たくさん考えたくなることがある『去年の雪』 相関図を書くのは楽しい
今年の2月末に発売された江國香織さんの『去年の雪』は、
だけど、去年の雪はどこに行ったんだ?
というフランソワ・ヴィヨンの詩の引用から始まります。
そして、本の帯にはこんな文言が。
この本を読んでいる時、あなたはひとりじゃない。
100人を超える登場人物の日常が、自由自在に往還する
江國さんの小説を初めて読んだのは小6の時だったように思います。『神様のボート』、『落下する夕方』、『流しの下の骨』が大好きで、何回も繰り返し読んできました。
そして今回の新作。100人を超える登場人物...!ミステリではないのですが、読み終わったあと登場人物同士の不思議な繋がりの世界が気になってしまい、ちょっと相関図を描いてみました。ざっと把握するために描いたので、お見苦しいかと思います。(ネタバレご注意ください)
あまりにごちゃごちゃだったので、繋がりのある登場人物だけ整理して書き出してみました。
時空を往還している内容で矢印の色を変えてみました。
緑:声
紫:物
青:人物
相関図を描くにあたり登場人物をリストアップしていくと、
様々な発見がありました。
・男女共に似ている名前の登場人物が出てくる(お花の名前も多い)
・三保子と律子にだけ苗字がない
・おそらく4つの時代がある などなど。
普段、小説を読んだあとは「はぁ〜おもしろかったあ」と余韻に浸り、ミステリであれば解説サイトを探して読んだりと、自ら深く考察することはあまりありませんでした。読んで分からないところがあっても、2回目読んだ時にわかるかも!と、その場では考えずにいました。
今回はミステリではありませんでしたが、相関図を書きながらもう一度小説を読み直すというのも、読書の楽しみ方のひとつだと思いました。こんな風に物語に少しずつ少しずつ深く関わっていくのは、とてもワクワクします!
自分の中に残された謎(少しずつ考えていきたいリスト)
・「○○は白い」と言っている登場人物に共通点はあるのか
・似た行為や発言のシーンがちょこちょこある点について
・糸井七海さんと糸井武男さんは親戚なのか
・「ヨーコさん」とは
・"それ"とは
・柳のコレクションリスト
・どうして三保子と律子には苗字がないのか 等
これらの謎をじっくりと考えていく楽しみができました。
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