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遮光日傘にはフィルム式とコーティング式がある

結論

日傘の遮光裏面にはフィルム式とコーティング式があり、どちらも一長一短。
フィルム式は均一で厚いが、ピンホールができやすい。
コーティング式は柔軟でピンホールに強いが、ムラが出やすい。
軽さや折りたたみやすさを重視するならコーティング式、
厚みや均一性が必要ならフィルム式をおすすめします。

*メーカーサイトにはどの方式で生産されたか、表示されていないことが多いので、不明な点はメーカーに問い合わせをしてください。

フィルム式とコーティング式

この暑さで注目されている遮光機能が付いた日傘ですが、裏面の黒いコーティング部分は2種類あるのです。
ひとつはフィルム式、もうひとつはコーティング式です。

どちらがいいとは一概に言えないですが、私の所感としては、近年はコーティング式の品質が向上しているという認識です。
ユーザー様はあまり気にされない部分ではありますが、それぞれのメリット・デメリットについて、傘の専門家として解説させていただきます。

フィルム式

生地にポリウレタン製の遮光フィルムを貼り付ける生産方式です。
フィルムなので均一の厚みになり、生産時の品質ムラが出にくいのが特徴です。

デメリットは、傘フレームとフィルム面が接触することで、ピンホールという、ごく小さい穴が発生する場合があります。
また生地にフィルムを貼り付けるという生産方式上、接着剤を使うので生地が重く、厚く、固くなってしまいます。

コーティング式

生地に液体状のポリウレタンを塗布し、固めたもの。
フィルム式と比較すると安価に生産が可能。また柔軟性があるのでピンホールに強い。

デメリットは、液体を塗布するという生産方式なので、ムラが出やすく、場所によって生地厚みが異なる場合がある。とはいえ0.01mm差の世界です。

見た目で見分ける方法

正直『一般の方は見分けるのは難しい』というのが答えです。

目を凝らして生地の裏面を見ると、繊維の目がうっすらと見えるのがコーティング式、見えないのがフィルム式です。(コーティング厚みによっては繊維目が全く見えません)

また風合いでいうと、ゴムっぽくヌメッとした感触がコーティング式、さらさらな風合いがフィルム式です。

結局どちらがいいの?

製品としての軽さ、生地のたたみやすさ、ピンホールが出にくいのは、コーティング式です。
さらに折りたたみ傘として日傘を使うのなら、コーティング式が使いやすいはずです。

逆にしっかりとした厚みが欲しい(=理論上、厚みがあると遮熱効果が高いとされています)、生地の厚みは均一がよい、長傘で使いたい、という場合にはフィルム式をおすすめします。

遮光生地のピンホールについて補足

遮光日傘に関して、アンベル社では工場検品時にピンホールがないか?を中心にかなり慎重な検品を実施しております。
基本的には検品後の輸送時の梱包取り扱いによって、ピンホールが発生する場合があると考えております。

アンベル社では、ピンホールを完全に防ぐことは難しいと判断しており、フィルム式はより慎重な梱包をするなどの改善をし、コーティング式を増産していく予定です。

またアンベル社のコーティング式は生地+コーティングといった単純な二層ではなく、生地+遮光下地層+コーティング層の三層構造にすることで、遮光性を高めた生地を生産しています。
*生地カラーによっては、遮光下地層を2回コーティングする場合もある。

【元の生地は3層以上にし、光を遮る】

Tips

フィルム式でもコーティング式でも現状の遮光日傘の裏面素材はポリウレタンです。
よく「傘の撥水を復活させる方法」として、傘生地の裏面にアイロンを当てるという裏技が紹介されていますが、遮光コーティングの傘には絶対アイロンを当てないで下さい。
素材のポリウレタンが溶け、生地が壊れてしまいます。


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