夕立の歌
夕立がふる夏の終わりがこんなにも好きだ
洗われるべきは私の世間への苦々しい文句
斜めに線を引く様に雨が目の前で絵を描く
私は家のなかにいるという安心に気がつく
テレビで流れる不穏なニュースもおんなじ
スマホで眺める誰かへの中傷もおんなじだ
私は画面のそとにいるという安心の気持ち
気づかないところに生きている自分の心の
存在に時折後から気がつくのでややこしい
夕立が降った時残念ながら屋根の外にいる
私の手には傘がないし誰も迎えには来ない
それは私が家から出かけたせいなのかしら
「出かけなければよかった」と平気で言う
私じゃなくて誰かが言う、屋根の下から。
家のなかから。画面のそとから。時には
優しさという水分を含んだ脱脂綿のように
夕立がふる夏の終わりの日はそれでも好き
洗われるべきは私の世間への苦々しい文句
そうでしょ
photo by sako (Instagram @sako_photo)
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