読み方の場合も、届け出人に説明を求めた上で判断する。

届け出を促すため、市区町村は住民票などで既に把握している読み仮名を通知する。1年以内に届けがなければ、職権で記載する。

今後は膨大な受理業務に対応する自治体の負担軽減が課題。高齢者や障害者ら届け出が困難な人への支援も必要となり、衆参両院の委員会は、付帯決議で「十分な配慮」を求めた。

行政事務のデジタル化に向け、読み仮名を記載して個人データの検索や利活用を容易にすることが狙い。マイナンバーカードの海外利用で氏名をローマ字表記する必要があることも踏まえた。〔共同〕


戸籍法等の改正に関する要綱案

第1 氏名の仮名表記の戸籍の記載事項化に関する事項
1 戸籍の記載事項への追加 戸籍法第13条に規定する戸籍の記載事項として「氏名を片仮名等で表記し たもの(以下「仮名表記」という。)」を追加するものとする。
(注)氏名の仮名表記に用いるのは、現代仮名遣い(昭和61年内閣告示第1号)本文第 1に定められた直音、拗音、撥音、促音を片仮名に変換したもののほか、片仮名表記 の小書き及び長音記号等とする。
2 氏名の仮名表記の許容性及び氏名との関連性 氏名の仮名表記の許容性及び氏名との関連性に関する審査について、戸籍法 に「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでな ければならない」という趣旨の規定を設けるものとする。
(注)市町村長の行う本文第1の2の審査においては、幅広い名乗り訓等を許容してきた 我が国の命名文化を踏まえた運用とする。
第2 氏名の仮名表記の収集に関する事項
1 氏又は名が初めて戸籍に記載される者に係る収集等について ⑴ 戸籍の届書の記載事項(戸籍法第29条)に届出事件の本人の「氏名の仮 名表記」を追加するとともに、棄児発見調書(戸籍法第57条第2項)の記 載事項に「氏名の仮名表記」を追加し、氏又は名が初めて戸籍に記載される 者の氏名の仮名表記を戸籍に記載するものとする。 ⑵ 届書の記載事項の整理 届出人と届出事件の本人が同一である場合にも、戸籍法第29条に規定す る戸籍の届書の記載事項として「届出事件の本人の氏名」を明記するものと する。 2 既に戸籍に記載されている者に係る収集について 経過措置として、次のような趣旨の規律を設けるものとする。
⑴ 新法の施行の際現に戸籍の筆頭に記載されている者(以下「戸籍の筆頭者」 という。)は氏の仮名表記の届出を、戸籍に記載されている者は名の仮名表記 の届出を、それぞれ施行日から1年以内にすることができるものとする。
⑵ 戸籍の筆頭者が当該戸籍から除籍されているときは、第二順位として配偶 者、第三順位として子(いずれもその戸籍から除籍された者を除く。)が施行 日から1年以内に限り、氏の仮名表記の届出をすることができるものとする
2 (既に当該戸籍について⑴の氏の仮名表記の届出がされた場合を除く。)。
⑶ 新法の施行の際現に戸籍に記載されている者(戸籍の筆頭者を除く。)であ って、施行日以後に新戸籍の筆頭に記載されるものは、施行日から1年以内 に限り、氏の仮名表記の届出をすることができるものとする(新戸籍に記載 される氏について、既に⑴又は⑵の氏の仮名表記の届出がされた場合を除 く。)。
⑷ 本籍地の市町村長は、施行日から1年を経過した日に、氏名の仮名表記を 戸籍に記載するものとする(氏の仮名表記については、⑴、⑵又は⑶の届出 がされた場合を除く。名の仮名表記については、⑴の届出がされた場合を除 く。)。
⑸ 本籍地の市町村長は、施行日後遅滞なく、戸籍に記載されている者に対し、 ⑷により記載しようとする氏名の仮名表記を通知するものとする(あらかじ め通知することが困難である場合を除く。)。
⑹ 戸籍の筆頭者は⑷により記載された氏の仮名表記について、戸籍に記載さ れた者は⑷により記載された名の仮名表記について、それぞれ一度に限り、 家庭裁判所の許可を要せず、届出のみで変更することができるものとする。 氏の仮名表記の変更の届出について、戸籍の筆頭者に配偶者があるときは、 配偶者とともに当該届出をしなければならないものとする。
⑺ ⑹により氏の仮名表記の変更の届出をすることができる戸籍の筆頭者が当 該戸籍から除籍されているときは、第二順位として配偶者、第三順位として 子(いずれもその戸籍から除籍された者を除く。)が氏の仮名表記の変更の届 出をすることができるものとする(既に当該戸籍について⑹又は⑺の氏の仮 名表記の変更の届出がされた場合を除く。)。
⑻ ⑴、⑵、⑶、⑹又は⑺により、戸籍の筆頭者又は戸籍に記載されている者 が、氏名の仮名表記として、一般に認められている読み方以外の読み方によ るものを届け出る場合には、現に使用していることを証する書面を提出しな ければならないものとする。
⑼ 本籍地の市町村長は、⑴から⑻までに必要な限度で、関係地方公共団体の 長等に対し、戸籍に記載されている者の氏名の仮名表記に関する情報の提供 を求めることができるものとする。
第3 氏名の仮名表記の変更に関する事項
1 氏又は名の変更に伴わない場合の規律 戸籍法に次のような趣旨の規律を設けるものとする。
⑴ やむを得ない事由によって氏の仮名表記を変更しようとするときは、戸籍 の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を 届け出なければならない。
⑵ 正当な事由によって名の仮名表記を変更しようとする者は、家庭裁判所の 3 許可を得て、その旨を届け出なければならない。
2 氏又は名の変更に伴う場合の規律 戸籍法第107条及び第107条の2の規律を次のように改めるものとする。
⑴ 戸籍法第107条第1項の規定により氏を変更しようとするときは、氏及 び氏の仮名表記を変更することについて家庭裁判所の許可を得て、その許可 を得た氏及び氏の仮名表記を届け出なければならない。
⑵ 戸籍法第107条第2項の規定により外国人配偶者の称している氏に変更 しようとするときは、婚姻の日から6か月以内に限り、家庭裁判所の許可を 得ないで、その旨及び変更しようとする氏の仮名表記を届け出ることができ る。
⑶ 戸籍法第107条の2の規定により名を変更しようとする者は、名及び名 の仮名表記を変更することについて家庭裁判所の許可を得て、その許可を得 た名及び名の仮名表記を届け出なければならない。
第4 その他 その他所要の規定を整備するものとする

