政治講座ⅴ1761「中国大恐慌の懸念!懸念!」
中国という国は今、「大恐慌」の時代に突入している。
鬼城マンションの存在が10数年前から巷では囁かれていた。せっせと、ゴーストタウンのマンションをつくっていた中国。需要の無い設備投資は収益が見込めない。然るに、集めた資金(債務)を使って設備投資したら、必ず、行き詰まることは普通の人にも分る事である。需要と供給で生産計画が作られるべきものであるが、社会主義(共産主義)の計画経済のそろばん勘定はどうなっているのであろうか。これで、ソ連は経済破綻した。日本の奈良時代においても昨今のような社会主義的な政策がとられていた。班田収授法・三世一身法そして墾田永年私財法(こんでんえいねんしざいほう)と変遷を繰り返し、荘園制度が出来上がるのである。
歴史は繰り返される。中国の律令制度が今の共産主義に揺り戻されたが、経済不振であり、経済の活性化のためにまた私有財産制に戻る必要が出てきた。温故知新。歴史は繰り返される。今回は中国の経済の報道記事を紹介する。
皇紀2684年4月30日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
中国「経済指標と国防費に透明性ある」、米司令官発言に反発
Liz Lee によるストーリー
Liz Lee
[北京 25日 ロイター] - 中国外務省は、同国の経済指標と国防費に疑念を示したアキリーノ米インド太平洋軍司令官の発言に反発した。
アキリーノ司令官は23日、中国経済が「失敗」しつつあるにもかかわらず、国防費が拡大していることは懸念されると表明。不動産部門の混乱による打撃を受けており、公式の中国成長率は「現実的ではない」と語った。
ロイターがコメントを求めたところ、同省は「公表している中国の経済データは常にオープンで透明性があり、社会から高く評価されている」と反論。国防費についても「オープンで透明性があり、合理的だ」とした。
「中国の国有企業優遇に懸念」 米国務長官が上海市トップに表明
朝日新聞社 によるストーリー
中国を訪問中のブリンケン米国務長官は25日、上海市で同市トップの陳吉寧・市共産党委書記と会談した。ブリンケン氏は、党最高指導部への登竜門とされるポストの陳氏に対し、中国による国有企業への優遇などに懸念を表明した。一方で、米中の経済分野での協力に前向きな姿勢も強調した。
2024年4月25日、中国・上海で会談したブリンケン米国務長官(左)と上海市トップの陳吉寧・市党委書記=AP
ブリンケン氏は24日には上海でバスケットボールの試合を観戦するなど、友好ムードを演出した。26日には、北京で王毅(ワンイー)政治局員兼外相らと会談し、中国によるロシアへの支援や台湾問題をめぐり、中国側を牽制(けんせい)する見通し。先立って経済の中心都市である上海を訪れることで、経済をめぐる問題や米中の経済協力を重視する姿勢を示した。昨年6月にブリンケン氏が訪中した際には、米本土に中国の気球が飛来し、米軍が撃墜した問題などを受けて米中関係は「過去最悪」(米国務省高官)水準にあり、北京のみに滞在していた。
香港メディアによると、陳氏は会談の中で上海に約5830社の米国企業があることに触れ、「地方政府として中米関係の発展に積極的に貢献したい」と述べた。米国務省によるとブリンケン氏は、国内産業への過剰な補助金や国有企業の優遇などの問題を念頭に、中国の貿易政策や経済慣行への懸念を表明。米国企業にも公平な競争条件が必要だと訴えた。その一方で、上海訪問について「米中の経済関係のさらなる可能性を示している」とも述べ、米中間の人的交流や経済関係を深めたい考えを示した。ブリンケン氏はこの日、上海に進出する米企業の幹部とも面会した。
中国の実態は大経済都市「魔都」上海の凋落にすべてが表れている
石 平 によるストーリー
なにが「力強く回復」だ
4月16日、中国国家統計局は今年1~3月期の経済成長率を発表した。それは、「5.3%増」という大方の予想を上回った高い数値である。案の定、この発表を受けて、中国国内では早速、「中国経済は力強く回復」との論調はメディアによって大々的に展開されている。日本でも一部、それに同調するマスコミや専門家が現れた。
問題は、この「成長率5.3%」は果たして本当なのかであるが、これを検証する方法は実に簡単だ。要するに国家統計局公表の今年1~3月期の国内総生産(GDP)の数値と、昨年同時期の数値を比較して計算すること。「成長率」というのは普通、今年一定時期のGDPが昨年同時期のそれからどれほど伸びたのかである。
しかし、まさにこのような簡単な計算からとんでもない光景が目の前に現れた。国家統計局が発表した昨年1~3月期のGDPは28兆4997億元である。そして同じ国家統計局公表の今年1~3月期のGDPは29兆6299億元だから、この二つの数値を基にして簡単に計算すれば、今年1~3月期のGDPの伸び率(すなわち成長率)は決して5.3%などではなく、ただの3.82%程度であることがすぐに分かる。
