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飲食店が通販にチャレンジする前に準備すること①

先日、「通販ビジネス成功のための50のヒント」という本を出版しました。通販の初心者は新しい学びを、ベテランは基本の再確認をすることができる内容になっています。

20年近く親しくさせていただいている飲食業界の方に読んでいただいたところ、昨今の情勢下、通販に取り組み始めたお店や関心を持つお店が増えてきたけど、苦労しているお店が多いという話を聞きました。

現状、弊社では飲食店の通販については支援している会社はないのですが、通販を始めるにあたって何を準備したら良いのかといった初歩的な内容について整理したら、多少参考になるのではと考え、まとめてみることにしました。

読みやすいように3回か4回に分けてお伝えしようと思いますが、今回はその1回目です。

1.いきなり通販にチャレンジしないこと

 出鼻をくじくようで申し訳ないですが、通販ビジネスは難易度が高いです。特に飲食店においてはお店で提供できていた作り立ての料理、空間、接客といった体験価値が通販では提供できなくなります。その条件下でお客様に満足を与え、かつリピートにつなげないといけません。その点をまずはお店として体感する必要があります。

2.飲食店の通販は難易度が高い

 難易度が高い理由は以下の4つになります。

① 冷凍便を使うのでお客様の送料負担が高い
② 満足度の高い商品を届けなくてはいけない
③ 頻繁にリピートする商材ではない
④ お客様の自宅の冷凍庫はスペースに限りがあり、まとめ売りに向かない

 通販に取り組む上で、一番のネックになるのが冷凍便の送料です。お客様が負担する場合、お客様は送料込みの価格で商品価値を判断します。ではと企業が送料を負担すると利益を圧迫します。お客様が負担する場合が多いですが、送料込みの価格で満足してもらわないとリピートにつながりません。 常温品であれば〇円以上送料無料という設定で客単価を上げていくのが常套手段ですが、冷凍品の場合、お客様の自宅の冷凍庫スペースに限りがあることを考慮しなくてはいけません。まとめ売りの提案自体はした方が良いですが、その売上の過剰な期待を持つのは禁物です。

3.通販にチャレンジする際の2つの前提

① 商品がお客様から支持されていること(繁盛していること)
② テイクアウトがしっかり運営できていること

 来店客の満足度が低いのに、通販ならうまくいくということはほぼあり得ません。通販で購入してでも食べたいとお客様が思ってくれる商品の存在は大前提です。②は絶対の必須条件ではありませんが、これから通販初挑戦という飲食店は通販の前にまずテイクアウトをしっかり運営できるようになることをお勧めします。

4.まずはテイクアウトにしっかり取り組むこと

 テイクアウトにしっかり取り組めている方が通販へスムーズにチャレンジできます。まずは以下の3つに重点的に力を入れることをお勧めします。

① お店で提供していたメニューと同じものを同じ価格で提供した場合、お客様は満足してくれるのか?お客様の満足度とお客様満足度の高いメニューの把握がまず必要です。

② お客様の顔と名前をしっかり覚えること。テイクアウトの予約を取るようになると常連の方以外のお客様も顔と名前が一致するようになります。名前で呼べるお客様が増えることで商品を渡す際に親しみのこもった接客ができます。

③ 商品を渡す際に同梱ツールを入れること。同梱ツールでは商品に対するこだわり、店主の想い、リピートを促す取り組み(電話予約ができること、LINEのお友だち登録、SNS情報等)を伝えます。また、商品の満足度を確かめるためのアンケートの同梱も必要です。

提供している商品の満足度が高ければ必ずリピート注文が入ります。そして、接客や同梱ツールがその後押しとなります。手応えが掴めるまではお客様の満足度には敏感になることが大切です。

 弊社の近くにあるお店の事例です。

 A店はお店で出しているメニューと同じものをお弁当用の容器に入れて同じ価格で販売しています。B店はお弁当用のメニューを2品、新たに考え、2日ごとにメニューを変えて販売しています。B店のお弁当は1個700円なのですが、その価格でも安いと感じるくらい充実した内容になっています。さらに、毎日午前11時にはインスタグラムのアカウントでその日のメニューを紹介しています。

 A店はいつもお弁当が売れ残り、13時過ぎても店頭で呼びかけをして
います。B店のお弁当は先週くらいから、毎日完売で早く行かないと買
えないほどの人気になっています。そして、お弁当と一緒にテイクアウトのメニュー(夜の分も)やSNSの紹介するツールを一緒に渡しています。

今回はここまで。次回は商品価値の考え方や通販ビジネスの全体像をお伝えする予定です。




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