不思議少女トトメスよ、何を願ふ。

不思議少女ナイルなトトメスの髪飾りについて綴ります。

ターバンに留められた、赤い羽根

画像の中の、金色に輝く羽根の装飾品。

これは、バンダイより発売された、トトメスのなりきりセットに入っている、ターバンを被った額（ひたい）につけるブローチです。
（おもちゃとしては、ティアラのようにヘッドバンドが付属されています。）

・・・なんと美しい。
1991年発売です。

フジテレビで放送していた、戦う不思議系ヒロイン。
堀川 早苗さん演じる、中島サナエという女子高生が、不思議なナイルの力でトトメスに変身するお話です。

当時、小学生だった私は、煌びやかな衣装と、ふしぎアイテムに目が釘付けでした。
放送直前の1990年末には、バブル経済が最高潮に達して一気に暴落という、ショッキングな事件が起きたのですが・・・
このおもちゃ開発時は、まさにオッケーバブリーの頂点な時期だったと思います。

フンコロガシの秘宝

この髪飾り。
羽根が3つもありますね。
左右に羽ばたく金の羽根、縦に1本の金の羽根、赤い羽根。

この赤い羽根、実際ドラマでトトメスが身につけている時は、ダチョウの羽根素材の様な大ぶりな赤い羽根なのです。

まずは1番下の左右対称の羽根を見てみましょう。

ジュリーの肩にもついていそう。

こ、これは・・・
フンコロガシ　ではないですか！
紅に輝く身体をもつ・・・今まさに天空へ羽ばたかんとするフンコロガシ！

しかも、ちょっと太陽のデザインにもみえるような。
エジプトと言ったら、太陽神ラーの国ですものね。

古代エジプトの民は、フンコロガシが糞を丸く転がし、そこから生命が動き出す様子を見て、
「天体を動かす聖なる虫さまだ！！」
と崇めて愛したそうです。

それが、スカラベだそうな。

翆-みどり色の石を縁取る羽根

孔雀の羽根にもみえるが。

こちらの縦に長い羽根はなんなのでしょう。
その謎に迫る前に。

トトメスとは何なのでしょうか。
ファラオ、トトメス1世？
またはその末裔に別人の初代トトメスがいて、サナエは2代目トトメス？

初代トトメスって、あのトトメス1世の事なの？
ファラオが来世に復活したら、ご町内の平和を守る為に活動していたの？

月の神トート

・・・王ファラオの方のトトメス説はいったん置いておきましょう。

古代エジプトにはたくさんの愛すべき神様がいます。
（色々と面白いキャラ総選挙の集まりのような感じなので、愛すべきと表現しました。）

その中に、トートという、知恵を司る、古代人に大人気の神がいます。
（他にも色んなものを司っておられます。

マルチタスクであり、国外からも人気で、しかも神々のなかでは古株なので頼もしい先輩のようなおかた。）

ここでは割愛しますが、紆余曲折あり、トートは月の属性を手に入れました。
月のでる夜時間は、トートの支配下なのです。
彼は、書記官としての職務もまっとうしており、パピルスは仕事の必需品です。
パピルス・・・。
トトメスがステッキから噴射する、パピルス。

容姿は、頭部がヒヒかトキのような鳥の形であると伝わっています。

うーん。なんだかナイルなトトメスに近づいてきた感じがしませんか？
パピルスを使いまくるといったところが。

このパーツは、翆色の知性を感じさせる石がはめこまれた、トキの羽なのでしょうか？

正義の女神マアト

さて、トートの妻と言われるひとり（ひと神）に、マアトという女神様がいます。　

頭にダチョウの羽根をつけた、正義の女神さま。

古代エジプトでは、人は死後、来世に復活することを望んでいたそうで、来世に行けるかの審判が行われるとされていました。
（審判までの行程の説明は省きます。けっこうヘビーな旅をします。）

女神マアトは、死者に、生前どんなおこないをしたのか事細かく質問します。
現代でいえば、「お母さんに隠れてゲームをしませんでした」
「こっそりお姉ちゃんのプリンを食べませんでした」とか、そのようなことから、大きな悪事についてもです。

その審判の際に、マアトは天秤を使って、
死者の心臓と真実をあらわすマアトの羽の重さを比べるのです。
心臓と羽（真実）が釣り合えば、嘘ではないことが証明されて復活の楽園へいくことができると信じられていたそうです。

もし嘘だった場合は・・・。
ぶるぶるぶる。

あ！これじゃない？

先ほど綴った、ナイルなトトメスの象徴的なアイテム、スカラベ。
この赤い宝石は、もしや心臓をあらわしているのではないでしょうか。

楽園に行くための、審判を受けるには心臓が必要なのです。
そこで、古代エジプト人は、故人を埋葬する際に、故人をミイラにし、心臓部分に心臓代わりのスカラベを置きました。

これを、ハートスカラベといったそうです。

トトメスの額飾りの赤い宝石の部分は、
ハートスカラベをあらわしているのではないでしょうか。

これは、あくまで妄想ですけどね。

トトメスの呪文である、
イブンバツータ•スカラベルージュ
も、なんだかスカラベ説に説得力が増してきそうです。

深紅の心臓のスカラベ。

ちなみに、イブンバツータは、
聖地巡礼の旅に30年もかけたといわれる旅人のイブン・バットゥータさんの事かと思います。

モロッコ人ですけど。
ナイルなトトメスとどんな接点があったのか。
これは、推理ができませんでした。

3つの羽根

となると、翆石の羽根は・・・
女神マアトが天秤で使った、真実の羽かもしれない。

そうしたら、残る深紅の羽根は、
女神マアトの頭のダチョウの羽根に決まりです！
（私が、勝手に決めたのですが。）

ナイルなトトメスは、月の神トートと正義の女神マアトの神託を受けた、ファラオトトメスではない筋の存在なのでしょうか。

トトメスの衣装は、王族めいていますけどね。

しかし、まあ。

なりきりセットの額飾りだけで、これだけ妄想できるというのは、なかなかの美術品だと思います。

はっきりいって、トトメスシリーズのおもちゃは、全てが変態的です。
バンダイの意思と意地と趣味がそこらじゅうに感じられるのです。
芸術的なデザインに、歴史の息吹をふりかけて、世の玩具屋に放出してしまったのです。

ああ、恐ろしい。

妄想乙

何度も言いますが、これは、私の妄想です。
なんの根拠もありません。
真実は、
星もナイルも知らないのです。

バンダイのみぞ、知るのです。

けれども、こんなに妄想させてくれるおもちゃって素晴らしいですよね。

嗚呼、楽しい。

では、また。

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