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ある夏の始まりにパリに降りた

それは

2015年の7月が終わろうとする午後4時過ぎ

私は初めてCDG空港に降り立った

それからタクシーでパリ市内に着いたけれど

殆どの店は バカンスの張り紙とともに

8月末までの

長期休暇に入っていた

ヴァンドーム広場の

有名店舗のウインドウは

まるで

泥棒でも入ったかのように

根こそぎ。。。

空っぽだった

その後数年あまりで

随分変わったなぁ、と思う。

当時は

日曜は 決まって休みだった スーパーも 

現在は

日曜日も営業するようになり

デパートも

« 日曜日も営業してます! »

の文字とともに

賑やかに観光客を飽きさせない

その夏のパリは8月に入ると

街はさらに

空っぽになった

セーヌ川沿には

美術館とカフェ巡りに

飽きたどこかの国のツーリストが

地図を広げて

ため息をついている

夜は10時過ぎまで 明るいのに

マレのギャラリーも

ひっそりとして

まるで

お盆休みの東京のようだった

後から知ることになったけれど

パリは10月を過ぎると

春まで

毎日曇りと雨が続き

太陽と会える日は

本当に数日

暮らす人々は

理由もなく不機嫌になる

だから

バカンスが始まると

ツーリストだらけの パリを抜け出して

いちもくさんに

南へ

又は海外へ

どこかへ

逃げ出したくなるのだ

それから

何度かの夏をパリを過ごした私は

グレーの空が、グレーのトタン屋根に溶け

気持ちまでグレーになりそうになり

晴れた日は思わず外に飛び出したくなるのを

全身で感じた。。。。。

それでも晴れた日の街中で

セーヌの橋の上で

メトロの通路で

奏でられる生の音が

耳に入ってくることが

あまりにも 新鮮で

ああ

私 、日本を離れたんだ

と、思い知った

それが私とパリの初めての出会いの夏だった



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