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電車内濃厚接触には接触確認アプリCOCOAしか思いつかない

厚生労働省は新型コロナウィルス対策の一環として、陽性者と接触した可能性について通知を受けられる新型コロナウイルス接触感染アプリ「COCOA」を展開している。京都を中心に全国に店舗展開しているリカーマウンテンが、この普及拡大を図ってアプリ画面表示で食品・ドリンク5%オフを始めたというニュースを読んで、これいいなあと思った。僕は接触確認アプリCOCOAがもっと普及してほしいと思っている。

接触確認アプリCOCOAの普及状況

接触確認アプリCOCOAはAndroid用のGoogle PlayとiPhone用のApp Storeで配布されており、7月22日時点でダウンロード数は延べ797万件。日本人口1億2千万人の1割にもまだ遠いこれは利用者数が増えるほど効果の高いもの、それも利用者が2倍になれば効果は二乗で4倍になる種類のものだとも思っているので、ぜひもっと普及してほしい。だから、今日見かけたこのニュースはいいなと思った。

これに普及促進の効果はあるだろうか?最近の事例で連想するのはマイナンバーカードで、公益性があり個人の利便性もあるという建前というか触れ込みはみんな承知してたと思う。それでもある程度どまりだった普及が、特別定額給付金でマイナンバーカードを使った電子申請が先行して始まったことで、発行希望者が役所に押し寄せ社会問題にもなった。こういういますぐお得というインセンティブは、それなりの効果を持つだろうなと思う。

これが劇的に普及率を高めてくれるだろうか?さすがにそこまでは期待していない。特別定額給付金10万円のインパクトには及ばないにせよ、「やった方がいいのは分かってる」ことについて「いまやろう」と促してくれる機会は、けっこう効くんじゃないかと思う。僕は「『6割普及しなければ無意味』は誤解」という意見に賛成で、個人のスマホ保有率が67.6%(2019年9月時点)なのに特定のスマートフォンアプリの人口普及率を60%になる可能性なんてないとすら思ってる。それでも効果はあるし、利用者数が増えればその分だけ効果が高まる。

車中接触を知る方法になにがあるのか

5月の緊急事態宣言解除以降、商店、飲食店、そしてオフィスでの業務が再開された。接触が増えれば感染者、そして感染者の直近数日間での濃厚接触者数も増えるのは予想できるけど、濃厚接触を検出・通知する店舗見守りサービスなどの仕組みも始まった。

東京版店舗見守りサービスでは、参加パートナー企業であるfavyなどでの予約やPayPayなどでの支払い履歴をもとに店舗利用者を割り出し、店舗で感染クラスターが発生したら店舗利用者に通知される。濃厚接触者になったことを知るのは怖いけど、でもすぐに診断を受けて早期に分かれば、体内でウイルスが増加しないうちに家族と距離を置けるし、無症状や軽症のうちに療養で抑え込める可能性も高まる。そう考えて、僕は5月頃から支払いをキャッシュレスに寄せたのに加えて、いまはさらにPayPayに寄せてる。

ただ緊急事態宣言解除で外出が始まるとき、僕が怖いと思ったのは移動の車中だ。感染者へのヒアリングや店舗見守りサービスなどで、店舗やオフィスなどでの濃厚接触はある程度わかるだろう。でも電車はどうだろう。通勤時間の平均は全国で39.5分程度、東京圏で59分という。1m以内に15分以上という濃厚接触の定義からすれば、通勤電車で乗り合わせれば濃厚接触者になる。でも誰と乗り合わせたかなんて、ヒアリングで聞き出せる可能性をイメージできない。

接触確認アプリCOCOAは車中の濃厚接触を知らせてくれる可能性がある。僕がCOCOAを、その普及を、大切に思う理由はこれだ。逆に言うと、いまの時点で他にそれができる方法って、なにかあったっけ、と思うからだ。

