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「◯◯はなぜ失敗するのか?」の共通点〜CRM、DX、D2C・・・プロジェクトの頓挫

皆さんこんにちは。通販エキスパート協会事務局です。

当協会は文字通り「通販のエキスパート」を目指す方々に向けた資格「通販エキスパート検定」を実施しています。

通販業界は情報システムが不可欠なので、数年に一度は大きな規模のシステム投資を行います。その中でも、90年代後半から2000年前後のCRMブームは、その後のシステム投資における費用対効果の考え方について大きな影響を与えたと言われいます。

当時、CRMは通販以外の業界でもバズワードになっており、世界中で安くて数千万円、大企業であれば億円単位の投資がCRMシステムに行われました。しかしそれから数年くらい後、各種の調査で「CRMシステムへの投資は失敗だったか、期待以下の成果しか挙げていない」と考えている経営者が7割以上いる、などのレポートが発表され、ビジネス誌などでも特集が組まれるようになりました。

その際によく失敗の理由として挙げられていたのが以下の項目です。

  • 企業トップ(経営層)の関与不足

  • 顧客戦略の不在

  • ユーザ各部門への事前ヒアリングの不足

  • 費用対効果の見積もりが曖昧な投資決定

  • 導入教育の不足

また、それと関連してCRMに対する理解を、下図のように「ある特効薬的な技術ソリューションの導入」「顧客志向の技術ソリューション郡を一連の取組みとして導入」、「顧客関係を全社的に捉えて管理することで、価値を創造するアプローチ」といった、狭く戦術的な定義から、広く戦略的な定義までを段階的に紹介し、問題提起する記事も有りました。

CRMの定義

では、近年のバズワード、DXやD2Cについてはどうでしょう。まったく同じことが起きていると思いませんか?

CRMについては、顧客戦略=自社を成長させてくれる重要顧客セグメントの選定や、顧客とどのような関係性を築くことを目指し、かつそれにどの程度の投資を行うのか、という大方針が無い中で「ある特効薬的な技術ソリューションの導入」と捉えて失敗したとも言えますが、DXやD2Cも「ビジネスプロセスや販売チャネルをデジタル化、オンライン化すれば良い」というレベルで議論されてはいないでしょうか。

例えば、
◯DX
本来はビジネスモデルや組織の変革、イノベーション(Xの部分)を、デジタル技術を用いて推進し(Dの部分)、新たな価値の創出を行うこと、のはずだが、実際は、単なる従来業務のデジタル化や部分的なIT導入で、ほとんどビジネスモデルや組織自体の変革が行われていない。

◯D2C
主にWebサイト、SNSなどデジタルチャネルを用いて、中間流通を通さず直接(Direct)消費者と取引を行うビジネスモデル。ブランドの世界観や価値観を強調し、コアなファン層を獲得するとともに、顧客から収集するデータを活用して、より充実した顧客体験設計を目指す。
しかし、最近では「オンライン直販サイトの開設=D2C」というくらいに意味が希薄化している。

といった具合です。

しかし、一つかつてのCRMブームの失敗と状況が違うのは、現在の20-30歳代の若手・中堅社員はインターネットや携帯などのデジタル技術に幼少のころから馴染んできた世代だということです。
技術はあくまで何かの戦略や目的を達成するための手段であり、「新しい技術を使ったシステムを導入すれば、万事解決する」といった錯覚は、もう起こしづらいはずです。

とかく、最近の若い社員は自ら責任を負おうとしない、バイタリティが足りない、などと言われますが、終身雇用や年功序列が崩れた今、チャレンジせずに年をとることのリスクが高まっています。

ぜひ、「文句があるならお前がやってみろ!」「じゃぁやります!」ぐらいの気概で若手がDXやD2Cプロジェクトを引っ張ってもらいたいものです。
そして中高年管理職は権限移譲を進めつつ、若手を後方から支援する、そういった組織風土もプロジェクトの副産物として実現すれば、まさに一石二鳥と言えるのではないでしょうか。


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