見出し画像

社会をソシャゲで説明する

Quoraにあったこれが、この説明の発想なかったなと思った。うまい。

「お前が勝ち組なこのゲームフィールド『日本』を長続き(できるなら永続)させたければお前が支えろ」という感じか。

基本、努力は成功の王道だけど、王道を進んでも環境や運にも恵まれないと成功は難しい。能力や気質と社会のミスマッチもある。諸々の環境ガチャ成分を排除できない。努力してもその辺で報われないケースを考えると、現状(の政治や社会)を維持したい人が大きな負担を負う累進課税はまあそうだよねという気もする。いやいや、努力さえすれば成功できるものだよと思えるなら、そういう考え方の累進課税のない別の国に移動してもいい。

…ということは言っても感情面を納得させなくて、それよりは「勝ち組のお前が鯖支えないと過疎るぞ」の方が「まあ実際そうなるもんな」的なドライな納得感ありそうな気がする。しかし「課金」「環境ガチャ」「過疎る」とか最近はなんでもソシャゲの語彙で説明できる感じだ。そんなことをFacebookに書いてたら、友達からこんなコメントがあった。

”ソーシャル”ゲームなので、もともと社会に似せて作ってあるのが、逆輸入されるのって面白いですよね。

その意味では社会を疑似体験できるとか縮図として俯瞰しやすいというか、そういうところがあるのかもしれない。いろんな立場を経験でき、単純化されてる分、汎用性が高い。マンガ「2月の勝者」でも中学受験を課金ゲームに例える場面があった(2巻第13講~第15講)。ドラマでもそのシーンは再現されていたらしい。

塾代捻出のために残業するという香織に正人は「引くに引けなくなって、いいカモになってんだよ。そういうのなんていうか知ってる?資本主義の奴隷っていうんだよ。いい加減気付けよ。これじゃリアル課金ゲームだよ」と言い放つ。ついに香織はブチ切れ。正人がスマホにいくら課金しているかを通告し、「どうせなら私たちの子供に課金してよ」「自分の子供をクソ強いキャラに育ててよ!」「どんな敵でもラスボスでも倒せるようなクソ強い武器持たせてよ」と連呼し「課金ゲーム上等!」と絶叫する。

二月の勝者【ネタバレ】「課金ゲーム上等!」絶叫に共感集中「涙出た」「痛快!」

黒木は「中学受験は課金ゲームかもしれませんね」といい、知識とコツ、テクニック、タイミングが必要だと話す。そして「お父様とお母様が稼いだ大切なお金を勇人さんのために使ってみてはいかがでしょうか。私たちはそのお気持ちに応えられるよう、精一杯勇人さんをキャリーさせていただきます」と説得する。正人は黒木の言葉に納得して講習の金を支払い、塾で会った勇人に「課金しといたからな! しっかりやれよ!」と告げるのだった。

『二月の勝者』「中学受験は課金ゲーム」“黒木”柳楽優弥の説得に反響「パワーワード」

実は毎年のインフルエンザ対策も微課金ゲームだ。インフルエンザ流行というレイド(襲来)イベントに備えて、抗体という特効カードを揃えておくために、予防接種というイベントガチャを引いてはおく。ワクチン今年来そうな4種に特効、それ以外にも微特効を与える4価ワクチンになっており、その組合せはデッキ構成と呼びたくなる。デッキに4種という上限があるから、何を入れておくか推測を重ねて選んでおくのだ。ちなみに2014年までは3種だった。

特効デッキを組んでおけば撃退しやすい(抗体があれば無症状や軽症で抑えやすい)けど確実ではないし、特効デッキなしで撃退できることもある。発症すれば一度で診察費と薬代で予防接種費用とトントンになりやすいし、苦痛も伴う。予防接種をするべきか見送るべきかという悩みもガチャ感満載だ。新型コロナウィルスワクチン接種も同じ考え方はできて、その考え方だとあちらは無料ガチャ、インフルエンザ予防接種は微課金ガチャという点が違う。個人的には、無料ガチャなのに回さないでハードモード選択とかないとは思った。

ソシャゲでの比喩や類推はなんでこんなにしっくりくるのかなと毎年思ってたけど、「”ソーシャル”ゲームなので、もともと社会に似せて作ってある」からだと言われれば、なんとなく納得もしてしまう。そうすると、そろそろ「人生に必要なことはソシャゲで学んだ」「ゲーム脳で分かる社会の仕組み」みたいな本が立て続けに上梓されてもよい時期だったりしないかな。あ、執筆予定ですみたいなオチとかはまったくありません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?