つまり国家統計局は、白昼堂々の数字捏造を平気で行ったわけである。彼らが公表した昨年1~3月期のGDP数値が、同じ彼ら自身が公表した今年同時期の成長率が単なる嘘であることを自ら示している。
市場は嘘を見抜く
そんなバカなことがあるのかと疑いたくなるのだが、それは現実に起きているのである。しかも、明らかに矛盾している上述の二つの数値は今でも、国家統計局と中国政府の公式サイトで同時に掲載されているのは、まさに摩訶不思議である。
もちろん中国国内でも、このような拙劣な捏造数字をそのまま信じる人はそんなにいない。実際、今月16日の午前に前述の嘘の成長率が発表されたことを受け、午後3時まで終了の上海株式市場はむしろ反落し、上海総合指数は1.65%の下落に見舞われた。株市場は完全に、中国政府の嘘を見抜いているわけである。
そして4月18日、国家統計局は今度、3月の若年層の失業率が前月同様の15.3%であると発表したが、もちろんそれもまた、国家統計局自身が出した「成長率5.3%」が嘘であることを明確に示している。「成長率が5.3%」の国では、若年層の失業率が15%以上になるのはどう考えても、ありえない話だからである。
上海高級スーパー全面廃業の意味
それでは、中国経済の実態は一体どうなっているのか。それを浮き彫りにする一つの出来事は、国家統計局が前述の嘘の成長率を出した同じ日の4月16日に、中国きっての経済大都会の上海で起きた。
その日、上海を中心に多数の店舗を展開している「上海城市超市(CITY SHOP)=上海都市スーパー」は「経営困難」を理由に、すべての店舗を閉店して全面廃業・企業解散した。それは、上海だけでなく全国的にも注目を集める大ニュースとなった。
上海都市スーパーは1999年に創業。上海市内の徐家匯、金橋、虹梅路などの繁華街・高級商業区で10店舗を構え、「商品の8割が輸入品」を売り物にして国内の富裕層・準富裕層や上海在住外国人を顧客層に商売を展開してきた。
上海都市スーパーの存在は今まで、国際的経済大都会上海の「繁栄の象徴」とされているが、経営難による突如の閉店・廃業の背後には、この数年間における外国人の上海離れ、富裕層の海外流出、準富裕層の貧困化などの要因があるとみられる。そういう意味では、上海都市スーパーの突然の廃業は国際大都会・上海の凋落を象徴する出来事である。
「魔都」よさらば~外資流出と不動産崩壊
上海の凋落を示す現象は他にもある。今年2月中旬、国内外のメデイアが報じたところでは、昨年年末時点で、上海市のAクラス賃貸オフィスの空室率が21.8%に上ったことは、不動産サービス大手のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの調査で分かったという。
日本の場合、三幸エステート株式会社の調査によると、昨年12月の時点で、大阪市内大規模ビルのオフィス空室率がわずか2.97%。同じ時期における東京都主要7区のオフィスビルの空室率もせいぜい6.42%であることは三菱地所関連会社の調査で分かっている。大阪と東京の数字と比べれば、上海のオフィス空室率はどれほど高くなっているのかが一目瞭然であろう。上海におけるビズネス活動の深刻な冷え込みと経済全体の衰退は明らかである。
衰退の背後には、上海の経済を根底から支える不動産市場の崩壊がある。今年2月2日、民間調査機関の上海鏈家研究院が発表したところでは、今年1月、上海市における新規分譲住宅の成約件数は3786件、昨年12月と比べれば44%減、前年同期比では55%減となったという。成約金額もやはり、それぞれ47%減と58%減であった。
そして3月になると、今度は民間調査機関の「易居研究院」が発表した「2月上海不動産市場分析報告」では、今年2月、上海市内の新規分譲住宅の成約面積はなんと、先月比では61.3%減、前年同期比では69.2%減となったわけである。上海の不動産市場の崩壊が加速化しているのである。
今までの「上海の繁栄」は結局、国内の不動産市場と外資・外国人の大量流入によって支えられていたが、その両方が駄目となったことで、われわれは今、「魔都・上海」の没落を目の当たりにしているのである。
そして上海の凋落はそのまま、中国経済の沈没を意味するものであろう。今月にビジネス社から刊行された石平の新刊本の書名「『中国大恐慌』時代が始まった!」の通り、中国という国は今、「大恐慌」の時代に突入しているのである。
参考文献・参考資料
中国「経済指標と国防費に透明性ある」、米司令官発言に反発 (msn.com)
「中国の国有企業優遇に懸念」 米国務長官が上海市トップに表明 (msn.com)
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