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旅路 - 『脚本家先生の憂鬱』・『ひとりぼっちの夜』

シアター風姿花伝にて

2024年7月25日
ひらた生誕企画『脚本家先生の憂鬱』
2024年7月27日・28日
リーディング公演『ひとりぼっちの夜』

を上演しました。

リーディングはキルタ稽古中の5月末から稽古が始まり、約2ヶ月間の毎週末に4組の稽古を土曜の昼/夜・日曜の昼/夜で4まわしするというかなり(私が)ハードな稽古です。
今年からは演出助手に参加してもらい、事務的な部分やミザンス、発声、音出し、代役などをお任せできたのがかなり有難かったです。(コミュニケーションを大事にできるひと夜演助、大募集中です。)

リーディング公演稽古

ミュージカルは技術が必要な舞台芸術です。

しかし、「ミュージカルを演じる」ことには、ハイクオリティな芸術としてスキルのある人のためにのみ存在するには惜しいほどに「得られるもの」があります。私たちはそれに実感と確信を持っています。

劇団四季でプロの現場を走り抜けたのちに、来年で10周年になる学生サークル団体「ミュージカルサークルS&D」で趣味としてミュージカルに向き合う学生たちから得た学びと歓びです。

ミュージカルサークルS&D公演『おどり村と妖の森』より

私の好きな本に「演劇は道具だ」という宮沢章夫さんの本があります。
こちらはWSなどを通して演劇入門を語る本になっていますが、内容もさることながらこのタイトルが大好き。教えを始めたころに読んで、「ああそうか」と思うことが多々ありました。おすすめなので貼っておきます。

自己表現が苦手な人は演劇に向いている。不自由な、かたいからだをぐいっと動かしたときに、きしむ音。
それこそが表現というものだから。「演劇」を使って世界や自分やあれこれを考える。
いつの日か効いてくる、こつこつ遠回りな演劇入門。

商品ページより引用

このタイトルの通り、演劇は道具だと私も思います。

・人前で何かを話さなきゃいけない時。
・周りと円滑なコミュニケーションを取るために、誰かの心を読み取ったり、自分の感情や言葉を自信を持ってアウトプットしなければいけない時。
・自分の感情に対する解像度を上げるため。
・文字から得られる情報を深めるため。
・しゃっくりを止めたい時。笑
色んなことに役立ちます。

リーディング公演『ひとりぼっちの夜』雲組

芝居とは自分を見つめ直すこと。
自分の心を表面化させ、それに対して自信と再現性を持つこと。
そしてそれを誰かに伝え、否定せず受け止めること。

プロになるためにはそれだけではいけませんし、飽くなき向上心を持ってスキルアップをしていくことや自分と厳しく闘う日々が必要になってきますが、そういった学びを得て日常に活かしてもらえたら…と常々考えながら稽古やレッスンをしています。
あとは単純に「本番」というゴールに向かって自分を磨く!みんなで肩組んで頑張る!ということも大人になると減ってきますから、その歓びを得てくれるのも嬉しいですね。

10代から60代まで、色んな職業や環境の方が集まってくれるのは、私たちにとってもとても嬉しいことです。

『脚本家先生の憂鬱』より『スプリング・キャロル』

そして、生誕企画の方は…なんともプロの所業でした。笑
オムニバス形式の朗読脚本で、3人で色々な役を演じていく芝居。

ゲスト出演の津久井と藤田は、3回きりの短い稽古でそれぞれの役をキャッチしてアウトプットしてくれました。私の「やりたいこと」をいつも読み取ってくれる二人です。

『脚本家先生の憂鬱』より『ふたりの果実』

藤田知礼にはいつも複雑な心理描写をやらせたくなる。
津久井舞にはいつもこの世界の理を喋らせたくなる。
そして二人ともきちんとその役割に向きあい、役割を果たしてくれるのです。
キャスティングする際に「この役はこの人がいいな」と頭に顔が浮かぶ。芝居も、稽古場での在り方も、プライベートでも。大好きな二人です。

伴奏を担当してくれたのはもはや私の人生に欠かせない相方・樹原孝之介。
この人も本当に読み取る力が高くて、自分の考えや主張もはっきりとあり、それでいてとても優しくにこやかな人。強くしなやかな音楽家です。

朗読劇に即興伴奏をしてもらうというなんとも丸投げな企画でしたが、もう、めっちゃ良かった!!どこかで少し調子を合わせたりしながら朗読ができるのがとても楽しかったです。癖になりそうです。笑

そしてわたくし・ひらたあやでお送りした朗読劇だったわけです。
キルタを終えて速攻この台本を書き始めて、カスカスの状態で全く書けず、だけど書きたいことはあり…という6月末を過ごしておりました。笑
40分くらいになれば…と思ってたら60分も書いてしまいました。

過去の公演を再演したくなりつつも、新作も書きたくなりました。

やっぱり私こそが「宿木を探す亡霊」なのでしょう。
作品を終えると作品をもとめ、あっちへこっちへ苦しみながら旅をする。
勿論日常を過ごしはするけれど、なんだか少し空虚な胸の内を抱えて歩いているのです。芝居を書いている時は酷く苦しいというのに!(私の場合、史実や原作があるわけでもなく、自分で物語を立ち上げるのが好きなので…毎回頭を悩ませます。)


そして生み出した物語が誰かに愛されることが何よりも嬉しい。
(私自身のことは二の次でいいのに、皆さん私まで愛してくださるので涙がちょちょぎれます。幸せ者です。)

S&D Projectにて作ったオリジナルミュージカルも、4作となりました。

『ひとりぼっちの夜』(来年もリーディングやりたい!)

ひとりぼっちの夜 2019年初演・トライアウト公演

『ひみつの箱には、』(8月22日よりA&A主催で再演!)

ひみつの箱には、 2021年初演・トライアウト公演

『おどり村と妖の森』

おどり村と妖の森 2023年初演・トライアウト公演

『キルタとぶきみなアパート』(12月学生公演!)

キルタとぶきみなアパート 2024年初演・トライアウト公演

どれも我ながら良い話だと思います。
良かったらどこかであなたの目に触れますように。
もうご覧いただいてる方は、また出会えますように!

誰もが観て・演じて・楽しいミュージカルを作っていけるよう、己を磨いて参ります。

またこの旅路にお付き合いいただけたら幸いです。
いつだって、初めてだって、久しぶりだって、毎年だって!共に歩んでくれる仲間を募集しておりますからね。

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