改正戸籍法で「キラキラネーム」に制限 さらに恐ろしい「届け出の放置」

BCN+R によるストーリー • 昨日 18:00

【家電コンサルのお得な話・131】 2023年6月2日、参議院本会議で「改正戸籍法」が賛成多数で可決・成立し、24年度に施行の見込みである。これにより、戸籍法第13条に規定する戸籍の記載事項として「氏名をカタカナ等で表記した読み仮名」が追加されることとなった。「キラキラネーム」の制限も注目だが、それ以上に気になるのが、全国民が施行から1年以内に読み仮名表記の届け出をしないと、自治体による推測の読み仮名で登録されてしまう可能性があることだ。

「改正戸籍法」の要綱案(氏名の仮名表記の収集に関する事項)の抜粋© BCN+R

「キラキラネーム」は施行日からの申請で制限

今回の戸籍法の改正で注目を集めているのが、氏名の仮名表記の許容性および氏名との関連性に関する審査について、戸籍法に「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」という趣旨の規定が設けられたことである。

いわゆる「キラキラネーム」と呼ばれる個性的な名前(漢字の本来の読み方とは全く違う読み方の名前等)を付けることが、改正戸籍法の施行日からの申請では制限される。

また、カタカナでの読み仮名表記は戸籍を持つ全国民が対象となるが、その登録の一部に関して記載しているのが図1である。さらなる詳細は法務省の「法制審議会-戸籍法部会」のホームページを参照してほしい。いずれにせよ、これから戸籍に記載される「氏または名が初めて戸籍に記載される者」については、届け出時に読み仮名表記も申請できるので、一般的な読み方であれば特に問題はないだろう。

届け出を放置したら自治体が「誤った読み仮名」で登録!?