エアロゾル感染の可能性が示された初期事例は中国のバス内での13人感染だった。列車でクラスタが発生しないと思う理由はない。気持ちよい晴れ日の続いた5月は電車の窓が解放されていたけど、蒸し暑く土砂降りもある最近は窓が閉められている。Gotoトラベルともなれば、窓ははめ殺しの特急や飛行機などにも乗るだろう。電車に乗るのがハイリスクだとは思わないけど、でもノーリスクかそれに近いローリスクだとも決して思えない。

だから飲食店に行く時と同様、感染者との濃厚接触があれば知る手立てぐらいは欲しいと思うんだ。それが僕の思いつく範囲では接触確認アプリCOCOAを使うことと、使ってほしいと訴えることなんだ。

感染者は「陽性情報の登録」をするか

COCOAのアプリ画面定時で5%割引の記事をFacebookでシェアした際、「要請情報の登録」について、いくつかの指摘をコメントでもらった。一つは感染が判明した直後の人は、それどころではないのでは、ということだった。僕もニュースなどで重傷者の様子や重症化の急激さを見てそんなイメージを抱いていた。

ただちょっと前に僕自身が発熱をして、少し考えが変わった。その場で帰国者・接触者電話相談センターに電話相談する際、翌朝に発熱外来に向かう間、到着即CT検査後の診察待ち。風邪だろうとの診断で投与された抗生物質で解熱するまでの期間。解熱して2週間ほど引きこもって再発熱もなくてもう安心かなと思うまでの期間。どこで陽性を告げられても不意打ちではなく、心の準備はあったし、アプリの準備(登録画面を開いて手順も確認)もあった。無症状や軽症で検査を受ける人であれば、昨今の状況下で陽性検出の可能性も頭にあって不意打ちにはならないだろうし、登録は可能かなという感覚になった。

ちなみに関連記事や登録画面の説明からすると、僕が仮に陽性と判明してたら、(1)保健所の方が接触確認アプリCOCOAのIDを感染者として登録したいと申し出られ、(2)僕が了解すれば登録されて僕のメアドか電話番号に確認が来て、(3)僕が登録確認すれば情報登録される(その後濃厚接触者は通知が表示される)という手順になるらしい。

手順が面倒、登録者にメリットがないなら(多分ないのだけど)自分はやらないというコメントももらった。ただ最初のアクションが感染者側ではなく保健所側なのは、陽性判明してもし動顛して登録のことを忘れていても思い出させてくれるし、実質自分でする操作は最後の確認1つだけだと思われ、そう面倒でもなさそうな気もする。

もう一点のメリットもないのに陽性情報登録というのは、接触確認アプリCOCOAのインストール以上のハードルだ。インストールには公益性と個人の利便性があったけど、陽性情報登録には公益性しかない。そこはもう、利益を得るには自分からという返報性の原理的な行動というか、もっと素朴にお互いさまの気持ちで登録してくれることを願うしか僕にはできない。でも献血とか募金とか、僕たちの社会にはメリットでは成立しにくいものが実際にいくつもある。だから僕は無理だと思わず、みんなに願う。

接触確認アプリCOCOA使ってください

そんなわけで、最後は僕からのお願い。どうぞ接触確認アプリCOCOAを使ってください。そしてできたら、陽性判明したときには情報登録してもらえればと思います。僕もそうします。

7月22日現在で、陽性情報はすでに38件登録されている。メリットもないのにそうするという人も実際にいる。ここ最近の感染報告数に比べれば小さな数字だけど、おかげで僕は少なくとも38人の陽性者と濃厚接触しなかったことを知ることができている。オフィスとか飲食店とかで居合わせなかっただけじゃなく、同じ電車で15分以上揺られたりもしてないことまではっきりと。これはけっこう馬鹿にならない情報、小さくない安心感じゃないかと思う。

電車内なんかまで含めた接触情報を調べまとめ上げる仕組みって、地道な聞き取り追跡調査みたいなのを含めても、いまのところ接触確認アプリCOCOAぐらいしか思いつかないんだ。他にもっと有望な手段があるというならすぐにも乗り換えるか併用する。そうじゃなければぜひCOCOAに参加して欲しい。

いまはまずインストールにちょっと手を動かして、陽性判明して保健所の人に相談されたらちょっと心を動かして欲しい。本当に、ぜひよろしくお願いします。

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