見出し画像

僕がシンガポールに行こうと思った理由

ブロックチェーンビジネスって儲かってるの?を書いたときの今のプロジェクトメンバーから、「内容は合ってるかもですが、コインが儲かる儲からないとかより、辻さんが何で海外行こうと思ったとか、こんな今燃えてるのか、そういう思いの方が先にあるんじゃないすかね?」
みたいなことを言われて、確かにそうだなと思い、今回はそういう内容を書いていこうと思います。

自分探しをしていた6年間

恥ずかしい話、正直この6年ほどの僕は自分探しをしました。
2016年に「神姫PROJECT」というゲームがヒットしてから、売上は一気に伸び、会社がどんどん変化していきました。

ですが、その現場には僕はいませんでした

ゲームがリリースしてから必死にユーザーと向き合っているメンバーがいるスタジオは京都。僕は東京にいて営業やアライアンスという役回りだったので、リリース後は貢献できることがとても少なく、そこからやきもきした日々が始まりました。

神姫PROJECTのバトルシーン

ゲームの売上は年商100億円規模に

その後のタイトルも一定の結果を残し、テクロスはゲーム会社として業界ではそれなり有名になりました。

グループ会社も立ち上がり、関係会社の従業員数は300名を超え、回りから見ると順風満帆に見えたかもしれませんが、自分の中ではモヤモヤした思いがずっと残っていました。

2018年には結婚して、その後2人の子供にも恵まれ、プライベートでは満たされた日々が続いたのですが、どこか手持ち無沙汰で、英語や中国語を勉強してみたり、ゴルフをめちゃくちゃやっていたりしていました。

何か本当に夢中になれることを探していたのだと思います。

焦って仕事がうまくいかない時期が続いた

何とか結果を作ないともがいていたのですが、色々なことに手を出してはもやりきれず、ふわふわと仕事をしていました。

当時を振り返ってみて思うのですが、仕事を思い切って任せるというやり方の悪い部分が出てしまっていたと思います。

コアな部分を任せすぎていて、全部中途半端に進まず、手をだしかけていた事業は全て撤退せざるを得ない状況になりました。

幸い、会社の経営状況は悪くはなかったのですが、精神的にはどん底の時期もあり、他の経営陣に迷惑をかけるくらいなら会社を辞めようかと真剣に考えた時期もありました。

毎日会社に行くのが辛くて辞めようかとさえ思った。

財務の仕事を引き継いでから流れが変わった

そんな流れに変化があったのが2021年の頭。財務担当が退職するとということで、手が空いていた僕は、その引き継ぎました。

夜遅くまでエクセルを叩いて全てを自分の目で把握し、メンバーとの1on1ミーティングなどもやっていった結果、自分が今まで仕事を投げすぎていたことを気づかされました

それから仕事のやり方を取り戻してきて、コツコツとやってきたメディアの事業が伸びてきたり、ウェブトゥーンの事業が立ち上がったりと、徐々に成果が出かけてきました。

ただそれでも、自分の中で次の山になる事業をずっと探していました

アクシーインフィニティ、月商400億という衝撃

そんな中、2021年8月にAxie Infinity(アクシーインフィニティ)というブロックチェーンゲームが月商400億円を達成したという話をきき、色々と調査を始めました。

前回の記事に書いた通り、そもそもアクシーの売上はソーシャルゲーム的な売上とは違ったのですが、それでもブロックチェーンゲームの可能性を感じ、何か自分たちでもできないかと考える様になりました。

出展:Axie Infinity

とりあえずシンガポールに住んでみようと決めた

Axie Infinityもベトナムの会社で、シンガポールにブロックチェーンビジネス関係の人が集まってきているという話をきき、とりあえずシンガポールに住んでみようということを決めました。2021年末のことでした。

それまで英語を勉強したりと、ぼんやりと海外で何かチャレンジしたいなと思っていたのでしょう。

一度きりの人生、やりたいことは全部やり切らないともったいない。というのが僕が移住を決断した一番の理由です。

2021年末は、まだコロナから抜けきれず、海外旅行などはあまり行けない時期でしたが、逆にリモートでの仕事はし易くなったことで、外部の関係者の皆様にも迷惑かからずに仕事できるなというのも後押しになりました。

こんな無謀な決断の後押しをしてくれた社内の仲間や家族には本当に感謝しかありません

その時点ではシンガポールに行って何やるかは全く決まってなかったです。

思えば学生時代も、何をやるか全く決まってないけど、とりあえず起業することを決めて、内定を全て断ったので、人間変わらない部分は変わらないんだなと思います。

ですが、そこから全ては始まりました。

ブロックチェーンの可能性に電撃走る

シンガポールに住むことを決めてから、ますますブロックチェーンビジネスの関係者に、色々な話を伺いました。

幸いにして、今まで色々と寄り道してきたので、本当に多ジャンルに知り合いが繋がり、色々な方とご縁を頂くことが出来ました。

そして自分で暗号資産やNFTを買ってみたり、ブロックチェーンゲームをプレイしてみたりする中で、色々な知識を得て、自分なりにやりたいことがぼんやり見えてきました。

そして、ブロックチェーン技術自体の可能性ブロックチェーンビジネスの面白さ電撃が走りました。

ブロックチェーンには無限の可能性がある

ブロックチェーン技術自体が持つ可能性

詳細に関してはこれからまた記事を書こうと思いますが、ブロックチェーンでないと成し得ない世界の凄さに衝撃を受けました。

考えてみると、ビットコインの通貨としての価値はものすごいことです。
日本にいると感じませんが、海外送金の手間は日々増えていますし、自国通貨をアメリカが管理しているドルに頼らざるを得ない国からすると、どこの国にも管理されてない通貨というのは大いなる革命です。

