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【後編】「楽しい」を軸に辿り着いた、陶芸家としての生き方 | ツカノマのはなし #1

「チャイと休息」をテーマとするツカノマチャイがお届けする連載、『ツカノマのはなし』。さまざまな領域で活躍する人のキャリアと休息について、お話を伺います。

陶芸家・嵩下花奈子さんへのインタビュー記事、後編です。

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やらない後悔よりも、やって「糧」にする

岩井:色々な経験を経て、現在は陶芸家として安定したキャリアを築いていらっしゃると思います。現在に至るまで、大切にしてきたことは何ですか?

嵩下:「楽しいと思えるかどうか」は常に大事にしています。

セブ留学を決めたのも、辛かった時期に仕事を辞めなかったのも、「楽しそう」「もっとやってみたい」という気持ちがあったからできたことで。その時々で自分が「楽しい」と思える選択をするよう心がけてきました。

あとは、とにかく何でもやってみること。「やらない後悔よりやって後悔」という言葉も大事にしています。何事もやってみないと分からないし、挑戦したことはどんな形であれ自分の「糧」になる。そう考えています。

その二つを大切にしながら選択をしてきたことが、今の陶芸家としての生き方に繋がっていると感じています。

岩井:今後チャレンジしてみたいことや、取り組んでいきたいことはありますか?

嵩下:実は「こうなりたい!」という大きな目標や展望みたいなものはなくて。5年後・10年後のような長期的スパンで考えるというより、目の前のことを大事にする、その中で優先度をつけて取り組んでいくというタイプなので。

ただ、少しずつ知名度を上げて、仕事の幅を広げていきたいとは思っています。
ひと昔前は、陶芸家が知名度を上げるためには結構なお金をかけて個展やイベントを開くということが必要でした。
でも今はSNSがあります。一(いち)陶芸家として発信を続けながら、「イケてる陶芸家」を目指していきたいと思ってます。

とにかく一番大事なこととしては、今のように楽しみながら「作る」を仕事にし続けていきたい。それを実現できるように、活動を続けていきたいと思っています。

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「昨日ろくろで挽いた作品、そろそろしまいに行かないとな」

岩井:陶芸教室の講師とご自身の制作で日々忙しいと思いますが、お休みはどのようにとられているのでしょうか。

嵩下:実は丸一日のお休みをとることは少なくて。
というのも、制作をする過程では毎日のように作業が発生するんです。「昨日ろくろで挽いた作品、そろそろしまいに行かないとな」のような感じで。なので、半日休んで半日仕事する、ということも多いかもしれません。

制作には納期があったりしますが、基本的に自分のペースで仕事ができるという点は私にとって大事だなと思っています。
「今日は少し調子が悪いから、ゆっくりして夕方から仕事しよう」のような感じで、自分の判断で上手に休みをとることができているかなと思います。

岩井:ご自身のペースに合わせて休みをとりやすいワークスタイルなのですね。

嵩下:そうですね。良い意味で、仕事と休みの境界は曖昧です。趣味の延長線上に仕事がある、とも言えるかもしれません。

働いていても、そこまで負担にならない作業や得意な作業については、「仕事している」という感覚があまりないこともあって。ちゃんと丸一日働いても、ほとんど疲れないこともあります。

自分の得意なこと、且つ「楽しい」「好き」と思えることが仕事になっているからこその感覚なのかもしれません。

岩井:制作へのヒントを求めに外に出かけたり、ということはありますか?

嵩下:インスピレーションや刺激を求める機会としては、遊ぶ時ですね。

自分の中で「休む」と「遊ぶ」は別だと思っていて。「休む」ときは基本的に家から出ずに、徹底的にダラダラ過ごす。「遊び」のときは明確な目的を持ってどこかに行ったり、何かをしたりするイメージです。

出かけた先で、例えば伊豆の海の岩場から、器のディティールのアイデアを得たり。最近では上野の『古代メキシコ展』で感性をたっぷり刺激されました。

「遊び」のときは、目に映るもの全てからインスピレーションを得ている感覚があるので、「休む」と同じくらい「遊ぶ」も大切にしています。

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ちょっと気合を入れて、チャイを淹れる

岩井:ツカノマチャイは、チャイのある休息を通じてはたらき方やライフスタイルを見直すきっかけを届ける活動をしています。嵩下さんの中で、チャイはどのような飲みものでしょうか?

嵩下:元々インドカレーが好きなので、インドカレー屋さんでたまに飲んでいます。なので、そこまで馴染みのない飲み物ではないですね。

あとは、陶芸教室の会員さんからお土産でいただくことも多くて。「今日はちょっと気合を入れて、チャイを淹れようかな」という気分の日に飲んだりします。
茶葉をレンジで煮出して、という自己流の作り方なのですが…(笑)、ちゃんと美味しいです。

日常的にコーヒーも飲みますが、チャイは非日常なイメージが強いです。「ちょっと特別な時間にしちゃおう」という感じで、ごほうび感覚で飲むことが多いですね。

甘くて味がしっかりしているので、おやつのような満足感もあります。


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以上、今回は陶芸家・嵩下花奈子さんにお話を伺いました。
嵩下さんのInstagramはこちらから。

今後もツカノマチャイは、さまざまな領域で活躍する人の「ツカノマ」についてお届けしていきます。

次回の更新をおたのしみに。

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