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こちとら何度も失敗してんだ。 - ばいきんまんとえほんのルルン

今年のアンパンマンはどうやら随分良いらしいぞ…。と噂を聞きつけ、観てきました。

それいけ!アンパンマン
『ばいきんまんとえほんのルルン』

兎に角良かった。すごく面白かったです。
やっぱり子ども向け映画は「大人たちの本気さ」が大人になったからこそ感じ取れるので、大人になってから観ると色々なことが学べますね…。しかもアンパンマンという巨大なコンテンツですから、そりゃあもう本気も本気です。

子どもが飽きないギリギリの尺に詰め込まれた今回のメインテーマは
「諦めないこと」
どんなに弱虫でも、どんなに怖くても、何度失敗しても諦めないで!
きみの心の中には、大事な友だちがいる。アンパンマンがいるから。

リアルタイムで更新される絵本、という装置が最高のファンタジー要素。そして時空を超えて絵本の世界と行き来できてしまうという。お手本のようなファンタジー!

「森は枯れても」という曲をベースとしたような絵本の世界。
やなせたかし・いずみたくの曲なので昔の曲なのですが、こうして改めてベースになるというのもやなせ先生の魂を受け継ぐ大人たちの愛が垣間見えますよね…。

絵本に呼ばれ、迷い込んだばいきんまん。
迷い込む前の台詞は「どうしていつもアンパンマンに勝てないんだ!」
(菌ありきで美味しいパンが焼きあがるもんなので仕方ないのですが…笑)
「たすけて、アンパンマン!」が「たすけて、ばいきんまん!」になっているだけで面白さがあります。

弱虫で失敗ばかりのルルンに、悪役・ばいきんまんは教えてくれます。
「そんなことで泣くな。オレさまは何度も失敗してるんだ!」

かっっっっっっっこいいいーーーーーーーー!!!

そもそもルルンの心理描写がとても丁寧で、「自分には無理だ」「自分は何もできなかった」「無理だから怖い」「どうにかしてほしい」と膝をつき涙を流すルルン。

そんなルルンにイライラしながら、知らんぷりしながら黙々とメカを作るばいきんまん。だけどさっきの台詞で少し前向きになったルルンが手伝い、また失敗すると今度はケラケラ笑ってくれるばいきんまん。最後には「お前も一緒にやるんだ!」と優しく背中を押してくれるばいきんまん。

「簡単に諦めるな、怖くても逃げるな、勇気を持って頑張れ!」
という力強いメッセージだけど、力づくにはならない優しさで、
まさに現代に必要な『愛と勇気』を教えてくれる素晴らしい映画でした。

隣で一緒に頑張ってくれるばいきんまんと、呼べばすぐに全力で助けてくれるアンパンマンの対比・協力も素晴らしく、互いが互いに対して「アンパンマンを呼べ」「ルルンを助けてあげて」と言葉少なに使命を預け合うのも、自分にできることで敵に立ち向かうのも、何もかもが胸アツでした……。

この映画がSNSで話題になり始めた頃、「アンパンマンは暴力装置」みたいなレビューを見かけてオタクの私は激怒していたのですが、やっぱりそんなの嘘っぱちでした。アンパンマンはかっこいいのよ。「誰もいなくなったらどうしよう」と立ちすくむルルンの肩に手を添えて、「それでも僕がいるよ」と語りかけるアンパンマン。

子どもたちの胸の中にはいつだってアンパンマンがいる、というやなせ先生への愛と感謝すらあるのではと思ってしまう深読みオタクです。

ばいきんまんとの日々で徐々に溜まっていた勇気の種が、最後に力を発揮する展開もとても良かったですね。まさに『勇気の花がひらくとき』じゃん…とじんわり。
あとみんなの子象のキャラデザが可愛かった。笑
ダダンダンの河童デザインも良かったし、ウッドダダンダンがモグリンに変形したのも激アツでしたね〜。「もぐりんだー!!!」って声をあげそうになりました。プロローグのヒーロー大集結も叫びそうだった。大人気ない。

子どもの頃の記憶ってすごいですね。やっぱり覚えてるもんな、いろいろと。

やっぱり子ども向けのものこそ本気で作るべきなんだな、と思わされます。

オープニングから何人編成でレコーディングしてんの!?というオーケストラが壮大に鳴り響くのもおすすめです。これぞビッグコンテンツ・大人の本気。いや毎年のことなんですけど。笑 そこから近藤浩章さんの最高の編曲により、楽しいお祭りの曲になり、ばいきんまんのテーマに繋がり、森が枯れてもに繋がっていく。

今回はばいきんまんのテーマソングである「いくぞ!ばいきんまん」がバキバキの打ち込み曲なのもメカ要素とリンクしててアツかったですね。

ばいきんまんがメカを作る時に流れる音楽は多分「ダ ダン ダン!」だと思うんですけど、これもかっこいいんですよねー。エレキギターがギャイギャイに鳴ってるヴィランソングでおすすめです。

ずっとハンカチで目頭を抑えて見ていました。
なぜだか何度も泣きそうになりました。
しかもちゃんと「ウワッ!」と胸を掴まれて。

最後まであまり言葉を交わさないアンばいの関係性にもオタク大歓喜です。
ドキンちゃんがなんやかんや待っててくれるのもラブいしね。

はあ…書き殴ってしまいました、とても良かったし自分もこうやってクリエイティブしていくべきだな、と思わされたので書き留めなくてはと思いました。
次はクレしん映画を見ねばなりません。夏は忙しいぜ!

…いったい私は何歳なんだ?
いやでもやなせたかしには勝てませんから。やっぱり大・リスペクトです。

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