ビットコイン以外でも、色々なプロジェクトがブロックチェーンでしか成し得ない価値を生んでいます。

僕が関わっているゲームビジネスでも大きな革命が起きていることを知りました。

例えば、My Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ)Crypto Spells(クリプトスペルズ)などのゲームは、DAOとしての運営を目指して、運営もユーザーも区別なくゲームに関わっています。

ゲーム内で発行されるコインを投票券として、ゲームのプロデューサーやパラメータを決めたり、このゲームをどう盛り上げていくかを一体となって考えているのです

これは今までにない新しいゲームの形です。今まで運営が大くの人をかけてハイクオリティのゲームを運用して、ユーザーがお金を消費するという価値観とは全く別のエンタメへのアプローチです。

どちらが良いという訳ではなく、どちらにも良さがあります。ですが僕にとっては新しい価値観であり、衝撃を覚えました

ブロックチェーンビジネスという面白さ

前回の記事の繰り返しになりますが、ブロックチェーンビジネスは、自分たちが発行するコインの価値を上げにいくビジネスになります。

ここには、大いなるイノベーションのジレンマがあります。

ほとんどの成功しているプロジェクトは個人の集団によって運営されています。企業が主体となるプロジェクトは、企業のアセットを使える代わりに、色々な事情がプロジェクトの邪魔をします

それは、ブロックチェーンプロジェクトが、売上と利益を目標とする今までのビジネスの文脈とは根本的に違うからです。

大企業がやってもうまくいく分野ではない。特に日本では法律的な規制もあって、更に難しい

これは、会社が上場している訳でも出資を受けている訳でもない自分にとっては果てしないチャンスだと思いました。

世界で本当に戦えるという実感

ブロックチェーンビジネスは基本的に日本ローカルという考え方がありません。なぜなら日本にまだ市場がほとんどないからです。

日本のソーシャルゲームビジネスがグローバルにならなかった理由として、日本マーケットがそこそこ大きかったという事実があります。今でも世界3位の市場規模があり、日本だけでもビジネスできてしまいます。

ですが例えば韓国は、そうではありませんでした。
だからグローバル前提で物事を考えしかない。最初からグローバルに向けて作品を作る。芸能も言わずもがなですし、残念ながら日本の十八番だった漫画ですら、ウェブトゥーンという形で韓国に追い上げられています。

その点、ブロックチェーンビジネスは違います。本当にグローバル前提でみんな戦っています

まだ日本発で成功しているプロジェクトは少ないかもしれませんが、絶対に大成功するプレイヤーが産まれてくると思います。

日本には世界で戦える優秀な人材がたくさんいますし、日本独自のものには世界に通用する素晴らしさが沢山あるからです。

そしてアニメ、漫画、ゲームなどのコンテンツは正にその代表例です。

学生起業してから13年と5ヶ月、ゲームビジネスを始めてからは丸10年、僕にしか出来ない価値が必ずあると思いました。

日本人として世界で戦ってみたい

ブロックチェーンビジネスは自分探し

何度も繰り返しになり申し訳ないのですが、ブロックチェーンビジネスの多くは、従来のビジネスの様に売上と利益を追うビジネスではなく、コインの価値を上げるビジネスです

コインの価値についてはまたじっくり書きたいと思うのですが、自分たちで通過を発行するというのは、壮大で無謀な計画です。

よくわかっていなかったころの僕は、いくつかやってみて、失敗の中から学べば良いやと思っていましたが、よくよく考えるとそんなことは許されません。

失敗しても良いやと思っている様な通貨、誰が欲しいと思うのか

暗号資産や、NFTと呼ばれるトークンは、本当に簡単に発行できます。過去、色々なプロジェクトが生まれ、トークンが生まれてきましたが、そのほとんどがよくわからない状態のまま、宙ぶらりんになっています。

本来、コインの価値を決めるのはそのコインが達成したい「理念」とそれを達成するためにコインがどう使われていくのかの「具体的なロードマップ」です。

起業と同じです。自分たちの思いがあり、それを実現するために会社という箱を作り、お金を集め、思いを達成するのです。

何社も会社をやっている、という人に出資はしないでしょう。この会社は僕の魂です。このために人生使います。というのが出資を受ける大前提だと思います。

では、自分は何者で、世の中に何を提供できるのか?

僕の場合、その答えは思ったより早くみつかりました。
6年間、自分探しをしていたからです。

企画の方向性が見えた日、興奮のあまり自分を抑えきれませんでした

それからしばらく、12時に寝て4時に起きる、2時に寝て5時に起きるといった具合に、明け方に起きてしまう日々が続きました。

起業家人生の中、不安で眠れないことは何度かありましたが、興奮して目が覚めてしまうことは初めての体験でした。

やりたいことが明確になると、優先順位が決まります。

ですが、その中でも決めたことは、今までやってきた仕事の量は減らさずにやる、ということです。手を抜くのは今まで巻き込んできた人たちに失礼だし、それをないがしろにしてしまってはこのプロジェクトは成功しないと思います。

なぜなら、今までの僕の寄り道も含めた全てがこのプロジェクトに繋がっていると思っている、このプロジェクトは僕の人生そのものだと思っているからです。

you can’t connect the dots looking forward;
you can only connect them looking backwards.

ジョブスさんはホンマいいこと言いますわ。

今回はとても個人的な話でしたが、最後まで読んで頂いて本当にありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?