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都会育ちが「新規就農」できるのか(2)

2年前に、夫が自然農や自給自足を学ぶオンラインコミュニティ「原点回帰」に入り、わが家の畑では「菌ちゃん先生」こと吉田俊道さんが提唱する農法を本格的にチャレンジ。土の中の微生物が元気になる環境を作るために、竹炭作って土に混ぜ、乾いた雑草を利用し、漬物をつけるかのように土づくりをする。結果、毎年作っている青大豆は虫食いが大幅に減った。萩に来られた際に会わせてもらった吉田俊道さんは、陽気なあたたかい人で、就農したい気持ちを伝えると、「楽しんでね」というメッセージをいただいた。

行政と「新規就農」の話し合いをしているが、求められているのは、とにかく「稼げる」農業。稼ぐことができなければ、続けられないからということらしい。でも、「稼ぐ」ために農業を選択するのは、どう考えても割に合わない。だから、住んでいる地区に、専業農家は少ない。農業を「楽しむ」ことこそが、続けていける一番のポイントなのだと思う。農作物がお金にならなかったとしても、「楽しい」「おいしい」を関わってくれた人たちと共有して、価値を循環させることに意味はきっとある。
多くの企業で、副業OKの流れになっているのに、昔から兼業農家というあり方は一般的だったのに、「新規就農」の基準は、年間◯百万円(自治体によって異なる)以上の所得を得られる専業農家なのだ。年齢制限だってある。人生100年時代と散々言われているのに、日本の農業は65歳以上の人たちに支えられているのに、年齢制限に意味あるのかな?

農作物の栽培方法には、主に慣行栽培、有機栽培、自然栽培があり、生計を立てる農業として主流なのは農薬や化学肥料を使用する慣行栽培だ。農薬や化学肥料は、鉱物を原料としており、ほぼ輸入品。農薬や化学肥料の価格は、ここ最近、恐ろしいほど高騰している。

有機栽培は、「JAS認証」に肥料と農薬のみ使用する。自然栽培は、種以外を持ち込まないことを理想とし、肥料も農薬も使わないというもの。どの栽培方法がいいとか主張する気は全くないが、遺伝子組み換え作物、ネオニコチノイド系殺虫剤、除草剤に使われるグリホサードなどへの安心安全の考え方は色々あり、時に対立しがち。多くの生活者にとって「エビデンス」は、自分と周りの人の経験か、専門家の発信する情報かメディアの情報しかない。どんな環境にいて、どんな情報に触れてきたかで見方は変わる。だから、何を信じるのかは、「好き」「心地いい」、というシンプルな感覚に従うことにしている。そして、感覚を研ぎ澄ませておくことは、とても重要だ。

最近思ったのは、肌に塗ってもいいと思えるものしか散布したくない、ということだった。それが「心地いい」農作業。

「甘い」と言われたこともある。でも、やっぱり、「楽しむ」が大事だし、幸せになるために生きているんだと思いたい。

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