咄嗟に言葉が出てこない方へ
5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本 ー 著者:ひきたよしあき
本当に5日間で、そんなことが可能なのか?!
まずDay1を読み終えたところで、私が感じたポイントを3つに絞ってまとめてみたいと思います。
1. 「ことばの部屋」は除湿しよう
まず、最初に思ったこと。
除湿せなあかん🙄
著者・・・ではなく、対話形式で綴られるこの本に登場する和田先生によると、知っているはずの言葉が咄嗟に出てこない状態を、
言葉が湿っている
と表現しています。
夜空に花火が打ち上がるように、次々に言葉が出てくる状態にしたいのならば、言葉を湿らせていてはダメだということです。
日頃から声に出す習慣がなく、覚えた言葉を頭の中でふわふわと浮かんでは消えていく状態に浸しておくと、言葉はどんどん湿っていくということだ、ということです。
そうか!
言葉は湿った領域に浸らせたらいけないのか!
頭の中の乾いた場所に常に置いておかないと!
・・・ということではなく、ここで大事な視点として、
言葉を湿った部屋に入れないようにするのではなく、
言葉の部屋の湿度を下げる
という意識が大事なんだろうと感じました。
例えば、「30秒で10個の言葉を口にする」というトレーニングが紹介されていますが、これは、咄嗟に言えたら良いなと思う言葉を10個口に出すのではなく、ここで選ぶ言葉はどんな言葉でもよくて、とにかく咄嗟に言葉が口から出てくる状態(=湿度が低い状態)にする事が大事なんだという事だと理解しました。
どんどん言葉の部屋の湿度を下げていけば、使ってなかった湿った言葉たちも、徐々に乾き出して、使いたい時に使えるようになる・・・気がします。信じます。そうであって欲しいです。これから実践で検証していきたいと思います。
他にも、「日常の景色を実況中継してみる」というトレーニングも、脳に対して「言葉はどんな時でも使う可能性があるから準備しておいてね」という意識を植え付けることが、「ことばの部屋」の湿度を下げるということになるんだなと思います。
また、何か新しい言葉を覚える際にも、頭の中の湿度を上げないように、ただただ頭に詰め込み過ぎることは避けて、ポイントは3つに絞って、誰かに伝える前提でアウトプットすることが重要なんだなと理解しました。これを実践するために、「鏡の中の自分に向かって説明する」というトレーニングも取り上げられています。
2. 「カセット効果」には要注意
この本に「カセット効果」という言葉は出てこないのですが、私はこのDay1を読んで、「カセット効果」を使わないように注意しなければいけないな、と自覚しました。
「カセット効果」というのは何かというと、冗長性が高く便利な言葉が登場すると、それに頼ってしまうことです。
例えば、「デザイン」という言葉は、本来であれば、「設計」という意味を持っていますが、審美的なデザインを想起させたり、「UXデザイン」「デザイン経営」など流行りの言葉の意味を広く解釈し、自分たちの取り組みが流行りに乗っているように見せかけることに使われたり、非常に便利に使われる言葉です。
このカセット効果は、特に外来語に対して使い勝手が良く、日本人は「カタカナ」という素晴らしいツールを持っているので、私たちは日々その便利な言葉の恩恵にあやかりながら生きています。
なぜ、私がそんな「カセット効果」について考えたかについて説明します。
Day1の中に、私がハッとした以下の一節があります。
脳はとても怠け者です。いつも「ラクしたい」と考えています。だから「やばい」という言葉が、「おいしい」「かっこいい」「危険だ」なんて意味にも使えるとなったら大喜び。「やばい!」という言葉がいつでも口から飛び出す脳になってしまうのです。
この一節を読んで、私は「カセット効果」に頼って、「UXデザイン」とか「VUCAな時代」とか、「ダイバーシティー」とか、そういった言葉を使って論じがちな自分を反省しました。自分はそういうつもりでなくても、便利な言葉を使って、それらしいことを言った気になってしまうのは、本当に危険なことだなと思います。
ちなみに、この本の中では、「形容詞を使わずに感想を言う」トレーニングが登場しています。形容詞を使わずに表現するコツも書かれていて、これもすごく勉強になることですが、ここでは割愛させていてだき、私の場合は、合わせて「カセット効果に頼らず論じる」トレーニングもしていきたいと思いました。
3. 「ポイント」を押さえて文章化
この本の中で、ポイントを3つに絞る方法も紹介されています。そのため、私もDay1を読んで自分なりに大事だと思ったことを3つに絞って書いてみました。その3つ目が、ポイントを3つに絞るということです。
まず、覚えようとした際に、ポイントが1つだけだと物足りないですよね。それだけ?と思われます。2つでも、1つよりは良いと思いますが、足りないと思う人も出てくるでしょう。
4つ以上になると、ポイントが多過ぎて、覚えることも難しくなりますし、「ポイントを押さえられてる感」が下がって、細かいところを見る視点に偏っていってしまうと思われます。
よって、何かを覚えたら3つポイントを押さえて、それらを文章で説明できる状態にすることが一番バランスが良さそうだと思いました。
というわけで、今回のDay1で学んだこととしては、この3点に絞りたいと思います。
まとめ
まだ実践はこれからなので、最後に読み終えた時点で振り返りたいと思いますが、この本の構成は非常に分かりやすくて、主人公の山崎大君に感情移入することで、自分ごととして読み進められるので、語彙力に悩みを抱えている人にはすごく有益な本であることは間違いないなと思いました。
また、最初のポイントで「除湿する」という視点で書いてみましたが、私としては、籠った空気の窓を開けて換気するイメージなのかなと感じています。
というわけで、お気づきの通り、まだまだ論理的な話にできておらず、感覚的な話が混じってしまっていますが、この本を読み終え、トレーニングを積むことで、もっと相手に伝わる文章が書けるようになれば良いなと思っています。
参考
この本は、新R25編集部の企画ではあちゅうさんの紹介で知りました。
カセット効果については、第5回価値創造デザインフォーラムの野原佳代子先生の話を参考にさせていただきました。