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映画『TENET』は、時間という軸を取り入れた『詰め将棋』

本日、休日につき話題の映画『TENET』をIMAXで鑑賞。

観る人を選ぶとは思うが、僕は楽しめた。
というかめちゃくちゃワクワクとした気持ちで見れた。

映画に大切なのは、
ストーリーや登場人物たちの行動理由や目的〈WHY〉と、
その物語の世界観やアクションそのもの〈HOWやWHAT〉配分率だと思っている。
一般に売れる映画、評判の良い映画というのはこの配分が絶妙なのだ。

だから、
アクションに傾きすぎて〈WHY〉が抜けると、「ストーリーが薄い」とか「キャラが薄い」だなんて言われたりする。

逆に〈HOW〉や〈WHAT〉がない、つまり世界観や物語の背景が薄いと「自分語りかよ」とか「監督のオナニー映画」なんて言われたりする。

本作『TENET』は、どちらかというと
”時間逆行””第三次世界大戦の阻止”を背景とした〈HOW、WHAT〉が目立つ映画だと思う。

時間が逆行する世界の中で行われるアクションは、理論的にはよく分からないのだが、

うおー!
おぉ?!
すごぇー!!?

という見ている私たちのリアクションを生む。

時間逆行という要素を取り入れながらも、
ファンタジーとして終わらせるのでなく、
多少無理やりにでも物理に落とし込めているのは、ノーラン監督らしいと感じた。

このように『時間逆行アクション』が楽しい本作なワケだが、〈WHY〉がないわけではない。
逆に〈WHY〉の比率が高すぎるのだ。

もはや、ストーリーは一度見ただけでは理解不能。
なんで逆行するの?
なんで逆行の世界と順行の世界が並行するの?
結局、黒幕って?
そもそもなんで世界を守ることになってんの?
今日って、何日?
…etc

とまあ、映画観賞後はこんな疑問がわんさか出てくる。
こういった「?」いっぱいの映画は大体、賛否をわけ、好き嫌いもわける。
だけど、わざと観客を置いてけぼりにする、それこそノーラン監督の狙いだろう、だなんて思うとニヤリとする。

この映画を一言で言えば
『時間という軸を取り入れた詰め将棋』

未来のある起点において、
一度、出来上がってしまった盤面の形を変えるために、
あらゆる人物を前後左右に動かすだけでなく、
時間をも順行、逆行させて王将を取りに行く。
そんなお話。

映画鑑賞中、ハテナがたくさん浮かぶと思う。
分からなすぎてもしかして、怒りまで沸いてくるかもしれない。

でも、まずはこの世界観に勇気をもって飛び込んで、「なんじゃこりゃあ〜!」となるのを楽しんで欲しいと思う。
そして、「なんであそこで、ああなったの⁈」という詰め将棋〈WHY〉を皆で解き明かそう。

映画『TENET』は噛めば噛むほど味が出る、もしかして一生噛みきれない、そんなスルメ映画でした。

公式サイト:


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