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空間・モノクロ・題名・被写体が好き@アヴァンガルド勃興展 その2

『アヴァンガルド勃興 近代日本の前衛写真展』(東京都写真美術館 2022.5.20-8.21)

3つの記事に分けて、上記の展覧会で感じたことをまとめます。

その1:「Podcastで白鳥さんのように鑑賞してみたい」
その2:「空間・モノクロ・題名・被写体が好き」
その3:「りんごとネジから考える写真」

この記事では、展覧会で私が好きだと感じた4つのことを書いていきたいと思います。

1. 写真が飾られている空間が好き

以前、『記憶は地に沁み、風を越え 』の展示に行ってから写真が気になるという記事を書きました。

この時から、たとえば『アール・デコの貴重書』展でも写真が気になり、

アール・デコ貴重書展 東京都庭園美術館

ルートヴィヒ美術館』展でも写真が気になっていました。

© Tokyo Minato City Travel & Tourism Association

そこで気がついたのが、私は写真が並べて飾られている空間が好きだということです。

羊文学・塩塚モエカと観る近代日本の前衛写真(後編) 写真/佐々木健人 

何故か、は今後の課題とします…。

2. 写真はモノクロが好きかもしれない

モノクロ映画はあまり観たいと思わないのですが、写真はむしろモノクロの方が好きかもしれない、と今回はじめて感じました。その理由について考えてみたいと思います。

展示風景

モノクロはまず単純にかっこよくみえます。

私はが好きですが、たとえばこんな展示があると、

アール・デコ貴重書展 東京都庭園美術館

つい内容そっちのけで、

「わ〜きれい!(色が)
「わ〜好き!(色が)

となっている気がします。実際、この写真に写っているものが何か全く覚えていません。

色の情報がないと急に内容が明確になり、被写体に瞬時に飛びつけ、その面白さにちゃんと気がつけるところが、私は好きなようです。

3. タイトルの付け方が好き

いくつか気になった写真のタイトルをご紹介したいと思います。

後藤敬一郎《自由の時効》 1939-41

会場より

後藤敬一郎《帰らぬ舞台》 1935-40

会場より

後藤敬一郎《最後の審判図》 1935-40

東京都写真美術館公式サイトより

後藤敬一郎《歴史の断層》 1938

公式図録より

後藤敬一郎さんばかり…!今回の展覧会では、写真家の方だけでなく、詩人さんの写真もあるとのことで、後藤さんもてっきりそうかと思いきやそうではないようです。

後藤敬一郎 (ごとうけいいちろう)1918-2004 愛知に生まれる。 1936年に愛知商業学校を卒業後、 本格的に写真を学び始める。 37年頃から、名古屋で刊行されていた写真雑誌『カメラマン』の編集助手を務め、シュルレアリスムに影響を受けた作品を制作する。戦時中は日本報道写真協会に所属。47年、高田皆義、山本悍右らとVIVI社を結成。 56年、日本主観主義写真
連盟の結成に参加。61年に第5回日本写真批評家協会作家賞を受賞し、以後、63年中日文化賞、74年日本写真協会年度賞、 76年全日本写真連盟功労賞など受賞多数。 78年にはメキシコ・アギラ・アステカ勲章を受章した。

公式図録より

後藤さん以外の方のタイトルも1つ。

セシル・ビートン《子どもの手袋がみつかる》 1936

公式図録より

4. 被写体の選び方が好き

被写体の選び方がすてきだと感じる作品が多く、いくつかご紹介したいと思います。

本庄 光郎《壁(A)》

本庄 光郎《壁(A)》1940

3つの壁を合わせたのでしょうか。三つの壁の壊れ方が絶妙だと感じました。

河野 徹《挽歌》

河野 徹《挽歌》1939

タイトルから、ガラス片が墓跡に見立てられているように感じます。ご自身で地面に刺したのでしょうか。

山本 悍右《題不詳(草原と布)》

山本 悍右《題不詳(草原と布)》c.1940

草原に布が置いてあるだけなのですが、草原と布の組み合わせ以上の何かがあるように感じます。

山本 悍右《題不詳(脱衣棚と椅子)》

山本 悍右《題不詳(脱衣棚と椅子)》c.1935

脱衣棚自体がすごくすてきで、そこにある椅子の背もたれが短いのもいいし、ランニングシャツ?で画面が引き締まっている気がします。

恩地 孝四郎《題不詳》

恩地 孝四郎《題不詳》c.1930s-40s

何かに使って余った木片や木屑、布と思われるものが置かれているだけなのに…ただそれだけなのに惹かれてしまいます。

同じ階段でも

同じモチーフ(階段)でも、写し方・使い方が人によってこんなに異なるのか、と思った2作品です。

ブラッサイ《白い犬がいるモンマルトルの丘の 階段》

ブラッサイ《白い犬がいるモンマルトルの丘の 階段》c.1932-33

ハンス・ベルメール《人形》

ハンス・ベルメール《人形》1935

まとめ

今回の記事では、展覧会を通してただただ好きだと感じた4つのこと(空間モノクロ題名被写体)を列挙してみました。その理由の追求まではできませんでしたが、自分が好きだと感じるもののデータを集めていって、少しずつ本当に好きなものを見つけていくことができたらと思います。

以上です。その3につづく。


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