注意を要するのが、「既に戸籍に記載されている者」についてである。

この場合の届け出の流れを簡単に記せば、

全国民は改正戸籍法の施行日から1年以内に読み仮名表記の届け出が必要になる。

・これを放置して1年が経過すれば、本籍地の自治体が職権で「おそらく、こう読むのだろう」という読み仮名表記を登録する。

・この登録が違えば、「一度だけなら、家庭裁判所の許可がなくても変更できる」

――というものである。

例えば筆者の場合、堀田 泰希(ホッタ ヤスキ)という読み仮名であるが、届け出を放置し、1年が経過すれば、自治体が「ホリタ タイキ」と判断して登録する可能性があるのだ。このように自治体の登録が誤っていた場合、一度だけなら、届け出だけで変更できるということである。

この変更も放置すれば、登録は「ホリタ タイキ」となってしまうため、何らかの行政サービス等を受けるときに「検索しても引っ掛からない」等の不都合が生じる。さまざまな行政サービスの手続きにおける混乱も予想される。

要綱には、「自治体が判断した読み仮名表記を登録する場合には通知せねばならない」ことが記載されているが、この件を始めとして、自治体からの各通知には必ず目を通し、速やかに対応していただければと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。

沖縄戦犠牲者の「名前を読み上げる集い」で読み方が分からず…市民団体の調査で7000人分判明

昨日 6:00

 太平洋戦争末期の沖縄戦の犠牲者らを悼む23日の「慰霊の日」を前に、「平和の礎(いしじ)」(沖縄県糸満市)に刻まれた約24万人の名前を読み上げるオンラインイベントが展開されている。1回目の昨年は名前の読み方が分からずに苦労したが、今年は、東京の市民グループが計約7000人分の振り仮名を明らかにした。メンバーは「名前はその人の生きた証し。故郷で生前に親やきょうだいから呼ばれていたように読みたい」と力を込める。(加藤益丈)


沖縄戦犠牲者の名前が刻まれた「平和の礎」=沖縄県糸満市の平和祈念公園で(2020年撮影)© 東京新聞 提供

 このグループは、「沖縄『平和の礎』名前の読み方等調査グループ準備委員会」(東京都北区)。一部メンバーが昨年9月に調査を開始し、今年5月に約20人で委員会を立ち上げた。

 イベント「沖縄『平和の礎』名前を読み上げる集い」は昨年6月12〜23日、沖縄や東京の市民有志らが初めて実施。ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を活用し、全犠牲者の名前をリレー形式で一人ずつ読み上げた。

 ただ、沖縄県の「刻銘者名簿」には名字にしか振り仮名がなく、下の名前は一般的な読み方から推測するしかなかった。委員会は、同県が建設当時、犠牲者を50音順に並べる必要から名字の読み方しか名簿に記載しなかったのではないかとみている。

 メンバーの田所智子(さとこ)さん(56)は「追憶のためと言いながら、正しいと言い切れない名前を読み上げることに居心地の悪さを感じた」と振り返る。


滋賀県から受け取った沖縄戦犠牲者の資料を手にする田所智子さん(加藤益丈撮影)© 東京新聞 提供

 委員会は各都道府県の担当課に照会。「振り仮名の情報を持っていない」「個人情報なので協力できない」と手がかりを得られないことも多かったが、これまで栃木県や群馬県、滋賀県、大阪府など11府県から計約7000人分の情報提供を受けた。この結果、ある県では1割以上の人の読み方を修正した。

 今年は今月1日にスタート。新たに判明した情報を取り入れ、既に17万人を超える名前が読み上げられた。読み上げの様子は実行委員会のサイトでライブ配信され、「慰霊の日」の23日まで続く。

 田所さんは「戦没者には戦争で全てを失い、名前しか残っていない人もいる。本来の呼び方で読み上げることができて、地に足の着いた取り組みになったと思う」と話している。

 平和の礎 沖縄県が戦後50年の1995年に記念事業の一環で糸満市の平和祈念公園に建設した石碑。沖縄では太平洋戦争末期に住民を巻き込んだ地上戦があり、日米双方で計20万人以上が死亡。県民の4人に1人が犠牲になった。碑では国籍や軍人、民間人を区別せず、沖縄戦で亡くなったすべての人の名前を刻んでいる。旧日本軍の組織的戦闘が終わったとされる6月23日に定められた「慰霊の日」には毎年、新たに名前が判明した犠牲者を追加刻銘しており、現在は24万1686人。今年は365人が刻銘される。

参考文献・参考資料

改正戸籍法で「キラキラネーム」に制限 さらに恐ろしい「届け出の放置」 (msn.com)

沖縄戦犠牲者の「名前を読み上げる集い」で読み方が分からず…市民団体の調査で7000人分判明 (msn.com)

戸籍に読み仮名、改正法成立 全国民の届け出必要に - 日本経済新聞 (nikkei.com)

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